The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
株のタイミングを測るために“一目均衡表の研究”を読んで
証券投資、つまり株をやろうとする初心者が知っておくべきこととして、前回の“臆病者のための株入門”を読んだことでとりあえず終わりにしようと思っていたのだが、少し知識が増えるとさらにその先が知りたくなるものだ。それに、バリュー投資に 重心を置いたとしても、いざ買うべき株を決めたとして、どの時点で“買い”を入れるのか、というのは本人にとって重大な問題である。少なくとも買った直後に値下がりするようなことがないようにしたいものだ。
そのためには、“相場について行く”要領が必要になる。そのためには、株式チャートが読めなければ、個別銘柄の現状が どうで、今後どうなるかの おおよそを把握するべきである。先日、ある証券会社の戦略セミナーで、ヨーロッパ情勢が不透明で その今後について解説して欲しいと講演者を困らせる聴衆が居た。今、かなりの専門家でもこれを解説することは困難で、誰にも分からないのが実情である。このような時こそ、“相場について行く”要領が必要になる。政治状況が問題なのではなくて、相場そのものが問題なのだから。
そういう訳で 少なくとも株式チャートを読む場合に“最強” ―少なくとも 私はそのように思わされている―と評されている手法の“一目均衡表”を用いて 少なくともある程度の解釈ができるようになりたい、そのための知識を得たいと思っていて、このほどその本が入手できたので、ここに紹介したい。
さて、この“一目均衡表”とは どうやら一目山人(本名:細田悟一)という日本人が開発した手法のようだ。意外なことだが、こうした株式のチャートについて結構日本人の手になるものが多い。何せ、あのローソク足のチャートは江戸時代大阪の堂島の米相場で開発された手法だという。この“一目均衡表”についても、ある著名な欧米人相場師が秘密の手法があると日本人に内緒で示したのがこれだった、という逸話も聞いたことがある。
この手法は本来、開発者の一目山人の著作により学習するべきであり、一目均衡表7部作というものがあり、少なくともその内の4部を読むのが本筋とされていて下記のものがあるようだ。
●第1巻「一目均衡表」 定価20,000円 ●第2巻「-目均衡表 完結編」 定価30.000円
●第3巻「一目均衡表週間編」 定価30.000円 ●第4巻「わが最上の型譜」 定価30,000円
いずれも㈱経済変動総研からの出版で2万円から3万円もし、高額でありなかなか手がでない。そこで、多少覚悟の座っていない私のような多くの人々が入手して読もうとするのが、今回紹介する本ということになっているようだ。それは、佐々木英信著“一目均衡表の研究”㈱投資レーダー(1996)である。著者は証券会社出身で“日経金融新聞の人気アナリスト・ランキングにおいて,テクニカル・アナリスト部門で、 1995-2001年と7年連続でNQ lに輝いた日本を代表するアナリスト”とのこと ということだ。
“一目均衡表”は、基準線と、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパン、と当日の株価データから成っている。定義は概略次の通りだが、詳細は本書を読んでいただきたい。
基準線:(当日を含む過去26日間の中の高値+同安値)/2
転換線:(当日を含む過去9日間の中の高値+同安値)/2
先行スパン1:(当日の転換線+同基準線)/2 を当日を入れて26日未来の位置にプロット
先行スパン2:(当日を含む過去52日間の中の高値+同安値)/2 を当日を入れて26日未来の位置にプロット
[先行スパン1と先行スパン2に囲まれた領域を抵抗帯または雲とよぶこともある。]
遅行スパン:当日の終値を当日を入れて26日過去の位置にプロット
著者は言う。“昨今の解説は、単に均衡表3役(転換線と基準線、価格[株価]と遅行スパン、価格と抵抗帯)の関係で全てを論じるものが大半である。確かに均衡表3役は大事である。しかし、均衡表3役でもって本来の均衡表とは言わない。ここでは決して逆も真なりの世界ではないのである。こうした傾向に危機感を感じ、均衡表が持つ奥深い内容の一端を垣間見て欲しいと願って、本書はあくまでも基礎編として書き表したものである。均衡表への関心が高まった折、こうした流れを誤解のなきよう本来、社内向けに書いたものをまとめたものである。”
また、次のようにも言っている。“均衡表は相場分析論としても傑出している。時間諭、予測値の観測、波動論が三大骨子であるが、さまざまな均衡表グラフの中で基準線と転換線の関係のみならず、その他のスパンなどが、その時々にどのような均衡を持ち、そのいずれの均衡が破れる時に相場が変化を来すのかが分かっていなければ、真の均衡表の修得者とは言えない。最も大事な考え方は、時間論にある。師(一目山人)が最も力説されているのは、この時間こそが相場そのものであるという点にある。古来,一足(ロ-ソク足の組み合わせ)や近代米国から伝わったトレンドライン分析等の力学的分析手法、カギ足を始めとする非時系列の分析手法などが主流をなしてきたが、時間を軸とする考え方は、わが国では『一目均衡表』が最初である。昭和10年代からすでに相場分析の中に時間諭を組み込んで研究された一目山人の考え方は、時代をはるかに先取りした希有な概念であった。”
