The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
セミナー“AIによるSDGsの推進”を受講して
あの安倍首相が“人権”を重視し、“ハンセン病家族へ賠償確定し、「反省・おわび」談話を発表した”という。一体、どういう風の吹き回しか、とは浅薄。あけすけの選挙対策。マスコミは、そうは言わない。
その選挙のせいか、ニュース報道が乏しい。政治面は海外起因のものばかり。
大きい問題はホルムズ海峡のタンカー護衛に有志連合軍の編成が噂されており、そこに日本の海自が参加するか否かが焦点になりそうなのではないか。しかし日本の現法制下では自衛隊を出せないらしい。それよりも少し前、安倍首相がノコノコ イラン首脳陣に会いに出かけて、米国との仲介に乗り出した経緯があるだけに、単純に直接的な軍事力の行使に走るのは適切ではないと見るべきである。日本外交の国際的信用問題になるだろう。
しかし、米国トランプ大統領はそんなことで躊躇することは許すまい。選挙後は法整備を急ぐのか、イランの顔を立てるのか、露骨な板挟み状態に陥るはずだが、この点の報道については何故か日本のマスコミは抑制している。政権への忖度か。下手すれば、それこそが火急の選挙争点のはずではないのか。
一見、影響は小さそうな問題だが韓国との関係が良くない。どうやら韓国政府との関係が悪化しているということの方が正確らしい。私もその方面は疎いが、どうも外交的に稚拙な印象で子供の喧嘩の観がぬぐえない。そして、韓国側の主張が随分と過ぎるような気もする。どうやら行き着くところまで行き着くのではないだろうか。その結果については想像がつかない。それが破滅的結果とならないよう、祈るだけだ。
これに対し政治とは異なる論理で動く経済は、動的である。
7月のFOMCで利下げがどうなるかが、問題の焦点となっている。果たして米国経済は好況なのか、不況の入口に立っていると見るのか、重要な局面である。0.25%4回利下が市場との合意点とみるのが大方であり、それが米中貿易摩擦で生じる景気の下押し圧力を相殺するものと見られているという。
しかし先週末で米国の市場は好調である。これで見る限り、米国経済は好況であるとの見方が強いと見るべきなのだろう。
しかし、それは夏を過ぎれば終わるとみるべきだろう。秋にはBrexitが予定されている。この経済的衝撃はリーマン・ショックより大きいとの予測もあるようだ。
日本のマーケットでは米国利下げとなれば、円高要因になるだろう。ならば、日本の市場は低迷することになる。
それ以外に、日本では消費税増税が予定されている。これで確実に下げ要因となる。当然、Brexitの負の影響も受けるので、ダブルパンチだ。
だから今、日本株を短期以外で買う要因はない。少なくとも外人にはそういう動機は生じるとは思えない。
しかし、消費税増税の可否についての日本の学者の議論の貧困には私個人としては呆れるばかりだ。データには基づいてはいるが、現象論ばかりで、どうしてそういう現象になっているのか背景にある経済メカニズムの説明ができていない。だから、増税可否議論は水掛け論になってしまうのだ。
日本の経済学者がだらしないので、日本経済もだらしない状態になっている要因なのではないか、と思うほどだ。まぁ兎に角、安倍首相は増税したいようなので、当面日本経済は落ち込むだろう。聞けば、直近の日本の税収は歴史上最大とのこと。その時期に何故、増税が必要なのだろう。
増税で不況になるにも拘わらず、年金問題では“経済が良くなれば年金問題は解決するのです。”と御当人は選挙演説で絶叫している。安倍政権になって、本当に日本経済は良くなったのだろうか。何時、どういう風に良くなったのだろうか。
安倍首相が“人権”を重視し、“ハンセン病家族へ賠償確定した”日の新聞の片隅記事に、自衛隊の新鋭戦闘機は国産を止めて、官邸意向で米国製直接輸入へ切り替えたという内容の記事が出ていた。これによって、国産の新鋭戦闘機の製造技術は保持が難しくなるという。国産スティルス戦闘機“心神”の開発も行っていたが、それも実機への応用展開も無く終わりつつあるようだ。
これで、安倍氏は本当に民族派ナショナリストなのだろうか。米国に媚びて、売っているだけではないか?
