The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
引き続く天災に思う―ウソと不正の悪政の中の災害
今や正に災害列島!自然災害のその裏で、人為災害のスルガ銀行の不正融資が白日の下に曝されている。
監督官庁である金融庁は間抜けにも長らく、そのスルガ銀行を地銀の中の優良銀行として扱って来た。このマイナス金利の中で、多くの地銀が苦しむ中どうやって優良な経営を続けられるのか、金融庁は全く疑念を抱かなかったのだろうか。その程度の管理・監督能力で日本の金融機関を適正に指導できるのだろうか。金融庁は今更のように自らの失政を棚に上げて“徹底検査”に入っているという。厚顔無恥の所業に、これぞ笑止千万。
8日付の朝日新聞によれば“預金通帳や源泉徴収票を偽造して審査を欺き、多額の融資を不正に引き出す――。刑事罰にも問われかねない悪行に、スルガ銀行の(取締役、支店長等幹部をはじめ)多くの銀行員が加担していた。”アベノミクスを推進する政府は低金利政策の実を挙げるべく、各金融機関に融資増大を促進して来た。その中で地銀のスルガ銀行では“(融資の)無理なノルマを課せられた現場は、不正な融資でも増やせば高く評価され、ノルマが未達なら罵倒されて干されることもあった。”そこで融資増大のための融資先の預金通帳偽造・改竄という不正に手を染めたのだ。これで“マジメであるがゆえに辞めた行員も多い”という。
見方を変えれば、スルガ銀行は“ウソと不正のアベノミクス”によるマイナス金利政策の犠牲者ではないのか。少なくともスルガ銀行の一般行員はそうだ。否、それ以外の地銀関係者もそうだ。
ここでも記録の偽造・改竄があった。都合が悪くなると、偽造・改竄による一時逃れをする風潮が蔓延している。安倍氏は日本中を“ウソと不正”一色の汚染列島に仕立て上げるのに大いに貢献・促進したのだ。そういう意味で彼は“偉大な”革命家なのだ。今やその革命は今後3年も引き続く見込みだ。日本はこれまで営々として気付きあげた国際的信用を今後失うに違いない。そう言えば昔、良く聞かれた“信用”という言葉が最近聞こえなくなったような気がする。
さて、引き続く自然災害に話を戻したい。台風21号が4日に四国・関西を襲い、その被害が明らかになる過程で、その直後6日未明、北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震が発生した。これにより死傷者多数、北海道ほぼ全土が停電した。いつもながらの天災が人災のトリガーになっている図式が見られたような気がする。台風による大雨の後、地質的にただでさえ弱い地盤だったところに地震が発生し、土砂災害が広がったとされる悲劇だ。
思えば6月の大阪北部地震、7月の中四国に多大な被害をもたらした集中豪雨、その後の酷暑、引き続く天災が間断なく日本列島を襲っている。最早“天災は忘れない内にもやって来る”事態に至った。
迷信が一般的だった昔なら“悪政が天災を呼んでいる”という流言飛語が飛び交ったに違いない。日本は今まさに悪代官が悪政を布いているのではないか。
さらに今後の東・南海トラフ地震が高確率で予測される中、不安は増大する一方だ。先日、NHKが特集番組“MEGAQUAKE「南海トラフ巨大地震 “Xデー”に備えろ」”を放映した。“巨大なマグニチュード9の南海トラフ地震が、いま日本に迫っている。最新研究によって、その切迫する現象が海底下で観測されメカニズムが明らかにされつつある。この巨大地震発生の可能性が予測される場合、政府は「臨時情報」を発して事前の警戒を促す。”という。政府が危険が迫ったと予測した際には“臨時情報”を発するという制度ができたことは全く知らなかった。これで、いよいよの不安感が募って、先ずは家族全員のヘルメットを買った。
今回の台風21号による被害は暴風によるものが多かったようだが、特に大阪湾岸域ではその暴風による高潮の被害が多数あった。阪神間に居住する者にとって、それは南海トラフ地震による津波被害を連想させるものだ。
それにしても、関西空港が高潮で冠水するとは思わなかった。日本が誇るはずの第1級の公共施設が、この程度災害と言っては語弊があるかもしれないが、非常に脆弱であることは、著しく国際的信頼を失うものと思われる。
