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事業仕訳

政権が替わって、国家予算のムダが排除されて、財政規律の回復へ向けての動きが進展して行くものと思っていたが、税収の減少下において、史上最大規模の予算要求となるという。これは どうしたことか。
そこで、予算のムダをあぶり出す“事業仕訳”となった。これには 多方面からの圧倒的支持の声が満ち満ちた。
旧政権側からの“公開処刑だ”とか、“仕訳人の資格はどうなっているのか。仕訳人の削減の権限は法的根拠がない。”などとの声も、支持の声に圧倒されて霧散した観がある。

“公開処刑”より密室暗殺の方が陰険ではないのか。
それに、“仕訳人の資格”を云々するならこれまでの様々な審議会の審議員の資格はどうなっていたのか。それこそ官僚が 自分たちの好都合な人物を仕立て上げて、重要な法案や政策を作って来たのではないか。そういう法案や政策の形成過程への反省がなくて、どうして仕訳人の資格をとやかく言うのだろうか。
国民の“政治参加”が 強調されてきている状況で、今更 資格をとやかく言う段階ではないのではないか。資格を云々するならば、裁判員制度は 相当乱暴な仕組ではないのか。

そういう事業仕訳の中で、仕訳けられた側から“不当な削減だ”という声が 2,3上がっているようだが、仕訳け人との議論で敗れた後から “あれは不当だ”と 言い募るのは、自分たちのいい加減な覚悟や準備不足で参加したことを棚に上げて、卑怯ではないか。
ムダの排除に聖域があっては その達成が困難なことは自明なのだ。
その聖域の一つが“科学技術振興”だ。例えば、スーパーコンピュータの開発だ。在来型のコンピュータの構成を検討しなおして、スーパーコンピュータを国家予算で開発することで、どのような恩恵が得られるのか。その結果が “世界で1番”でなければならないのは どういう理由からなのか。
量子コンピュータの開発なら まだ意味がありそうな気がするが、在来型のコンピュータを並べて一瞬の “世界一”に どんな意味があるというのか。どんなんに見ても決してクレバーな投資だとは思えない。
その結果が 温暖化のシミュレーションという 今や占いに近いような非科学的な研究に浪費されることに大いに疑問に感じるのだ。温暖化のシミュレーションの中身が一体どういうものなのか。温暖化シミュレーションの研究者の本を読むと、あの1週間先の天気予報があたらないプログラムを基本としたモデルを用いているという。そんなもので、10年後、50年後が的確に予測できるなどとは とても思えない。予測の精確度を上げるために より複雑な要素機能をプログラム・モデルに付け加えたいというのだが、おそらくそのような長期シミュレーションには、ハード、ソフト両方のパラダイム変更が必要な段階に来ているのではないのか。従来型のコンピュータに従来型の計算モデルの精度を幾ら上げてもムダではないのか。
だから、現時点では スーパーコンピュータの開発は不要不急の段階に来ていると思うのだ。要するに 在来型の研究開発指向は行き詰っているのだ。だからこそ、仕訳け人に突っ込まれて適切な答弁ができなかったのではないか。
真摯な姿勢を、“科学者”達も取り戻して欲しいのだ。ノーベル賞受賞者が権威を背景に、“予算削減の不当さ”を叫ぶのはみっともない姿だと思うのだ。“不当”を叫ぶことで 彼ら自身の既得権を守ろうとしているのではないかと勘ぐりたくなる。そうではないことを祈りたい。
むしろ思惟上でのパラダイム変更の研究には それほどの予算は 必要ないのではないか。今は“科学者”達も そういう方向に研究の矛先を変えて欲しいものだ。かつて、日本が貧しかった頃、研究者は苦労して研究目標を考えたものだった。そういう姿勢を取り戻して 工夫して欲しいと思うのだ。

目下、日本は国家財政の危機的状況と経済的苦境にあるのだ。そのことを改めて 国民皆で真剣に自覚する段階に来ているのだ。他人事ではないのだ。

それにしても国家戦略が見えない。民主党政権は、“国家戦略室”というハコモノを作ったが そこには“人”どころか、コンクリートすら見えないのは 残念だ。戦略やその背景となる“思想・哲学”などは 政権を奪取する前から、政治家になる前から持っているべきなのにもかかわらず、それが一向に外にでてこない。これは、どうしたことなのか。
日本の政治家は、展望のない政争に明け暮れて、政敵を潰す手練手管のみに長けてしまい、理想や夢を失ってしまっているのだろうか。こういう 政治家ばかりになってしまったのは 日本社会に何らかの重大な欠陥が潜んでいるのだろうか。

何だか 日本全体がフヤケてしまっているような気がする。どうして こうなってしまったのか。
“♪どこから、どこまで真っ暗闇さ”、その闇は益々深くなって来ている。それが今の日本なのだ。いつ このような状況を脱却できるのか。今や、そういう危機感すら感じなくなっているのか。

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