さて、今回は先日行われたSDGs関連のセミナーに参加したので紹介したい。それは次のようなものだった。
日本リスクマネジャネットワーク(JRMN)主催公開セミナーでテーマは“AIによるSDGsの推進― 人工知能技術で持続可能な未来を―”。内容は“ 2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された「持続可能な開発目標 (SDGs: Sustainable Development Goals)」をどのように推進するか? いま、地球にとって最も大事なテーマについて専門家が先端研究をわかりやすく解説します。”というもの。
[日時] 2019年7月5日(金) 18:00 ~ 20:00
[場所] 大阪大学中之島センター 301講義室
[プログラム]
①講演1 「SDGsってなんだろう」 大阪大学助教、JRMN会員 小島直也
②講演2 「AI for SDGs」 大阪大学助教、国連大学サステイナビリティ高等研究所客員研究員 松井孝典
③質疑応答・自由討論
①は、型通りのSDGsの紹介・解説であった。
“2001年に策定されたミレニアム開発目標MDGsの後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標である。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいる。”
との説明はあったが、ミレニアム開発目標MDGsは、国連グローバル・コンパクトUNGCの発展形であり、それは主に世界企業に求める行動規範であったが、MDGsはあらゆる組織・団体の行動規範となっている、という初歩的解説は抜けていたのが気懸りだった。
“UNGCは、1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)の席上でコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱し、潘基文現国連事務総長も明確な支持を表明しているイニシアチブ。企業を中心とした様々な団体が、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに自発的に参加することが期待されている。2000年7月26日にニューヨークの国連本部で正式に発足し、2004年6月24日に開催された最初のGCリーダーズ・サミットにおいて腐敗防止に関する原則が追加され、現在の形となった。”
つまり、世界企業が開発途上国へ生産拠点を移し、そこで児童労働などにより生産し収益をあげている現実に憂慮したコフィー・アナン元国連事務総長が提唱した、企業行動規範だったのだ。元をたどれば、SDGsの起源はそこにあるのだ、という確認説明が初歩的解説には必要不可欠だとおもったのだが、その点が欠落していた。
質疑応答で、そのような意見シートを提出したが軽く扱われ、簡単にスルーされてしまった。
②はSDGsが、どのようにAIと関連するのか、非常に興味あるテーマだったが、結果として、非常に難しい高度な議論で、白状すれば私には今でもほとんど理解できていない。しかも、配布されたレジュメは引用又は関連するサイトのURLの表記リストとなっていて、跡付けしようにも非常に困難になっている。だから、分かったつもりの範囲での説明で許されたい。
SDGsを推進するのにどのようにAIを活用するのかの事例、エピソード紹介から始まった。
XPRIZE財団の主催する2016年度賞金レースで、全日空ANAの提案した“ANA AVATAR XPRIZE”が、国際賞金レーステーマとして採用されている事例紹介から。このレース・テーマは、「人類に利益を与える技術開発」。条件をクリアして優勝したチームに多額の賞金を贈って、様々なテーマに挑むモチベーションを促し、結果として世の中の課題解決を早期に実現可能にさせる意図がある。
ANAグループが取上げ、支援するのは、“飛行機の利用者はまだ世界で6%ほど。アバター技術を活用することで、残りの94%の方々を含めた世界中の人々を繋ぎたい!”という想いから、VR・AR(視聴覚)、ハプティクス(触覚)、ロボティクスなどの技術を複合させて、自分が実際に移動せずとも、現地にいる「アバター(分身)」を用いて、物理的に物を動かしたり触ったりできる最先端テクノロジーの実現を目指す。この実現により将来、たとえば、感染症発生地域でアバターを使い、僻地で医療者が医療技術を提供する、教育者が授業を提供する、などが可能になり、社会的な課題解決へ貢献できる。