ハザードマップでは津波被害は少ないように表示されているように見える。実際は海との境目が分からないほどの一面の海面になったようだ。3m強の潮位でこのような被害であれば、想定される4mの津波ではもっと大きな被害となったはずだ。それにもかかわらず、自家発電機は地下に置いていたと聞く。従がい、旅客利用施設の半分は停電したようだ。福島原発の事例を参考にしていたのだろうか。
それに追い打ちをかけるようにタンカーが連絡橋に激突して、空港島は事実上孤島化した。ここにも危機想定の不十分さを感じる。非常に重要な空港島がたった1本だけの連絡橋で本土と繋がっていたことを改めて認識することとなった。そもそもこの島との連絡には、トンネルを埋設することも考えられていたはずだが、予算との兼ね合いで断念した、と聞いてる。トンネルであれば、今回のような事故で機能不全に見舞われることはなく、冬には強風で通行禁止にもならずに済むはずだった。或いはもう1本の橋があれば、断絶から回避できたはずだ。神戸のポートアイランドは橋1本とトンネル1本で本土と繋がり、六甲アイランドは2本の橋で繋がっている。関空は重要な施設にもかかわらず、お粗末の限りだ。
この度のそのような思わぬ被害状況の報道に接し、近く予想される津波被害について非常に気懸りになってきた。そこで、六甲アイランド南岸から東岸の被害概要を実感するべく、台風の翌日に久しぶりの散歩をかねてわざわざ視察と言えば大げさだが赴いた。
阪神間沿岸で予測される南海トラフ地震による津波は大阪湾沿岸の反射波が主な要因とされる。西宮から芦屋の浜は大阪湾沿岸から見て斜めに位置しているが、六甲アイランドは神戸市の本土沿岸から突き出していて、その東岸は大阪湾沿岸の真正面に位置していて影響大と見られるので、見ておく必要はあると思った。六甲アイランドの西岸及び南岸はむしろ、紀伊水道を北上する津波にはポートアイランドが防波堤として突き出していて、被害は相対的に軽いと予測されている。この事情はハザード・マップで確認できることだ。
“散歩”のコースはシティ・ヒルという居住区を取り囲んでいる高さ5~6mの土手を西側から南下することから始めた。このシティ・ヒルはあたかも居住区を津波から守るためのように四囲を取り囲んでいて、緑地帯になっている。ここに野鳥や野良猫が結構いて、歩いていると出会うことが多い。しかし、南側では途切れているし、北や東西の出入り口には防潮扉はないので、津波を防ぐには不十分と見える。
左手の居住区のマンションが途切れると、引き続いて甲南大学のグラウンドが見えて来る。ここでシティ・ヒルは左に折れて、スロープは登りになり、突き当たって右に折れると連絡橋に出る。下には六甲ライナーの車両基地があり、さらに南側には東西に走る片側3車線の広い道路がある。
この連絡橋を渡りきると緑地帯に出る。浜側は水鳥の楽園にするつもりだった池のある公園となっていたはずが、今や木立が鬱蒼としている。シティ・ヒルの散策路は緩やかに浜に向かって下りになる。この辺りから、高潮で打ち上げられたと思われる多量の木端やペット・ボトルなどプラスチックゴミの屑が一面に広がっている。もう少し進むと、水鳥の楽園を覗くバード・ウォッチングの小屋の一部が吹き飛ばされているのが見えてきた。よく見るとどうやら一番浜側の小屋だけが吹き飛ばされたようだ。そういう意味では、被害は軽い。
ここからマリン・パークと呼ばれる海浜公園になるが、それ以上の酷い惨状ではない。神戸の震災後ここを訪れたことがあるが、その時は護岸自身が破壊されていてクラゲの死骸が散在していたが、そこまでの状態ではなかった。マリン・パークの北側に神戸国際大学が隣接しているが、そちらは一見して大きな被害は無さそうに見えた。海岸線の柵に漂着し、吹上げられた木立があった。付近のヤシの木が折れたのかと思ったが、それらしいヤシの木は1本もなく、いずれも強風に耐えて無事のようだった。
西側から東へ移動。マリンパークのカフェもテラスが破壊され、公園に備え付けのベンチも恐らくボルト止めされていたと思われるが一部吹き飛ばされて、フェンスの傍にあった。しかし、このあたりは8月末に来た台風20号でも被害があったようで、その影響とダブルの被害があるのかも知れない。
マリン・パークを離れ、緩いスロープを登り始めた頃、乾いたパーンという大きな爆発音が聞こえた。音の方向の東側を見上げたが、実は西側のコンテナ埠頭で前日からの火災が消えずに、そのまま爆発したもののようだ。アイランド南端にある消防署からも、緊急車両の音が発せられ新たに応援の消防車が出動したようだ。