そして、(秩)経済変動総研細田哲生氏は次のように言っている。
“一目均衡表とは
①基準線、転換線などを基に知る相場の均衡状態
②基本数値、対等数値、波動論を活用して求める時間の均衡、中心
③N、 E、 NT等の予測計算値を使って分かる一定期間における値幅中心点を知ることによって、過去から現在までの相場の変遷を検証、確認し、将来の変化などを見据え予測する相場理論であり、かつ売買決定法なのです。”
均衡表では、“時間を主人公とすると、副主人公が「値幅観測」である。基本的な値幅の観測手法として4つの計算法(V、N、 E、 NT)を根底において、価格の変動を観測している。” とも言っている。
私が もっとも注目する点が“買い場”に言及している次の点だ。
“①転換線に押さえられ下げ続けた相場が、ようやく転換線を突破(打診買い)。
②次いで基準線を突破するか、または均衡表が好転。
③遅行スパンが好転。
④実線が抵抗帯の下限を突破。
⑤対財1抵抗帯の上限を突破。
ほぼ、このような順で進行することが多い。普通は、 ②~③のステップで買い時代(本格的な上昇相場)となることが多い。”
しかし、全体を読んでみて、一目均衡は表は聞いていた程の金科玉条のものではなく、従来の罫線の読解テクニックと併せて使用するものだということのようだ。本の終盤で “酒田五法”との併用を唱えている。そして、相場転換点の“型譜”を紹介して終わっている。
ここで、売り場はどこか、と言えば、一応、“転換線が基準線の上から下に交差した時、狭義の均衡表が「逆転」したと表現する。転換線と基準線の二者の関係だけでは、 「売り」となる”としている。
しかし、実際は4つの計算法(V、N、 E、 NT)で得られた目標値を達成した段階で、“売る”って逃げるのが正解のようだ。だが、V、N、 E、 NTのいずれが正解なのかは、どうやら時間軸で判断するもののようだが、このパターン認識に やっぱり勘と経験が必要なようで難しい。
“勘と経験”の無い者にとって、まぁ、知っていた方が“まし”といった知識なのだろうか。まさしく、“猫に小判”。だが、経験を積めばその内 ものすごく役に立つ?
そう言えば、こんな逸話を ある本で読んだことがある。アルプスで遭難した人が 何とか自力で下山して来たという。どうして自力で対処できたのか、と聞くと、この地図のお蔭だという。そこで、その地図を確認すると 間違った地図だった、という。盲人、蛇におじず、の判断が可能となったのだろう。要するに、そういった類のものが この世にはあるのだ、ということなのかもしれない。
そのためには、“相場について行く”要領が必要になる。そのためには、株式チャートが読めなければ、個別銘柄の現状が どうで、今後どうなるかの おおよそを把握するべきである。先日、ある証券会社の戦略セミナーで、ヨーロッパ情勢が不透明で その今後について解説して欲しいと講演者を困らせる聴衆が居た。今、かなりの専門家でもこれを解説することは困難で、誰にも分からないのが実情である。このような時こそ、“相場について行く”要領が必要になる。政治状況が問題なのではなくて、相場そのものが問題なのだから。
そういう訳で 少なくとも株式チャートを読む場合に“最強” ―少なくとも 私はそのように思わされている―と評されている手法の“一目均衡表”を用いて 少なくともある程度の解釈ができるようになりたい、そのための知識を得たいと思っていて、このほどその本が入手できたので、ここに紹介したい。
さて、この“一目均衡表”とは どうやら一目山人(本名:細田悟一)という日本人が開発した手法のようだ。意外なことだが、こうした株式のチャートについて結構日本人の手になるものが多い。何せ、あのローソク足のチャートは江戸時代大阪の堂島の米相場で開発された手法だという。この“一目均衡表”についても、ある著名な欧米人相場師が秘密の手法があると日本人に内緒で示したのがこれだった、という逸話も聞いたことがある。
この手法は本来、開発者の一目山人の著作により学習するべきであり、一目均衡表7部作というものがあり、少なくともその内の4部を読むのが本筋とされていて下記のものがあるようだ。
●第1巻「一目均衡表」 定価20,000円 ●第2巻「-目均衡表 完結編」 定価30.000円
●第3巻「一目均衡表週間編」 定価30.000円 ●第4巻「わが最上の型譜」 定価30,000円
いずれも㈱経済変動総研からの出版で2万円から3万円もし、高額でありなかなか手がでない。そこで、多少覚悟の座っていない私のような多くの人々が入手して読もうとするのが、今回紹介する本ということになっているようだ。それは、佐々木英信著“一目均衡表の研究”㈱投資レーダー(1996)である。著者は証券会社出身で“日経金融新聞の人気アナリスト・ランキングにおいて,テクニカル・アナリスト部門で、 1995-2001年と7年連続でNQ lに輝いた日本を代表するアナリスト”とのこと ということだ。