このように時代の潮流に先んじてANAグループのチャレンジで、「航空運送事業」のみならず、航空機での移動を通じて時間・距離・文化・言語を超えて人々をつないで、「夢にあふれる未来」を創って行く狙いがある。
講師が実際に関わった事例として、AIに機械学習法を応用してコウモリの鳴き声から生息種判別して生態系の分布を容易に正確に知ることができたという事例紹介があった。群馬県みなかみ町にて捕獲した3科7属11種のコウモリ類のエコーロケーションコールから,コウモリ類専用の音声解析ソフトウェアを用いて,鳴き声の特徴量を自動抽出し,コウモリの種判別を試み、高い正答率で判別ができたという。それを大阪府吹田市北部(阪大キャンパス付近)の屋外でコウモリ類の種を鳴き声から推定し、活動の分布を地図化することができた。フィールドへの適用では,識別器でコウモリ類の空間利用特性を把握し、地理情報と連携させることの有用性を認識したという事例であった。
また多様な再生エネルギー開発で、どういう資源開発の態様がベスト・ミックスかを探るための最適化ツールを開発した事例紹介もあった。縦軸に経済性、横軸に公共性を取った場合、この両者には相反性があるので組み合わせによる最適解を見出す必要がある。これを実際に佐渡島で分析して佐渡市に提案した事例の説明であった。
グリーンAIとして、ディープラーニング等の機械学習を中心としたAI(人工知能)関連の技術をエネルギー創生、炭素管理、生物多様性保全、資源循環利用といった地球環境の持続可能性の設計に活用しようとする動きがみられ、SDGsへの貢献や実際の現場でのAI応用についての議論であった。
しかし、レジュメの最後に唯一示された概念図があったが、これは遂に私は理解できなかった。それは講師が聴講者に是非理解して帰って欲しいと言っていたにも拘らずなのだ。どういう図かというと、縦軸の上方が“協調指向・自立型エージェント”下方が“知性増幅/拡張型・知的情報処理支援システム”であり、横軸の右方が“AIの持続可能性”、左方が“AIによる持続可能性”とされていて、右上第1象限に“ライフサイクルそのものと人間関係の持続可能性デザイン”があり、左上第2象限に“思考エージェントの極限域での資源探索”、左下第3象限に“共生の知恵を増幅し高次元で俯瞰し自然と結合できる拡張現実の実装”、右下第4象限に“AIが生出すサービスのライフサイクル的なリスク便益考量”があるというもの。ここで、講師の研究分野は第3象限にあるのだということだった。
どうやらこれに参加した聴衆は、私よりはるか上位の知的レベルにあることを痛感した次第である。それはMDGsが国連グローバル・コンパクトの発展形であるという基本の説明が省略されたことからも分かったことだ。
こうして、SDGsへの貢献にAIの応用が有効ではあるのだが、コンピュータ側の機械的制約(将来的には量子コンピュータのあり得るが・・・)もあり、地球温暖化や人口爆発があまりにも急激で、人類に残された時間が少なすぎるのではないか、というのが講師の懸念する議論だったかと、私は認識している。
もし、それが現実であれば、実は大変な問題である。人類の宇宙への脱出も現実の問題として、取上げなければならない。
このように学術面でのAI応用研究は結構進展している印象だが、産業界では経営者の頭が前世紀の遺物状態にあって、画期的な進展が見えないように思える。
その上最近の事例で言えば、支払システムで容易に外部侵入を許してしまっても、そのシステムの詳細を知らない社長が記者会見して無知を露呈している。社長の資格のない人間が経営者をやっている実態に、日本の産業界の非常な危うさを感じる。自分の会社の現場感覚のない人間には社長をやる資格はない。これは会社経営の基本ではないか。オバカが会社経営している余裕は日本の会社には無いはずだが。
さらに最近、特にSDGsへの貢献が声高になって来たような気がするが、現実には上滑りな印象がある。例えば、かつては国の企業だった日本郵便の“かんぽ”がブラグだったことが白日にさらされた。それに現代の徴用工問題が深く静かに拡大している懸念も大いにある。
何がSDGsなのか。自らはブラックに手を染めなくてもそういった企業群の頂点に立つ等、自らに関連する企業があるならば、それは真っ黒である、という自覚が日本財界にあるのだろうか。
