The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
「ウソと不正」の・・・―今沢 真・著“日産、神戸製鋼は何を間違えたのか”を読んで
“正直、公正、丁寧、謙虚”これは普通人にとって常識的徳目。
ところが、自民党では“正直と公正”を唱える総裁候補を見ると個人攻撃だと見る議員が多いらしい。つまり明らかに対立候補の安倍氏への攻撃と見、安倍氏は“ウソと不正、乱暴、傲慢”の象徴だという自覚は皆が持っている。自民党ではそれが常識なのだ。つまり、自民党は“ウソと不正、乱暴、傲慢”の党なのだ。それが政権を担っているのが、日本の現実なのだ。日本では、“ウソと不正、乱暴、傲慢”を40%もの人々が支持する国なのか。それが“先進国”なのか。三流国家ではないのか。悲しい現実だ。
何だか、安倍氏は正々堂々と政敵・石破氏と論戦することを避けている。
朝日新聞によれば“9月7日告示の総裁選は、20日の投開票日を除くと選挙期間は13日間”だが、論戦を避けるために、“11~13日にロシア極東ウラジオストクで開かれる国際会議(東方経済フォーラム)に首相が出席を予定し、前後各1日を空けるよう首相側が求めた”という。これで、“遊説日程は、8日の東京、15日の京都・佐賀、16日の三重・北海道の計5カ所にとどまり、選挙戦となった2012年の17カ所から大幅に減った。”という。
ここにも安倍氏の“姑息”の本性が現れている。“ウソと不正、乱暴、傲慢”に“姑息”が付け加わる訳だ。
ところで、“東方経済フォーラム”は、日本の首相がわざわざ出席しなければならないほど、そんなに重要な会議なのだろうか。千島返還の焦点は日米安保の日本主導の改訂ができるかどうかにあるのであって、いくらプーチン氏にゴマをすっても無駄であることは分かっている。ここでもジャパンマネーを無駄に消耗する約束ばかりするのだろうか。それとも、安倍氏が妙に熱心なのは、ウラに国費を使ってのどんな“不正”を企んでいるのやら。過去の外遊も日本の首相にしては多すぎるような気がする。そこに“不正”や利権は無いのだろうか。この人、国費を不正に費やすのは平気な人なのだから、注意が必要だ。
総裁選の争点隠しは、報道機関にも首相外遊時には関連報道はするなという“御触れ”を出しているらしい、ことにも現れている。まるで習金平政権のようなやり口だ。これが自由で民主的な自由民主党の政権がやることだろうか。まさに“不正で姑息”。それに対して、日本のマスコミは忖度して従順だ。
ところで日本政府が極秘で独自に北朝鮮と接触したことにトランプ氏は不快感を示したと言う。あたかも、日本は独立国ではないかのような印象を受ける。それに日本政府が抗議したとは、聞こえてこない。やっぱり、日本は植民地国家なのか。強きに屈し、弱きに強い、これも安倍政権の本性なのだ。これで、その徳目に“卑怯”が加わる。
いずれ安倍氏による永久政権ができる可能性も出て来たのではないか。一旦、手にした利権は手放したくないのが、人間の本性だからだ。憲法改正で緊急事態条項を発動する狙いがあるのではないか。それで憲法改正を急いでいるのかも知れぬ。
さて、ここまで政権の“ウソと不正”について述べてきたが、ここからは最近の企業不正について書かれた、今沢 真・著“日産、神戸製鋼は何を間違えたのか”を読んだので、言及したい。
この本は実業を知らない、或いは知ろうともしないジャーナリストという誇り高い人々に属する御仁が書いた本なので、良く分からない部分が多々ある。だから、私はジャーナリストが書く工学系の記事や書籍はあまり深くは信用しないことにしている。この本は、既出の新聞記事の事件事実の整理・羅列で終わってしまっていて、その背景まで詳しく書いたものではない。だから何が原因で、その組織のどこに問題があるのか、さっぱり分からない。当事者達に対する今流行りでない“潜入調査”(きちんと許諾を得ていても“潜入”という)による事実記載は一切ない。これでは書籍発刊の意義は半減してしまい、体のいい印税稼ぎのサイド・ワークではないか。
この本の目次は次の通り。
第1章 発覚!日産の無資格検査
第2章 社長謝罪後も続いていた不正
第3章 日産の“失われなかった20年”
第4章 無資格検査の“最終報告”
第5章 カルロス・ゴーン会長はどこに?