シティ・ヒルに入り、しばらく東端角まで歩く。すると海岸を東西に走る広い道路の真ん中に元々あったかのように、プレハブの事務所が在るのが見えた。風でここまで飛ばされてきたのか。
この角からシティ・ヒルの散策路を北上。当然、左手は居住区、右手は業務地区。その一画に自動車教習所があるが、全ての教習車のエンジン部分のボンネットは跳ね上げられていた。冠水被害に遭った処置であろうか。この日の教習は実施していない様子だった。
この辺りから、シティ・ヒルをくぐり抜けて東側の業務地区に出る。アイランド東海岸を見るのが目的の一つだった。アイランド東側は全体が櫛形埠頭になっている。日暮れまでに、その櫛の歯の先に行って見るつもりだった。どんどん進んで行くと、建てつけの簡単な荷卸しの雨よけなどは、破壊されている例が多いようだ。やがて左側にコンテナ埠頭が見えて来て、その内のコンテナを積み上げたものが積み木崩しのように崩れているのがいくつも見えて来た。道路の向かい側にある倉庫会社の社員と思しき人々から、“あれ、どないショー。何とか切断して処分するか?”等と困った様子の話し声が聞こえた。
そこからさらに先端へ移動。すると何と埠頭の突端にテント倉庫が2棟あった。これは無事だったのだろうか。ならば驚くべき事実になる。一部出入り口から内部が見えたが、荷物はフルに詰め込まれていた。前日の被災後急遽用意されたとは思えない。それにしても高潮冠水被害はなかったのだろうか。関係者に事情を聴かねば詳細は不明だ。
さっき来たシティ・ヒルに戻って、居住区にある中学校の東側を少し北上。不自然に木立のない広場に出ると、北端に小屋が2つ見える。近寄って見ると、どうやら地下に巨大タンクがあって、貯水しているようだ。これは、緊急災害時に住民に飲料その他のための水を供給するための貯水槽のようだ。それを説明する掲示板には、600立米の容量とあった。住民は約2万人なので、一人当たり30リットルの配給は可能ということになる。島外から1万人押し寄せた場合は20リットル/人となる計算だ。これはほぼ10日分の必要飲量なので、島民にとってはまぁ大丈夫なことか。
ここらで周りが暗くなってきたので、帰路に就いた。
その後、ネットで知ったが、この島の東側にイタリアの高級車メーカー“フェラーリ”の正規販売店があり、“1台数千万円のフェラーリ51台が海水に浸って全損したことが6日、店への取材で分かった。被害額は十数億円に上るという。” この店の所在をネットのマップで確認すると、櫛の歯状の埠頭の付け根部分、湾の奥、海岸線の直ぐ傍で、高潮が集中したのかも知れない。立地を間違えたか、何らかの必要な対策を施していなかったのだろう。済んでしまえば、想定外か。
見て歩きで分かったことを この度の高潮被害状況の概要を言えば、兵庫県の提示しているハザードマップの“津波”被害状況とほぼ一致している。そのハザードマップによれば“津波”でフェラーリの店付近はほぼ1mの浸水とされていて、実際の被害の声と一致しているようだ。また居住区への高潮の浸水域は向洋中学の東側道路に若干の木端屑の集積がわずかに認められ、これもハザードマップの津波浸入想定とほぼ一致する。だが、ハザードマップでは第二室戸台風の高潮は、西宮・芦屋で4m強を想定して、六甲アイランドでは被害0となっている。しかし、確か津波も南海トラフ地震で4m程度の波高を想定していたはずなので、物理条件は似たようなものなのに、この結果の違いはどういう想定の差であろうか。
また、この度の高潮被害は芦屋浜の住宅地域に一部浸入があったとの噂を聞いたが、これはハザードマップでは高潮被害の想定の方が被害が一面に広がっている表示になっていて、むしろ現実より酷い状態の想定表示になっているようだ。そして逆に津波被害想定では浸水はないことになっている。
このことから、さすがにハザードマップも全く適切に推定予測できていないように見えるが、これは仕方ないことだろう。何処まで行っても正確を期することは困難であることは間違いない。しかし、行政には想定した条件に適切な推定をするべく、絶えざる修正が望まれ、想定した結果には被害軽減策の立案・実施が期待される。
またハザードマップを利用する側は、六甲アイランドより東の阪神沿岸域では津波、高潮両面での被害想定を勘案するべきなのだろう。また被害想定がない場合も、津波発災に対しては避難経路を事前に想定しておくべきだろう。