多くのサステナブルCSR報告書に見られる表面的で“美しい”が、実質は虚偽の報告書では困るのだ。おまけにその内容を保証するかのようにコメントする学識経験者や著名人が多いのは実に情けないことだ。特に巨大組織の内実は個人では容易に知ることは全く不可能なこと、だからだ。だから社外取締役の実効性も疑わしいのだ。
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その選挙のせいか、ニュース報道が乏しい。政治面は海外起因のものばかり。
大きい問題はホルムズ海峡のタンカー護衛に有志連合軍の編成が噂されており、そこに日本の海自が参加するか否かが焦点になりそうなのではないか。しかし日本の現法制下では自衛隊を出せないらしい。それよりも少し前、安倍首相がノコノコ イラン首脳陣に会いに出かけて、米国との仲介に乗り出した経緯があるだけに、単純に直接的な軍事力の行使に走るのは適切ではないと見るべきである。日本外交の国際的信用問題になるだろう。
しかし、米国トランプ大統領はそんなことで躊躇することは許すまい。選挙後は法整備を急ぐのか、イランの顔を立てるのか、露骨な板挟み状態に陥るはずだが、この点の報道については何故か日本のマスコミは抑制している。政権への忖度か。下手すれば、それこそが火急の選挙争点のはずではないのか。
一見、影響は小さそうな問題だが韓国との関係が良くない。どうやら韓国政府との関係が悪化しているということの方が正確らしい。私もその方面は疎いが、どうも外交的に稚拙な印象で子供の喧嘩の観がぬぐえない。そして、韓国側の主張が随分と過ぎるような気もする。どうやら行き着くところまで行き着くのではないだろうか。その結果については想像がつかない。それが破滅的結果とならないよう、祈るだけだ。
これに対し政治とは異なる論理で動く経済は、動的である。
7月のFOMCで利下げがどうなるかが、問題の焦点となっている。果たして米国経済は好況なのか、不況の入口に立っていると見るのか、重要な局面である。0.25%4回利下が市場との合意点とみるのが大方であり、それが米中貿易摩擦で生じる景気の下押し圧力を相殺するものと見られているという。
しかし先週末で米国の市場は好調である。これで見る限り、米国経済は好況であるとの見方が強いと見るべきなのだろう。
しかし、それは夏を過ぎれば終わるとみるべきだろう。秋にはBrexitが予定されている。この経済的衝撃はリーマン・ショックより大きいとの予測もあるようだ。
日本のマーケットでは米国利下げとなれば、円高要因になるだろう。ならば、日本の市場は低迷することになる。
それ以外に、日本では消費税増税が予定されている。これで確実に下げ要因となる。当然、Brexitの負の影響も受けるので、ダブルパンチだ。
だから今、日本株を短期以外で買う要因はない。少なくとも外人にはそういう動機は生じるとは思えない。
しかし、消費税増税の可否についての日本の学者の議論の貧困には私個人としては呆れるばかりだ。データには基づいてはいるが、現象論ばかりで、どうしてそういう現象になっているのか背景にある経済メカニズムの説明ができていない。だから、増税可否議論は水掛け論になってしまうのだ。
日本の経済学者がだらしないので、日本経済もだらしない状態になっている要因なのではないか、と思うほどだ。まぁ兎に角、安倍首相は増税したいようなので、当面日本経済は落ち込むだろう。聞けば、直近の日本の税収は歴史上最大とのこと。その時期に何故、増税が必要なのだろう。
増税で不況になるにも拘わらず、年金問題では“経済が良くなれば年金問題は解決するのです。”と御当人は選挙演説で絶叫している。安倍政権になって、本当に日本経済は良くなったのだろうか。何時、どういう風に良くなったのだろうか。
安倍首相が“人権”を重視し、“ハンセン病家族へ賠償確定した”日の新聞の片隅記事に、自衛隊の新鋭戦闘機は国産を止めて、官邸意向で米国製直接輸入へ切り替えたという内容の記事が出ていた。これによって、国産の新鋭戦闘機の製造技術は保持が難しくなるという。国産スティルス戦闘機“心神”の開発も行っていたが、それも実機への応用展開も無く終わりつつあるようだ。
これで、安倍氏は本当に民族派ナショナリストなのだろうか。米国に媚びて、売っているだけではないか?
