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会社ビジョンの実例

ミッション経営理念”という本に出ている会社のビジョン実例を 拾い読みしてみました。
考えてみれば 各社のホームページを覗けば大抵出ていますが、この本によれば一気に縦覧可能です。

こういう類のもので、先ず見るべきは、松下電器産業で 松下翁の哲学がにじみ出ているという印象です。日本の会社のビジョンの原型であると思います。何と昭和4年、創業者の松下幸之助が制定の由。
この昭和4年には浜口雄幸内閣が成立していますが、昭和2年の金融恐慌から、昭和3年の満州某重大事件、昭和5年の金輸出解禁という 政治経済混乱の時代であったようです。

「綱領:産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す

信条:向上発展は各員の和親協力を得るに非ざれば得難し 各員至誠を旨とし一致団結社務に服すること

松下電器の遵奉すべき精神
一、産業報国の精神
産業報国は当社綱領に示す処にして我等産業人たるものは本精神を第一義とせざるべからず
一、公明正大の精神
公明正大は人間処世の大本(たいほん)にして如何に学識才能を有するも此の精神なきものは以て範とするに足らず
一、和親一致の精神
和親一致は既に当社信条に掲ぐる処個々に如何なる優秀の人材を聚(あつ)むるも此の精神に欠くるあらば所謂(いわゆる)烏合(うごう)の衆にして何等(なんら)の力なし
一、力闘向上の精神
我等使命の達成には徹底的力闘こそ唯一の要諦にして真の平和も向上も此の精神なくては贏(か)ち得られざるべし
一、礼節謙譲の精神
人にして礼節を紊(みだ)り謙譲の心なくんば社会の秩序は整わざるべし正しき礼儀と謙譲の徳の存する処社会を情操的に美化せしめ以て潤(うるお)いある人生を現出し得るものなり
一、順応同化の精神
進歩発達は自然の摂理に順応同化するにあらざれば得難し社会の大勢に即せず人為に偏(へん)する如きにては決して成功は望み得ざるべし
一、感謝報恩の精神
感謝報恩の念は吾人(ごじん) に無限の悦びと活力を与うるものにして此の念深き処如何なる艱難(かんなん)をも克服するを得真の幸福を招来する根源となるものなり」

言葉が古いので 少々堅苦しい印象ですが、何か 背筋が ピーンと伸びる雰囲気というか迫力を感じます。風雪に十分に耐えて なお生き生きと私たちの心に迫る高い精神性があります。松下の事務所内で額に掲げられているのを見たことがあります。

松下翁を敬愛する稲盛氏の京セラでは 先ず 西郷隆盛の言葉“敬天愛人”が出てきます。
“三愛の精神”で有名な リコーも見てみるべきです。
今度 経団連(社・日本経済団体連合会)会長のキャノンはどうか。このホームページでは期待はずれという印象です。

前経団連会長のトヨタ自動車、言わずと知れた乗用自動車の巨大メーカーですが、もはや「車」という言葉が見当たりません。

「1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する」


同じ自動車会社のマツダでは何故か「クルマ」という表記になっています。(“ミッション経営理念”の本には掲載されていません。)

「1999年12月、新たに“企業ビジョン”を制定した。“企業ビジョン”は、“Vision(企業目標)”、“Mission(役割と責任)”、“Value(マツダが生み出す価値)”の3つの要素で構成され、マツダとマツダの社員が目指すもの、その役割と責任、それをどのような価値観をもって達成するのかを表す。
Vision:新しい価値を創造し、最高のクルマとサービスにより、お客様に喜びと感動を与え続けます。
Mission:私たちは情熱と誇りとスピードを持ち、積極的にお客様の声を聞き、期待を上回る創意に富んだ商品とサービスを提供します。
Value:私たちは 誠実さ、顧客志向、創造力、効率的で迅速な行動を大切にし、意欲的な社員とチームワークを尊重します。環境と安全と社会に対して積極的に取り組みます。そしてマツダにつながる人々に大きな喜びを提供します。」

マツダは フォードの子会社だからでしょうか、米国式の “ザ・ビジョン”の基本に従った 理念設定に近いものであると思います。

キリンも 面白いなぁと思います。

見るべき会社のものはもっと他にもありますが スペースも限られます。
以上のようですが、“目的,価値観,ビジョン”という要素が どのように織り込まれているのか、或いは欠落しているのか どう見るかが 面白いです。それから 誰が見ても分かること、簡潔であることも重要な要素だと思うのです。
起業する時に その方向性を 明らかにしておくのも 戦略的方向転換を余儀なくされるような場面には その判断の方向を 誤らないために重要なのだろうと思います。

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