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民主党の代表選

今週、民主党の代表選がある。いよいよ日本の首相が事実上決まる。
菅、小沢両氏の支持率について、民主党内の議員と、マス・コミの世論調査の結果で大きく食い違っている。すなわち、菅氏と小沢氏の支持率は 議員内ではほぼ互角なのだが、世論調査では3:1~5:1の比率で圧倒的に菅氏有利となっている。
一方、インター・ネットの限られた空間では、小沢氏支持は多いらしい。はたして、このネット空間で構成者はどのような層でなっているのか よく見る必要はある。その点に留意すれば マス・コミの世論調査の方が まだ統計的に考慮されたデータのはずなので 一般の民意に近いものと考えるのが妥当だろう。
こういう中で、民主党の議員票は伯仲と言うより、むしろ小沢氏支持が当初は上回っていた。どうやら民主党の議員の意識は 民意とは相当離れたところにあるようだ。何故なのだろう。民主党は 果たして民意を代表する政党なのかと疑いたくなる。これが代議員制の限界というものなのか。

小沢氏を強く支持する意見には、“政治の閉塞感を打破って欲しい” とか“強いリーダーシップ”や“剛腕に期待したい”というのが多い。つまり、小沢氏の形容詞となっている“剛腕”に期待する向きが多いのだ。
さて、この“剛腕”について、9月4日の朝日新聞が解説欄を設けていた。小沢氏の“剛腕”経歴については、89年の参院選の自民惨敗の後、幹事長に就き90年の衆院選で勝利し、93年の細川政権誕生、沖縄特措法をめぐる自民・新進両党合意で そう言われるようになった、としている。いずれにせよ、“肝心な部分は密室で決めていたから、同僚議員でさえ驚いた。他の党とのパイプを使い、水面下の交渉で多数をいつの間にかつくってしまう。それを「剛腕」と言うなら、説明不足とか非民主主義的といった批判もつきまとう”と この記事では言っている。
要するに 政策を堂々と表明しつつ、論理で政敵を圧倒するのではなくて、水面下の見えない部分で利害の一致する相手と取引して勢力を手中にするという やり方なのだ。やはり、90年代前半までの日本の政治のやり方であったと言える。少なくとも、日本の現政界にはなじまない政治家だと言える。もはや 古いタイプなのだ。
その公約政策も いささか古臭い。そのままでは自民時代の破綻財政への道を突き進むことになる。
それを 強く支持したいと言うのが 私には理解できない。独裁者を期待する雰囲気も そこにあるのではないか。

金と権力で人々を畏怖させる手法はポリティシャンのすることであってステーツマンのすることではない。
そのお人が急に 首相になりたい、と今更のように言い出した。しかも 様々な政治資金政治資金疑惑を背景にしてである。何故なのか。やっぱり、疑惑隠しなのか。
民主党の資金についても 小沢氏が代表や幹事長に就いていた時期について、どうやら私的流用の疑惑があるらしい。これには税金による政党助成金流用も含まれているようだ。とにかく小沢氏には 説明責任がある。

こういう小沢陣営には、よく見ると 人材は居ない。老壮青にバランス良く有力な人材は居ない。どうしてなのか、壮青の層からは、水面下での活動を得意とする手法や政治資金疑惑への反発があるようだ。何より、老層での菅支持者には 過去に小沢氏と行動をともにしていた人物が多い。これは 小沢氏特有のパーソナリティによっている。つまるところ、小沢氏は耳障りの良くない諌言をした人物を嫌うところがあり、自己を客観視できない性癖がある。結局、ひとかどの人物になればなるほど 小沢氏にはついて行かないのだ。

小沢氏は 結局のところルサンチマンとリベンジの中で生きている奇怪な人物であるように思う。野中広務氏の投稿した文芸春秋の記事を読むと そういう思いが確信にいたるのだ。この記事の表題は、“「悪魔」が来たりてホラを吹く”となっているが、見た時一瞬思わず吹きだしてしまった。誰の何について書いたものかすぐに分かったのだ。
もし、小沢氏が代表選に敗れれば、政界再編が始まるかもしれないが、それを相手にする他の党があるのだろうか。負け戦はしないと言われるが 何か大きな誤算をしてはいないか。さらに、検察が起訴できなくても、野中氏の言うように次は国税が立ちはだかることになるのかもしれない。

このように小沢氏は 酷いが、菅氏もintegrityの面でいささか語るに落ちる。経済政策になると、その理解度は全く期待できない。
ここは 減点法で よりましな菅氏とせざるを得ないのが 現在の日本の不幸なのだ。だが、菅氏自身がだめでも、彼を支持した老壮青の人材を上手く使うことができれば大きく間違うことはあるまい。
今後の日本政界はどのようになって行くのだろうか。いずれにせよ、日本が冷戦を背景にした55年体制から変化して行く時代へ突き進んでいるのは間違いないのだが、それが日本の持続可能な社会の構築につながって行くのだろうか。

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