さて、今回は先日行われたSDGs関連のセミナーに参加したので紹介したい。それは次のようなものだった。
日本リスクマネジャネットワーク(JRMN)主催公開セミナーでテーマは“AIによるSDGsの推進― 人工知能技術で持続可能な未来を―”。内容は“ 2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された「持続可能な開発目標 (SDGs: Sustainable Development Goals)」をどのように推進するか? いま、地球にとって最も大事なテーマについて専門家が先端研究をわかりやすく解説します。”というもの。
[日時] 2019年7月5日(金) 18:00 ~ 20:00
[場所] 大阪大学中之島センター 301講義室
[プログラム]
①講演1 「SDGsってなんだろう」 大阪大学助教、JRMN会員 小島直也
②講演2 「AI for SDGs」 大阪大学助教、国連大学サステイナビリティ高等研究所客員研究員 松井孝典
③質疑応答・自由討論
①は、型通りのSDGsの紹介・解説であった。
“2001年に策定されたミレニアム開発目標MDGsの後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2016年から2030年までの国際目標である。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいる。”
との説明はあったが、ミレニアム開発目標MDGsは、国連グローバル・コンパクトUNGCの発展形であり、それは主に世界企業に求める行動規範であったが、MDGsはあらゆる組織・団体の行動規範となっている、という初歩的解説は抜けていたのが気懸りだった。
“UNGCは、1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)の席上でコフィー・アナン国連事務総長(当時)が提唱し、潘基文現国連事務総長も明確な支持を表明しているイニシアチブ。企業を中心とした様々な団体が、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって社会の良き一員として行動し、持続可能な成長を実現するための世界的な枠組み作りに自発的に参加することが期待されている。2000年7月26日にニューヨークの国連本部で正式に発足し、2004年6月24日に開催された最初のGCリーダーズ・サミットにおいて腐敗防止に関する原則が追加され、現在の形となった。”
つまり、世界企業が開発途上国へ生産拠点を移し、そこで児童労働などにより生産し収益をあげている現実に憂慮したコフィー・アナン元国連事務総長が提唱した、企業行動規範だったのだ。元をたどれば、SDGsの起源はそこにあるのだ、という確認説明が初歩的解説には必要不可欠だとおもったのだが、その点が欠落していた。
質疑応答で、そのような意見シートを提出したが軽く扱われ、簡単にスルーされてしまった。
②はSDGsが、どのようにAIと関連するのか、非常に興味あるテーマだったが、結果として、非常に難しい高度な議論で、白状すれば私には今でもほとんど理解できていない。しかも、配布されたレジュメは引用又は関連するサイトのURLの表記リストとなっていて、跡付けしようにも非常に困難になっている。だから、分かったつもりの範囲での説明で許されたい。
SDGsを推進するのにどのようにAIを活用するのかの事例、エピソード紹介から始まった。
XPRIZE財団の主催する2016年度賞金レースで、全日空ANAの提案した“ANA AVATAR XPRIZE”が、国際賞金レーステーマとして採用されている事例紹介から。このレース・テーマは、「人類に利益を与える技術開発」。条件をクリアして優勝したチームに多額の賞金を贈って、様々なテーマに挑むモチベーションを促し、結果として世の中の課題解決を早期に実現可能にさせる意図がある。
ANAグループが取上げ、支援するのは、“飛行機の利用者はまだ世界で6%ほど。アバター技術を活用することで、残りの94%の方々を含めた世界中の人々を繋ぎたい!”という想いから、VR・AR(視聴覚)、ハプティクス(触覚)、ロボティクスなどの技術を複合させて、自分が実際に移動せずとも、現地にいる「アバター(分身)」を用いて、物理的に物を動かしたり触ったりできる最先端テクノロジーの実現を目指す。この実現により将来、たとえば、感染症発生地域でアバターを使い、僻地で医療者が医療技術を提供する、教育者が授業を提供する、などが可能になり、社会的な課題解決へ貢献できる。
