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ウィークリー・トレーダーを目指す?―“株式投資これだけ心得帳”を読んで

昔バブルだった頃、日本はアメリカを買いまくった、わっかるかなぁ~わかんねぇだろうなぁ♪へへィヘ~ィ、イェィ!
昔バブルだった頃、猫も杓子もブランド品を買い漁っていた、わっかるかなぁ~わかんねぇだろうなぁ
昔バブルだった頃、少しでも小金を持った奴は土地や株の投機に走った、わっかるかなぁ~わかんねぇだろうなぁ

あのバブルの頃は投機が投機を呼び、リゾートも金になり、政府も余暇時代を煽ったそんな風潮だった。
私の職場にも株売買が“財テク”と称して及んで来ていた。生産現場の第一線でグループ・リーダーだった男が私の仕事の応援のため配下に入ったことがあった。その男、仕事でも気の利いた男だったが、株を趣味にしていた。そして それまでの平均株価や、目を付けていた長年の株の手書きのチャートを持っていた。それはいわゆるロウソクのものではなく、週間の高値と安値を一本の線で結んだ線分で1mm方眼のグラフ用紙に鉛筆書きされたものだった。それでも見事に描き上げられた印象だった。彼はそのチャートに基づいて株式売買の解説をしてくれたものだった。後日、私もそれを真似て描いてみたが、データを集める作業も記入すること自体も見かけより大変な労力と忍耐を必要とするものだった。
そして、私自身は自分の勤める会社の株価が見たことのない価格に上昇したのを見て、持ち株会の株の一部を恐る恐る売った。売ったが、その後さらに値上がりした、そこで未だ残っていた株の一部をまた売った。その後もまた値上がりした、そしてまた売った。こうして、図らずもいわゆる売り上がるという理想的な結果となってしまった。
さらに その余勢を駆って、造船株を買った。その会社、学生時代に就活した先であり当時も未だ若干思い入れがあったということもあったが、既に 造船ブームも去った後の時代で、誰も見向きもしない株であった。そんな株でさえ上がって利益を手にできたものであった。その会社 大阪の名門企業で未だ造船会社を名乗ってはいるが、残念なことに現在は船は作っていない。

最近、偶然に入ったとあるブックオフの書棚で、“株式投資これだけ心得帳”という標題の文庫本が目に入った。確かどこかで、推薦図書に挙がっていたように思ったが105円だった。このところヒマを囲っているので、株へもう一度 復帰しても良いかなぁと思いつつ手に取り、そして昔バブルだった頃を思い出したのだった。
そう言えば 今や株の売買もネット上で容易に即座にできる。株価データも随時手に入れられ、それに基づいてエクセルで容易にチャートも描けるし、データの加工も容易だ。そのチャートすら自分で描かなくてもタイムリーに見ることもできる。あの鉛筆書きで線を1本描き入れるにも苦労して時間と労力を費やすことはない。株式売買の環境は以前より格段に整っている。なので 思い直して株に再参戦しても良いのかなぁと思い始めてもいた。

読み始めると 本書のキャッチフレーズが当初“株式投資を行う際にとりあえず必要な知識と知恵を、1時間程度で学べる書籍”だったが、文庫本にする時増補して“2~3時間くらいかかる”とまえがきにあり、遅読の私でも 読めると確信してとりかかったが、結局3日経ってしまっていた。
それより、そのまえがきに“比較的容易に読める書籍だったため、筆者が予想したよりも多くの読者に支持され、バンローリング・トレーダーズショップの「ブルベア大賞2004」”に選ばれたという。だから推薦図書だったのか、と納得。著者はあの山一證券で株式ディーラーを経験し、99年に投資顧問会社を設立したというプロである。

読み始めて、株式取引に必要な独特の術語はこと細かく説明はしてくれてはいないので、全くの初心者向けではなく、一度は関わったような私には適切なレベルのようだ。とにかく昔を思い出しつつ読み始めた。忘れていたようなこともあったが、まずは心構えから始まっていた。最初に曰く“予知能力などない”であった。実にこの覚悟が株式投資には必要なのだ。これは実際に売買する時に呻吟して思い知ることなのだ。そして“楽しく楽に売買できないうちは、まだあなたは自分に合ったやり方に到達していない”とある。確かにそうなのだろう。実際にやってみて 初めて思い知る台詞なのである。
次に面白いと感じた台詞は“(囲碁・将棋や野球と違って)初心者と超ベテランプロが入り混じって、(しかもハンディ無しで)真っ暗闇で戦うのがマネーゲームである。だから最低限の勉強をして売買に臨まないと、プロが仕掛けた罠に簡単にひっかかってしまう。もちろん勉強を重ねたプロでも引っかかることはよくある。しかし勉強しておけば、「知らないがゆえにひっかかる罠」を避けて通ることぐらいはできる。”である。
だが、いくら“お勉強”して必勝法を編み出しても“他の人に知れたら、結局皆同じことをしてしまうので、必勝法でもなんでもなくなる。”だから株式投資には必勝法は無いと思うべきだ、というのだ。まぁ それを秘密にしていれば別の話だが。

とにかく、確かに“株式投資を行う際にとりあえず必要な知識と知恵”が一応もれなく書かれている印象だ。その意味で良書である。だが、チャートの読み方については、著者の山一時代 社員教育でロウソク足の書き方は習ったが、どういうパターンでどう予測するかなどの読み方は教わらなかったといい、書いてはくれていない。それを知らずに山一で営業もしていたと言いうことで、その程度のものだと言っている。本当に 何も知らないのだろうか。恐らく、それに触れてしまうとキリがなくなり、短時間で読める本ではなくなるのだろう。
そうは言うもののチャートの中のチャート、“一目均衡表”についての解説が わずかだが端的にしてある。この手法、日本人の発明だが、そうとは知らず海外で著名なディーラーが得意そうに、秘密のチャートだと もったいぶって見せてくれたのが、このチャートだったという逸話があるという、それくらい有難いチャートだと聞いている。この本では、五本の折れ線の計算方法と共に売買サインについて端的に手短に説明してくれている。しかしこのチャートは“経済変動総研の著作物であり、詳しくは同研究所の著書を参照されたい。”とある。だからプロは必ず見ていることが前提条件となる。大抵のチャート指標解説書には必ずこの一文がついており、著作権問題があるので深くは解説できないようなのだ。
その他にもRSIやDMIの指標説明も簡単にある。そして、ここでいきなりこの本は終わってしまう。

先程も述べたが、PC(パソコン)とエクセルの無い時代より、データは集め易く、売買も証券会社と契約すればネット上で容易にできる。以前は営業時間内に電話で売買の意向を担当の営業マンに伝えなければならない。それが僅かな注文であっても、そうするしか方法がなかった。その売買が間違いなく実施されるまでは気が気でない気分もあった。今や そんなことは一向に気にせず機械相手に注文を出せる。
そして、その戦場は“初心者と超ベテランプロが入り混じって、真っ暗闇で戦う”場所だ。それこそ手描きのチャートのローテクでやろうが、第六感でやろうが勝手だ。ローテクの方が本質が見えることも在るかも知れないし、だから意外にローテクで勝てる場合もあるに違いない。
企業情報にしても、外部者が知りえぬ情報を使って内部者が 取引することは禁じられている。このように情報の非対称性は少なくなっており、市場の公平性は昔とは格段に保証されて来ている。
だから ディ・トレーダーも結構やれるようになって来たのだろう。私もディ・トレーダーと言うほど入れ込むことはしないつもりだが、ウィクリー・トレーダーくらいならやれるのかも知れない。持続可能であれば選択肢としては有りうることではある。

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