監督官庁である金融庁は間抜けにも長らく、そのスルガ銀行を地銀の中の優良銀行として扱って来た。このマイナス金利の中で、多くの地銀が苦しむ中どうやって優良な経営を続けられるのか、金融庁は全く疑念を抱かなかったのだろうか。その程度の管理・監督能力で日本の金融機関を適正に指導できるのだろうか。金融庁は今更のように自らの失政を棚に上げて“徹底検査”に入っているという。厚顔無恥の所業に、これぞ笑止千万。
8日付の朝日新聞によれば“預金通帳や源泉徴収票を偽造して審査を欺き、多額の融資を不正に引き出す――。刑事罰にも問われかねない悪行に、スルガ銀行の(取締役、支店長等幹部をはじめ)多くの銀行員が加担していた。”アベノミクスを推進する政府は低金利政策の実を挙げるべく、各金融機関に融資増大を促進して来た。その中で地銀のスルガ銀行では“(融資の)無理なノルマを課せられた現場は、不正な融資でも増やせば高く評価され、ノルマが未達なら罵倒されて干されることもあった。”そこで融資増大のための融資先の預金通帳偽造・改竄という不正に手を染めたのだ。これで“マジメであるがゆえに辞めた行員も多い”という。
見方を変えれば、スルガ銀行は“ウソと不正のアベノミクス”によるマイナス金利政策の犠牲者ではないのか。少なくともスルガ銀行の一般行員はそうだ。否、それ以外の地銀関係者もそうだ。
ここでも記録の偽造・改竄があった。都合が悪くなると、偽造・改竄による一時逃れをする風潮が蔓延している。安倍氏は日本中を“ウソと不正”一色の汚染列島に仕立て上げるのに大いに貢献・促進したのだ。そういう意味で彼は“偉大な”革命家なのだ。今やその革命は今後3年も引き続く見込みだ。日本はこれまで営々として気付きあげた国際的信用を今後失うに違いない。そう言えば昔、良く聞かれた“信用”という言葉が最近聞こえなくなったような気がする。
さて、引き続く自然災害に話を戻したい。台風21号が4日に四国・関西を襲い、その被害が明らかになる過程で、その直後6日未明、北海道胆振地方を震源とする最大震度7の地震が発生した。これにより死傷者多数、北海道ほぼ全土が停電した。いつもながらの天災が人災のトリガーになっている図式が見られたような気がする。台風による大雨の後、地質的にただでさえ弱い地盤だったところに地震が発生し、土砂災害が広がったとされる悲劇だ。
思えば6月の大阪北部地震、7月の中四国に多大な被害をもたらした集中豪雨、その後の酷暑、引き続く天災が間断なく日本列島を襲っている。最早“天災は忘れない内にもやって来る”事態に至った。
迷信が一般的だった昔なら“悪政が天災を呼んでいる”という流言飛語が飛び交ったに違いない。日本は今まさに悪代官が悪政を布いているのではないか。
さらに今後の東・南海トラフ地震が高確率で予測される中、不安は増大する一方だ。先日、NHKが特集番組“MEGAQUAKE「南海トラフ巨大地震 “Xデー”に備えろ」”を放映した。“巨大なマグニチュード9の南海トラフ地震が、いま日本に迫っている。最新研究によって、その切迫する現象が海底下で観測されメカニズムが明らかにされつつある。この巨大地震発生の可能性が予測される場合、政府は「臨時情報」を発して事前の警戒を促す。”という。政府が危険が迫ったと予測した際には“臨時情報”を発するという制度ができたことは全く知らなかった。これで、いよいよの不安感が募って、先ずは家族全員のヘルメットを買った。
今回の台風21号による被害は暴風によるものが多かったようだが、特に大阪湾岸域ではその暴風による高潮の被害が多数あった。阪神間に居住する者にとって、それは南海トラフ地震による津波被害を連想させるものだ。
それにしても、関西空港が高潮で冠水するとは思わなかった。日本が誇るはずの第1級の公共施設が、この程度災害と言っては語弊があるかもしれないが、非常に脆弱であることは、著しく国際的信頼を失うものと思われる。
ハザードマップでは津波被害は少ないように表示されているように見える。実際は海との境目が分からないほどの一面の海面になったようだ。3m強の潮位でこのような被害であれば、想定される4mの津波ではもっと大きな被害となったはずだ。それにもかかわらず、自家発電機は地下に置いていたと聞く。従がい、旅客利用施設の半分は停電したようだ。福島原発の事例を参考にしていたのだろうか。