第6章 スバルの無資格検査と終わらない混乱
第7章 神戸製鋼の品質データ不正
第8章 データ改ざんの背後に「トクサイ悪用」?
第9章 ネット投稿をきっかけに不正を公表した東レ
第10章 三菱マテリアル子会社3社の品質データ不正
終章 三菱マテリアル報告書に書かれた衝撃の中身
表題は、日産、神戸製鋼となっているが、スバルや三菱マテリアルについても“ついでに”書かれている。だが、スバルや三菱マテリアルについてはとりわけ内容は希薄。現実に存在する真実はそれぞれに違う問題を抱えているはずだが、その点に触れることなく、あたかも同じような問題を抱えているかのような印象を与えるように表現されている。これにより、全体にも“いい加減”感が漂ってしまう。つまり、迫力がまったく感じられない“ついで”感が強く、貴重な時間を費やして読まなくても良い、どうでもいい本なのだ。
そこで、ここから先私の知り得る限りの知識・経験を総動員して憶測を述べるこことしたい。それが実態に迫るものであれば嬉しいのだが。
日産自動車の不正に関する焦点は2つあると私は考えている。一つは、これまで築き上げてきた自分たちの作り込み技術への過信。品質工学では究極の作り込み技術は検査を不要にすると、説いている。余り一般には知られないことが不思議なのだが、日本の各自動車会社はタグチ・メソッドをはじめとする品質工学を高度に使いこなしている。勿論、日産もその一社だ。そこで検査工程を省略すれば、その分コスト・ダウンは進む。だから恐らく検査を重視しない風土が出来上がったという可能性は無きにしもあらず、ではないか。
もう一つは、コンプライアンスだ、というより、その軽視だ。例えば今盛んに指摘される日本人の労働時間。これには法規制があるが、どんな大手企業でも法規制を遵守しているとは言えない状態だった。日本企業のコンプライアンス意識とは実はその程度だった。だがパワハラから長時間労働を課している実態が表ざたとなり、問題になり始めている。日本社会の法規範意識が少しずつ変化してきているのが現状だが、未だに根っこには形式的な変なコンプライアンス意識だけが暴走している気配があり、真摯に法規制を遵守する意識は低いものと思われる。多分、横並びで“順法”しようという姿勢で戦々恐々ではないだろうか。実は、もはや横並びそのものが不正につながるものと覚悟するべきなのだが。
しかし恐らく、トヨタはその点でも、ぬかりなく慎重に踏み外す愚を犯さなかったのではないか。トヨタも品質工学の鬼を要請する教育機関すら持っている企業だが、さすがに総体に慎重なリーディング・カンパニーは一味違うと感嘆せざるを得ない。
私は自動車会社で働いたことがないし、審査もした経験がないので良くは分からないが、一般的にはプロセス毎に標準や手順書があり、それが国の定めたプロセスならば、それに従がって標準や手順書は作成されなければならないはずだ。その点を内部監査は勿論、ISO審査もどうやってくぐり抜けていたのだろうか。まさか重要な製品出荷検査プロセスを審査対象から外していた、ということはあるまい。
このISO審査について日経新聞は簡単に次のように報道している。“ISOの審査を手掛ける日本ガス機器検査協会(東京・港)が立ち入り調査を実施。10月31日付で従来の認証範囲を縮小して国内向け車両の生産を除外することを決めた。”
ガス機器検査協会の審査員が、自動車会社への法規制全てとその内容を把握していなかったのか。或いは知識のない審査員を派遣していたのか。そんな疑問が湧いてくる。ガス機器検査に関する法規制ならば得意だろうが、自動車産業には無理があるような気がする。
