The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
“ISOを活かす―31. 発生原因対策と流出原因対策で、クレームの再発を防止する”
今回は 抜き取り検査の精度にかかわるクレーム対策が テーマです。
【組織の問題点】
自動車部品メーカーA社では、顧客クレームの対策のために、製品の全数検査を余儀なくされています。これは顧客の受入検査で、規格はずれの寸法不良品が見つかったためです。原因は製造段階にあったのですが、出荷検査は抜き取りで実施されていたため不良が検出されなかったのです。
これに対し 顧客の自動車メーカーのB社は、それだけでは満足してくれないため、A社は どのような品質システム改善をすればよいか、という課題です。
【磯野及泉のコメント】
クレーム対策には 発生原因と流出原因への対策の 2つの類型に整理できるという著者の指摘は 勉強になります。
しかし、気になるのは、“顧客の自動車メーカーのB社は、それだけでは満足してくれない” ということにA社はどうするべきか、著者・岩波氏は明確には答えていません。“できれば発生原因対策をとるのがよいでしょう。” で終わっていますが、それで良いのでしょうか。
ISO9001では “是正処置は、発見された不適合のもつ影響に見合うものであること。” となっています。つまり、どの程度まで 是正処置(再発防止策)をとるべきかは 組織(自社)が そのリスクに見合う程度で実施するべきであると、当事者に “ゲタを預け” られています。つまり、コストに見合う対策をとる必要があるのですが、顧客の“B社は、それだけでは満足してくれない”ことを どのように考えるべきか、コスト負担が大きくても B社が A社の メイン顧客であるならば 相当な対策をとるべきでしょう。大抵の場合は 発生原因の根本的再発防止策をとるべきでしょう。
とにかく、そもそもの問題は、製品の開発段階で不安定なというか バラツキの大きな製造工程や条件のままで 商用製品化したことが 根本原因です。検査は 全くしなくても大丈夫というようなレベルにまで頑強に安定(ロバスト)な製造工程や条件を開発するべきだったのです。
ロバストな製造工程や条件を開発しなかったために コスト負担など 商用生産後に 余計な心配や 時間をかけなければなりません。そうならないために 品質工学を適用して 製品開発するのが基本だったと言えるでしょう。また 今回もこれまで何度か述べたことと 同じ結論になってしまいました。
顧客が 自動車メーカーであれば “なぜ 品質工学を適用して安定した製品製造プロセスを開発しないのか” と 今や強く要請されるのではないでしょうか。日本の殆どの 自動車会社は 品質工学を使っているようです。場合によっては その自動車会社から品質工学の適用手法の指導を 仰げることもあるのではないかと思われます。
“顧客の自動車メーカーのB社は、それだけでは満足してくれない”の背景には B社側にそういう不満があるようにさえ思います。
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