それに追い打ちをかけるようにタンカーが連絡橋に激突して、空港島は事実上孤島化した。ここにも危機想定の不十分さを感じる。非常に重要な空港島がたった1本だけの連絡橋で本土と繋がっていたことを改めて認識することとなった。そもそもこの島との連絡には、トンネルを埋設することも考えられていたはずだが、予算との兼ね合いで断念した、と聞いてる。トンネルであれば、今回のような事故で機能不全に見舞われることはなく、冬には強風で通行禁止にもならずに済むはずだった。或いはもう1本の橋があれば、断絶から回避できたはずだ。神戸のポートアイランドは橋1本とトンネル1本で本土と繋がり、六甲アイランドは2本の橋で繋がっている。関空は重要な施設にもかかわらず、お粗末の限りだ。
この度のそのような思わぬ被害状況の報道に接し、近く予想される津波被害について非常に気懸りになってきた。そこで、六甲アイランド南岸から東岸の被害概要を実感するべく、台風の翌日に久しぶりの散歩をかねてわざわざ視察と言えば大げさだが赴いた。
阪神間沿岸で予測される南海トラフ地震による津波は大阪湾沿岸の反射波が主な要因とされる。西宮から芦屋の浜は大阪湾沿岸から見て斜めに位置しているが、六甲アイランドは神戸市の本土沿岸から突き出していて、その東岸は大阪湾沿岸の真正面に位置していて影響大と見られるので、見ておく必要はあると思った。六甲アイランドの西岸及び南岸はむしろ、紀伊水道を北上する津波にはポートアイランドが防波堤として突き出していて、被害は相対的に軽いと予測されている。この事情はハザード・マップで確認できることだ。
“散歩”のコースはシティ・ヒルという居住区を取り囲んでいる高さ5~6mの土手を西側から南下することから始めた。このシティ・ヒルはあたかも居住区を津波から守るためのように四囲を取り囲んでいて、緑地帯になっている。ここに野鳥や野良猫が結構いて、歩いていると出会うことが多い。しかし、南側では途切れているし、北や東西の出入り口には防潮扉はないので、津波を防ぐには不十分と見える。
左手の居住区のマンションが途切れると、引き続いて甲南大学のグラウンドが見えて来る。ここでシティ・ヒルは左に折れて、スロープは登りになり、突き当たって右に折れると連絡橋に出る。下には六甲ライナーの車両基地があり、さらに南側には東西に走る片側3車線の広い道路がある。
この連絡橋を渡りきると緑地帯に出る。浜側は水鳥の楽園にするつもりだった池のある公園となっていたはずが、今や木立が鬱蒼としている。シティ・ヒルの散策路は緩やかに浜に向かって下りになる。この辺りから、高潮で打ち上げられたと思われる多量の木端やペット・ボトルなどプラスチックゴミの屑が一面に広がっている。もう少し進むと、水鳥の楽園を覗くバード・ウォッチングの小屋の一部が吹き飛ばされているのが見えてきた。よく見るとどうやら一番浜側の小屋だけが吹き飛ばされたようだ。そういう意味では、被害は軽い。
ここからマリン・パークと呼ばれる海浜公園になるが、それ以上の酷い惨状ではない。神戸の震災後ここを訪れたことがあるが、その時は護岸自身が破壊されていてクラゲの死骸が散在していたが、そこまでの状態ではなかった。マリン・パークの北側に神戸国際大学が隣接しているが、そちらは一見して大きな被害は無さそうに見えた。海岸線の柵に漂着し、吹上げられた木立があった。付近のヤシの木が折れたのかと思ったが、それらしいヤシの木は1本もなく、いずれも強風に耐えて無事のようだった。
西側から東へ移動。マリンパークのカフェもテラスが破壊され、公園に備え付けのベンチも恐らくボルト止めされていたと思われるが一部吹き飛ばされて、フェンスの傍にあった。しかし、このあたりは8月末に来た台風20号でも被害があったようで、その影響とダブルの被害があるのかも知れない。
マリン・パークを離れ、緩いスロープを登り始めた頃、乾いたパーンという大きな爆発音が聞こえた。音の方向の東側を見上げたが、実は西側のコンテナ埠頭で前日からの火災が消えずに、そのまま爆発したもののようだ。アイランド南端にある消防署からも、緊急車両の音が発せられ新たに応援の消防車が出動したようだ。
シティ・ヒルに入り、しばらく東端角まで歩く。すると海岸を東西に走る広い道路の真ん中に元々あったかのように、プレハブの事務所が在るのが見えた。風でここまで飛ばされてきたのか。