自動車会社からの審査を受注した際に、審査にどういう能力が必要なのか検討したのだろうか。受注プロセスで組織は何をなすべきか、ISO9001の規格要求事項をこの協会は熟知していないのだろうか。とにかく問題が起きてから、“認証範囲を縮小”して責任をとったつもりなのだろうか。この体たらくでは、ISO9001への世間の信頼はますます薄れてしまうだけではないのか。JABからこの協会に対し厳しい仕置きはないのだろうか。それもなければ、ISO9001への世間の信頼は風前のともし火だろう。否、すでに風前のともし火なら、今後誰も見向きもしなくなり、こうした事件も問題にすらならなくなるだろう。それでは“ISOマネジメントは何の効果もなく、オナニーのようなモノで余計なコストがかかるだけ”となってしまうだろう。
だが、それでも自動車会社は傲慢にも、ISO/TS16949(今やIATF 16949)を部品供給会社や材料メーカーに押し付けてくるのであろうか。客観的道義的に矛盾はあるが、多分、そうなのだろう。そうでなければ多量の多種多様な材料や部品を外部から調達している彼ら自身が身を守れなくなるからだ。だがしかし、そうした独善性はいずれ近い将来に身を滅ぼす遠因となるだろう。こうしたISOマネジメントの問題にもこの本は全く触れていない底の浅いものだ。
この本では、日産自動車から多額の報酬を得ているゴーン氏への責任追及を多少の紙幅を割いているが、それも不十分のままだ。もっと突っ込んだ調査がなされるべきだが、にもかかわらず、この本を著したのは何なのだろう。
神戸製鋼所の事件は日産自動車の不正より程度が悪い。何故ならば、既述のことが事実ならば日産は技術があって、検査プロセスを意味ないものと思った点に陥穽があったのだが、神戸製鋼の場合は顧客との契約事項を遵守できる技術が無くて、検査結果を“メイキング(データを偽称)”してそのまま出荷していたのだ。
かつて私も材料メーカーにいて、“特採(特別採用)可”のハンコをポンポン押した経験がある。 しかし、それは神戸製鋼の例とは全く異なる次元のものだった。つまり神戸製鋼の場合は、材料特性について顧客との契約を超える劣性のものを“特採可”として出荷していたのだが、私達の場合は顧客との契約内容は満足するのだが、社内規格で問題がある場合に用意された仕組だった。私が“特採可”と判断したのは、客先での用途を見て大丈夫と判断したものだった。社内規格では最終用途まで考慮して特性値を限定することはできなかったので、一般論としての規定だったのだ。現に、それでクレームが生じたことはなかった。
神戸製鋼の場合は、顧客との契約条項に抵触する材料特性の値を“メイキング”して出荷していたので、その所業は論外なのだ。しかも、不思議にもそれを何十年も継続してやって来れた。それでクレームが出たことはなかったのか。調査報道の姿勢がないこの本では不明のままだ。もしその製品に関するクレームがあれば、神戸製鋼は“メイキング”を隠して、ウソをデッチ上げなければならなかったはずだ。一旦、ウソをつけば、それに重ねてウソをつかねばならなくなるのだ。
また、そうしたことが又彼らの技術を磨く向上心を失わしてしまったのだと思われる。誤魔化していれば、事は済むという克己の欠如だ。
まさに“ウソと不正”の結果としての“堕落”なのだ。だが、何故そういう社風(企業文化)になったかへの言及はこの本にはない。鈴木商店の流れを汲み、由緒正しく技術を大切にする伝統がどこで消失したのか不明なのだ。これは企業経営を考える上で重要なポイントだ。ある人の言によれば、半世紀ほど前に技術導入した相手であるソ連の風潮に染まったことが原因ではないかと指摘していた記憶があるが、この本を読んでもその確認は出来ないままだ。真偽を是非知りたいところだ。
ところで純粋であるはずのスポーツ界も、暴力と不正、利権の温床に堕していてスキャンダルが続々引きも切らずの観がある。この日本で正々堂々、不正のない社会分野が存在するのだろうか。日本には名誉と金、利権を漁る人々が多過ぎて、そこに“不正”の温床がある。社会がそれだけで回っているのは情けないように思う。
そして今の政権の“ウソと不正”の結果としての国家的“堕落”はどのような結果として現れるのか、非常に懸念されるところだ。これを契機に まさか安倍氏の永久政権樹立とはなりはしないだろうか。