このように時代の潮流に先んじてANAグループのチャレンジで、「航空運送事業」のみならず、航空機での移動を通じて時間・距離・文化・言語を超えて人々をつないで、「夢にあふれる未来」を創って行く狙いがある。
講師が実際に関わった事例として、AIに機械学習法を応用してコウモリの鳴き声から生息種判別して生態系の分布を容易に正確に知ることができたという事例紹介があった。群馬県みなかみ町にて捕獲した3科7属11種のコウモリ類のエコーロケーションコールから,コウモリ類専用の音声解析ソフトウェアを用いて,鳴き声の特徴量を自動抽出し,コウモリの種判別を試み、高い正答率で判別ができたという。それを大阪府吹田市北部(阪大キャンパス付近)の屋外でコウモリ類の種を鳴き声から推定し、活動の分布を地図化することができた。フィールドへの適用では,識別器でコウモリ類の空間利用特性を把握し、地理情報と連携させることの有用性を認識したという事例であった。
また多様な再生エネルギー開発で、どういう資源開発の態様がベスト・ミックスかを探るための最適化ツールを開発した事例紹介もあった。縦軸に経済性、横軸に公共性を取った場合、この両者には相反性があるので組み合わせによる最適解を見出す必要がある。これを実際に佐渡島で分析して佐渡市に提案した事例の説明であった。
グリーンAIとして、ディープラーニング等の機械学習を中心としたAI(人工知能)関連の技術をエネルギー創生、炭素管理、生物多様性保全、資源循環利用といった地球環境の持続可能性の設計に活用しようとする動きがみられ、SDGsへの貢献や実際の現場でのAI応用についての議論であった。
しかし、レジュメの最後に唯一示された概念図があったが、これは遂に私は理解できなかった。それは講師が聴講者に是非理解して帰って欲しいと言っていたにも拘らずなのだ。どういう図かというと、縦軸の上方が“協調指向・自立型エージェント”下方が“知性増幅/拡張型・知的情報処理支援システム”であり、横軸の右方が“AIの持続可能性”、左方が“AIによる持続可能性”とされていて、右上第1象限に“ライフサイクルそのものと人間関係の持続可能性デザイン”があり、左上第2象限に“思考エージェントの極限域での資源探索”、左下第3象限に“共生の知恵を増幅し高次元で俯瞰し自然と結合できる拡張現実の実装”、右下第4象限に“AIが生出すサービスのライフサイクル的なリスク便益考量”があるというもの。ここで、講師の研究分野は第3象限にあるのだということだった。
どうやらこれに参加した聴衆は、私よりはるか上位の知的レベルにあることを痛感した次第である。それはMDGsが国連グローバル・コンパクトの発展形であるという基本の説明が省略されたことからも分かったことだ。
こうして、SDGsへの貢献にAIの応用が有効ではあるのだが、コンピュータ側の機械的制約(将来的には量子コンピュータのあり得るが・・・)もあり、地球温暖化や人口爆発があまりにも急激で、人類に残された時間が少なすぎるのではないか、というのが講師の懸念する議論だったかと、私は認識している。
もし、それが現実であれば、実は大変な問題である。人類の宇宙への脱出も現実の問題として、取上げなければならない。
このように学術面でのAI応用研究は結構進展している印象だが、産業界では経営者の頭が前世紀の遺物状態にあって、画期的な進展が見えないように思える。
その上最近の事例で言えば、支払システムで容易に外部侵入を許してしまっても、そのシステムの詳細を知らない社長が記者会見して無知を露呈している。社長の資格のない人間が経営者をやっている実態に、日本の産業界の非常な危うさを感じる。自分の会社の現場感覚のない人間には社長をやる資格はない。これは会社経営の基本ではないか。オバカが会社経営している余裕は日本の会社には無いはずだが。
さらに最近、特にSDGsへの貢献が声高になって来たような気がするが、現実には上滑りな印象がある。例えば、かつては国の企業だった日本郵便の“かんぽ”がブラグだったことが白日にさらされた。それに現代の徴用工問題が深く静かに拡大している懸念も大いにある。
何がSDGsなのか。自らはブラックに手を染めなくてもそういった企業群の頂点に立つ等、自らに関連する企業があるならば、それは真っ黒である、という自覚が日本財界にあるのだろうか。
多くのサステナブルCSR報告書に見られる表面的で“美しい”が、実質は虚偽の報告書では困るのだ。おまけにその内容を保証するかのようにコメントする学識経験者や著名人が多いのは実に情けないことだ。特に巨大組織の内実は個人では容易に知ることは全く不可能なこと、だからだ。だから社外取締役の実効性も疑わしいのだ。
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