この角からシティ・ヒルの散策路を北上。当然、左手は居住区、右手は業務地区。その一画に自動車教習所があるが、全ての教習車のエンジン部分のボンネットは跳ね上げられていた。冠水被害に遭った処置であろうか。この日の教習は実施していない様子だった。
この辺りから、シティ・ヒルをくぐり抜けて東側の業務地区に出る。アイランド東海岸を見るのが目的の一つだった。アイランド東側は全体が櫛形埠頭になっている。日暮れまでに、その櫛の歯の先に行って見るつもりだった。どんどん進んで行くと、建てつけの簡単な荷卸しの雨よけなどは、破壊されている例が多いようだ。やがて左側にコンテナ埠頭が見えて来て、その内のコンテナを積み上げたものが積み木崩しのように崩れているのがいくつも見えて来た。道路の向かい側にある倉庫会社の社員と思しき人々から、“あれ、どないショー。何とか切断して処分するか?”等と困った様子の話し声が聞こえた。
そこからさらに先端へ移動。すると何と埠頭の突端にテント倉庫が2棟あった。これは無事だったのだろうか。ならば驚くべき事実になる。一部出入り口から内部が見えたが、荷物はフルに詰め込まれていた。前日の被災後急遽用意されたとは思えない。それにしても高潮冠水被害はなかったのだろうか。関係者に事情を聴かねば詳細は不明だ。
さっき来たシティ・ヒルに戻って、居住区にある中学校の東側を少し北上。不自然に木立のない広場に出ると、北端に小屋が2つ見える。近寄って見ると、どうやら地下に巨大タンクがあって、貯水しているようだ。これは、緊急災害時に住民に飲料その他のための水を供給するための貯水槽のようだ。それを説明する掲示板には、600立米の容量とあった。住民は約2万人なので、一人当たり30リットルの配給は可能ということになる。島外から1万人押し寄せた場合は20リットル/人となる計算だ。これはほぼ10日分の必要飲量なので、島民にとってはまぁ大丈夫なことか。
ここらで周りが暗くなってきたので、帰路に就いた。
その後、ネットで知ったが、この島の東側にイタリアの高級車メーカー“フェラーリ”の正規販売店があり、“1台数千万円のフェラーリ51台が海水に浸って全損したことが6日、店への取材で分かった。被害額は十数億円に上るという。” この店の所在をネットのマップで確認すると、櫛の歯状の埠頭の付け根部分、湾の奥、海岸線の直ぐ傍で、高潮が集中したのかも知れない。立地を間違えたか、何らかの必要な対策を施していなかったのだろう。済んでしまえば、想定外か。
見て歩きで分かったことを この度の高潮被害状況の概要を言えば、兵庫県の提示しているハザードマップの“津波”被害状況とほぼ一致している。そのハザードマップによれば“津波”でフェラーリの店付近はほぼ1mの浸水とされていて、実際の被害の声と一致しているようだ。また居住区への高潮の浸水域は向洋中学の東側道路に若干の木端屑の集積がわずかに認められ、これもハザードマップの津波浸入想定とほぼ一致する。だが、ハザードマップでは第二室戸台風の高潮は、西宮・芦屋で4m強を想定して、六甲アイランドでは被害0となっている。しかし、確か津波も南海トラフ地震で4m程度の波高を想定していたはずなので、物理条件は似たようなものなのに、この結果の違いはどういう想定の差であろうか。
また、この度の高潮被害は芦屋浜の住宅地域に一部浸入があったとの噂を聞いたが、これはハザードマップでは高潮被害の想定の方が被害が一面に広がっている表示になっていて、むしろ現実より酷い状態の想定表示になっているようだ。そして逆に津波被害想定では浸水はないことになっている。
このことから、さすがにハザードマップも全く適切に推定予測できていないように見えるが、これは仕方ないことだろう。何処まで行っても正確を期することは困難であることは間違いない。しかし、行政には想定した条件に適切な推定をするべく、絶えざる修正が望まれ、想定した結果には被害軽減策の立案・実施が期待される。
またハザードマップを利用する側は、六甲アイランドより東の阪神沿岸域では津波、高潮両面での被害想定を勘案するべきなのだろう。また被害想定がない場合も、津波発災に対しては避難経路を事前に想定しておくべきだろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( )
« 「ウソと不正... | この1週間で感... » |
コメント |
コメントはありません。 |
コメントを投稿する |