ところが、自民党では“正直と公正”を唱える総裁候補を見ると個人攻撃だと見る議員が多いらしい。つまり明らかに対立候補の安倍氏への攻撃と見、安倍氏は“ウソと不正、乱暴、傲慢”の象徴だという自覚は皆が持っている。自民党ではそれが常識なのだ。つまり、自民党は“ウソと不正、乱暴、傲慢”の党なのだ。それが政権を担っているのが、日本の現実なのだ。日本では、“ウソと不正、乱暴、傲慢”を40%もの人々が支持する国なのか。それが“先進国”なのか。三流国家ではないのか。悲しい現実だ。
何だか、安倍氏は正々堂々と政敵・石破氏と論戦することを避けている。
朝日新聞によれば“9月7日告示の総裁選は、20日の投開票日を除くと選挙期間は13日間”だが、論戦を避けるために、“11~13日にロシア極東ウラジオストクで開かれる国際会議(東方経済フォーラム)に首相が出席を予定し、前後各1日を空けるよう首相側が求めた”という。これで、“遊説日程は、8日の東京、15日の京都・佐賀、16日の三重・北海道の計5カ所にとどまり、選挙戦となった2012年の17カ所から大幅に減った。”という。
ここにも安倍氏の“姑息”の本性が現れている。“ウソと不正、乱暴、傲慢”に“姑息”が付け加わる訳だ。
ところで、“東方経済フォーラム”は、日本の首相がわざわざ出席しなければならないほど、そんなに重要な会議なのだろうか。千島返還の焦点は日米安保の日本主導の改訂ができるかどうかにあるのであって、いくらプーチン氏にゴマをすっても無駄であることは分かっている。ここでもジャパンマネーを無駄に消耗する約束ばかりするのだろうか。それとも、安倍氏が妙に熱心なのは、ウラに国費を使ってのどんな“不正”を企んでいるのやら。過去の外遊も日本の首相にしては多すぎるような気がする。そこに“不正”や利権は無いのだろうか。この人、国費を不正に費やすのは平気な人なのだから、注意が必要だ。
総裁選の争点隠しは、報道機関にも首相外遊時には関連報道はするなという“御触れ”を出しているらしい、ことにも現れている。まるで習金平政権のようなやり口だ。これが自由で民主的な自由民主党の政権がやることだろうか。まさに“不正で姑息”。それに対して、日本のマスコミは忖度して従順だ。
ところで日本政府が極秘で独自に北朝鮮と接触したことにトランプ氏は不快感を示したと言う。あたかも、日本は独立国ではないかのような印象を受ける。それに日本政府が抗議したとは、聞こえてこない。やっぱり、日本は植民地国家なのか。強きに屈し、弱きに強い、これも安倍政権の本性なのだ。これで、その徳目に“卑怯”が加わる。
いずれ安倍氏による永久政権ができる可能性も出て来たのではないか。一旦、手にした利権は手放したくないのが、人間の本性だからだ。憲法改正で緊急事態条項を発動する狙いがあるのではないか。それで憲法改正を急いでいるのかも知れぬ。
さて、ここまで政権の“ウソと不正”について述べてきたが、ここからは最近の企業不正について書かれた、今沢 真・著“日産、神戸製鋼は何を間違えたのか”を読んだので、言及したい。
この本は実業を知らない、或いは知ろうともしないジャーナリストという誇り高い人々に属する御仁が書いた本なので、良く分からない部分が多々ある。だから、私はジャーナリストが書く工学系の記事や書籍はあまり深くは信用しないことにしている。この本は、既出の新聞記事の事件事実の整理・羅列で終わってしまっていて、その背景まで詳しく書いたものではない。だから何が原因で、その組織のどこに問題があるのか、さっぱり分からない。当事者達に対する今流行りでない“潜入調査”(きちんと許諾を得ていても“潜入”という)による事実記載は一切ない。これでは書籍発刊の意義は半減してしまい、体のいい印税稼ぎのサイド・ワークではないか。
この本の目次は次の通り。
第1章 発覚!日産の無資格検査
第2章 社長謝罪後も続いていた不正
第3章 日産の“失われなかった20年”
第4章 無資格検査の“最終報告”
第5章 カルロス・ゴーン会長はどこに?