“一目均衡表”は、基準線と、転換線、先行スパン1、先行スパン2、遅行スパン、と当日の株価データから成っている。定義は概略次の通りだが、詳細は本書を読んでいただきたい。
基準線:(当日を含む過去26日間の中の高値+同安値)/2
転換線:(当日を含む過去9日間の中の高値+同安値)/2
先行スパン1:(当日の転換線+同基準線)/2 を当日を入れて26日未来の位置にプロット
先行スパン2:(当日を含む過去52日間の中の高値+同安値)/2 を当日を入れて26日未来の位置にプロット
[先行スパン1と先行スパン2に囲まれた領域を抵抗帯または雲とよぶこともある。]
遅行スパン:当日の終値を当日を入れて26日過去の位置にプロット
著者は言う。“昨今の解説は、単に均衡表3役(転換線と基準線、価格[株価]と遅行スパン、価格と抵抗帯)の関係で全てを論じるものが大半である。確かに均衡表3役は大事である。しかし、均衡表3役でもって本来の均衡表とは言わない。ここでは決して逆も真なりの世界ではないのである。こうした傾向に危機感を感じ、均衡表が持つ奥深い内容の一端を垣間見て欲しいと願って、本書はあくまでも基礎編として書き表したものである。均衡表への関心が高まった折、こうした流れを誤解のなきよう本来、社内向けに書いたものをまとめたものである。”
また、次のようにも言っている。“均衡表は相場分析論としても傑出している。時間諭、予測値の観測、波動論が三大骨子であるが、さまざまな均衡表グラフの中で基準線と転換線の関係のみならず、その他のスパンなどが、その時々にどのような均衡を持ち、そのいずれの均衡が破れる時に相場が変化を来すのかが分かっていなければ、真の均衡表の修得者とは言えない。最も大事な考え方は、時間論にある。師(一目山人)が最も力説されているのは、この時間こそが相場そのものであるという点にある。古来,一足(ロ-ソク足の組み合わせ)や近代米国から伝わったトレンドライン分析等の力学的分析手法、カギ足を始めとする非時系列の分析手法などが主流をなしてきたが、時間を軸とする考え方は、わが国では『一目均衡表』が最初である。昭和10年代からすでに相場分析の中に時間諭を組み込んで研究された一目山人の考え方は、時代をはるかに先取りした希有な概念であった。”
そして、(秩)経済変動総研細田哲生氏は次のように言っている。
“一目均衡表とは
①基準線、転換線などを基に知る相場の均衡状態
②基本数値、対等数値、波動論を活用して求める時間の均衡、中心
③N、 E、 NT等の予測計算値を使って分かる一定期間における値幅中心点を知ることによって、過去から現在までの相場の変遷を検証、確認し、将来の変化などを見据え予測する相場理論であり、かつ売買決定法なのです。”
均衡表では、“時間を主人公とすると、副主人公が「値幅観測」である。基本的な値幅の観測手法として4つの計算法(V、N、 E、 NT)を根底において、価格の変動を観測している。” とも言っている。
私が もっとも注目する点が“買い場”に言及している次の点だ。
“①転換線に押さえられ下げ続けた相場が、ようやく転換線を突破(打診買い)。
②次いで基準線を突破するか、または均衡表が好転。
③遅行スパンが好転。
④実線が抵抗帯の下限を突破。
⑤対財1抵抗帯の上限を突破。
ほぼ、このような順で進行することが多い。普通は、 ②~③のステップで買い時代(本格的な上昇相場)となることが多い。”
しかし、全体を読んでみて、一目均衡は表は聞いていた程の金科玉条のものではなく、従来の罫線の読解テクニックと併せて使用するものだということのようだ。本の終盤で “酒田五法”との併用を唱えている。そして、相場転換点の“型譜”を紹介して終わっている。
ここで、売り場はどこか、と言えば、一応、“転換線が基準線の上から下に交差した時、狭義の均衡表が「逆転」したと表現する。転換線と基準線の二者の関係だけでは、 「売り」となる”としている。
しかし、実際は4つの計算法(V、N、 E、 NT)で得られた目標値を達成した段階で、“売る”って逃げるのが正解のようだ。だが、V、N、 E、 NTのいずれが正解なのかは、どうやら時間軸で判断するもののようだが、このパターン認識に やっぱり勘と経験が必要なようで難しい。
“勘と経験”の無い者にとって、まぁ、知っていた方が“まし”といった知識なのだろうか。まさしく、“猫に小判”。だが、経験を積めばその内 ものすごく役に立つ?
そう言えば、こんな逸話を ある本で読んだことがある。アルプスで遭難した人が 何とか自力で下山して来たという。どうして自力で対処できたのか、と聞くと、この地図のお蔭だという。そこで、その地図を確認すると 間違った地図だった、という。盲人、蛇におじず、の判断が可能となったのだろう。要するに、そういった類のものが この世にはあるのだ、ということなのかもしれない。
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