第6章 スバルの無資格検査と終わらない混乱
第7章 神戸製鋼の品質データ不正
第8章 データ改ざんの背後に「トクサイ悪用」?
第9章 ネット投稿をきっかけに不正を公表した東レ
第10章 三菱マテリアル子会社3社の品質データ不正
終章 三菱マテリアル報告書に書かれた衝撃の中身
表題は、日産、神戸製鋼となっているが、スバルや三菱マテリアルについても“ついでに”書かれている。だが、スバルや三菱マテリアルについてはとりわけ内容は希薄。現実に存在する真実はそれぞれに違う問題を抱えているはずだが、その点に触れることなく、あたかも同じような問題を抱えているかのような印象を与えるように表現されている。これにより、全体にも“いい加減”感が漂ってしまう。つまり、迫力がまったく感じられない“ついで”感が強く、貴重な時間を費やして読まなくても良い、どうでもいい本なのだ。
そこで、ここから先私の知り得る限りの知識・経験を総動員して憶測を述べるこことしたい。それが実態に迫るものであれば嬉しいのだが。
日産自動車の不正に関する焦点は2つあると私は考えている。一つは、これまで築き上げてきた自分たちの作り込み技術への過信。品質工学では究極の作り込み技術は検査を不要にすると、説いている。余り一般には知られないことが不思議なのだが、日本の各自動車会社はタグチ・メソッドをはじめとする品質工学を高度に使いこなしている。勿論、日産もその一社だ。そこで検査工程を省略すれば、その分コスト・ダウンは進む。だから恐らく検査を重視しない風土が出来上がったという可能性は無きにしもあらず、ではないか。
もう一つは、コンプライアンスだ、というより、その軽視だ。例えば今盛んに指摘される日本人の労働時間。これには法規制があるが、どんな大手企業でも法規制を遵守しているとは言えない状態だった。日本企業のコンプライアンス意識とは実はその程度だった。だがパワハラから長時間労働を課している実態が表ざたとなり、問題になり始めている。日本社会の法規範意識が少しずつ変化してきているのが現状だが、未だに根っこには形式的な変なコンプライアンス意識だけが暴走している気配があり、真摯に法規制を遵守する意識は低いものと思われる。多分、横並びで“順法”しようという姿勢で戦々恐々ではないだろうか。実は、もはや横並びそのものが不正につながるものと覚悟するべきなのだが。
しかし恐らく、トヨタはその点でも、ぬかりなく慎重に踏み外す愚を犯さなかったのではないか。トヨタも品質工学の鬼を要請する教育機関すら持っている企業だが、さすがに総体に慎重なリーディング・カンパニーは一味違うと感嘆せざるを得ない。
私は自動車会社で働いたことがないし、審査もした経験がないので良くは分からないが、一般的にはプロセス毎に標準や手順書があり、それが国の定めたプロセスならば、それに従がって標準や手順書は作成されなければならないはずだ。その点を内部監査は勿論、ISO審査もどうやってくぐり抜けていたのだろうか。まさか重要な製品出荷検査プロセスを審査対象から外していた、ということはあるまい。
このISO審査について日経新聞は簡単に次のように報道している。“ISOの審査を手掛ける日本ガス機器検査協会(東京・港)が立ち入り調査を実施。10月31日付で従来の認証範囲を縮小して国内向け車両の生産を除外することを決めた。”
ガス機器検査協会の審査員が、自動車会社への法規制全てとその内容を把握していなかったのか。或いは知識のない審査員を派遣していたのか。そんな疑問が湧いてくる。ガス機器検査に関する法規制ならば得意だろうが、自動車産業には無理があるような気がする。
自動車会社からの審査を受注した際に、審査にどういう能力が必要なのか検討したのだろうか。受注プロセスで組織は何をなすべきか、ISO9001の規格要求事項をこの協会は熟知していないのだろうか。とにかく問題が起きてから、“認証範囲を縮小”して責任をとったつもりなのだろうか。この体たらくでは、ISO9001への世間の信頼はますます薄れてしまうだけではないのか。JABからこの協会に対し厳しい仕置きはないのだろうか。それもなければ、ISO9001への世間の信頼は風前のともし火だろう。否、すでに風前のともし火なら、今後誰も見向きもしなくなり、こうした事件も問題にすらならなくなるだろう。それでは“ISOマネジメントは何の効果もなく、オナニーのようなモノで余計なコストがかかるだけ”となってしまうだろう。
だが、それでも自動車会社は傲慢にも、ISO/TS16949(今やIATF 16949)を部品供給会社や材料メーカーに押し付けてくるのであろうか。客観的道義的に矛盾はあるが、多分、そうなのだろう。そうでなければ多量の多種多様な材料や部品を外部から調達している彼ら自身が身を守れなくなるからだ。だがしかし、そうした独善性はいずれ近い将来に身を滅ぼす遠因となるだろう。こうしたISOマネジメントの問題にもこの本は全く触れていない底の浅いものだ。
この本では、日産自動車から多額の報酬を得ているゴーン氏への責任追及を多少の紙幅を割いているが、それも不十分のままだ。もっと突っ込んだ調査がなされるべきだが、にもかかわらず、この本を著したのは何なのだろう。
神戸製鋼所の事件は日産自動車の不正より程度が悪い。何故ならば、既述のことが事実ならば日産は技術があって、検査プロセスを意味ないものと思った点に陥穽があったのだが、神戸製鋼の場合は顧客との契約事項を遵守できる技術が無くて、検査結果を“メイキング(データを偽称)”してそのまま出荷していたのだ。
かつて私も材料メーカーにいて、“特採(特別採用)可”のハンコをポンポン押した経験がある。 しかし、それは神戸製鋼の例とは全く異なる次元のものだった。つまり神戸製鋼の場合は、材料特性について顧客との契約を超える劣性のものを“特採可”として出荷していたのだが、私達の場合は顧客との契約内容は満足するのだが、社内規格で問題がある場合に用意された仕組だった。私が“特採可”と判断したのは、客先での用途を見て大丈夫と判断したものだった。社内規格では最終用途まで考慮して特性値を限定することはできなかったので、一般論としての規定だったのだ。現に、それでクレームが生じたことはなかった。
神戸製鋼の場合は、顧客との契約条項に抵触する材料特性の値を“メイキング”して出荷していたので、その所業は論外なのだ。しかも、不思議にもそれを何十年も継続してやって来れた。それでクレームが出たことはなかったのか。調査報道の姿勢がないこの本では不明のままだ。もしその製品に関するクレームがあれば、神戸製鋼は“メイキング”を隠して、ウソをデッチ上げなければならなかったはずだ。一旦、ウソをつけば、それに重ねてウソをつかねばならなくなるのだ。
また、そうしたことが又彼らの技術を磨く向上心を失わしてしまったのだと思われる。誤魔化していれば、事は済むという克己の欠如だ。
まさに“ウソと不正”の結果としての“堕落”なのだ。だが、何故そういう社風(企業文化)になったかへの言及はこの本にはない。鈴木商店の流れを汲み、由緒正しく技術を大切にする伝統がどこで消失したのか不明なのだ。これは企業経営を考える上で重要なポイントだ。ある人の言によれば、半世紀ほど前に技術導入した相手であるソ連の風潮に染まったことが原因ではないかと指摘していた記憶があるが、この本を読んでもその確認は出来ないままだ。真偽を是非知りたいところだ。
ところで純粋であるはずのスポーツ界も、暴力と不正、利権の温床に堕していてスキャンダルが続々引きも切らずの観がある。この日本で正々堂々、不正のない社会分野が存在するのだろうか。日本には名誉と金、利権を漁る人々が多過ぎて、そこに“不正”の温床がある。社会がそれだけで回っているのは情けないように思う。
そして今の政権の“ウソと不正”の結果としての国家的“堕落”はどのような結果として現れるのか、非常に懸念されるところだ。これを契機に まさか安倍氏の永久政権樹立とはなりはしないだろうか。
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