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マスコミ特にテレビ報道の疑問

最近の気になるニュースとは何か。と言うより、気にさせられるニュースだが、東京の築地市場移転問題である。我等関西人には全く関係のない話にもかかわらず、連日のワイド・ショウの格好の話題となっている。
しかし、不思議にもどのワイド・ショウにもしっかりした建築の専門家は出てこない。特に大手ゼネコン関係者は出演拒否なのか全く見かけない。なので、騒ぐべきポイントをどの番組も外していて、下らないことに大騒ぎしているように思う。

その一つは、問題の地下空洞に重機を入れる入口がない、と言って騒いで見せたが、公明党の都議団がそれを視察し、彼らがその分厚いコンクリート製と思われる蓋の隙間を覗いている光景を見て、視察団に何故この蓋を開けて見せないのか。それは隠蔽体質ではないか、等と口々に批判していた。その蓋を開けるのに重機が必要のはずだが、そんなことのためにわざわざ重機を賃借する必要があるのかどうか少し考えたら分かる話ではないか。もしどうしても蓋の下の入口の状態をみたいなら、地下から回り込んで見れば済む話ではないか。この場合都庁の隠蔽体質とは全く関係ない。日頃は行政の無駄遣いにうるさいにも関わらず、単なる野次馬と同じレベルのいい加減なコメンテータ達にはうんざりさせられる。

そればかりではない。ある1級建築士の言説を紹介して、埋め立て地での特有の問題を取り上げていた。それは堤防付近での土砂の崩壊や流出により埋め立て地全体のGL(地面の高さ)が低下し、そのため杭を打った建物の床面が見掛け上浮き上がってしまい、それがために杭が耐えられず折れる懸念があり、そうなると建物は倒壊する危険が懸念される、という心配すればきりのないことを問題にしていた。そして、豊洲の堤防に亀裂が見られるが、これはそういう懸念が大いにある根拠だ、という。こういう怪しげな見解を平気で言う“専門家”を登場させている。
私は阪神震災後の埋立地の六甲アイランドを見て来たが、豊洲より新しい埋め立て地だったためGLは低下し、幾多の建物が浮き上がっていたが、杭が折れたという事象は全く見聞きしていない。勿論、それで倒壊した建物は皆無だ。かの“専門家”氏はそういう事例を御存知なのだろうか。そもそもそんなことで折れるような杭は設計規格に適合しているのだろうか、と素人なりに考えてしまう。
その上、豊洲は長年貯炭場として使用されていた。そのため土壌汚染となっているのだが、土地は引き締まった状態にあり六甲アイランドなどよりは、地面は安定していたはずだ。また、同じ埋立地の関西空港のターミナルビルはほぼ南北数キロの長大な建物だが不等沈下を予測し、埋立地の底には比重の大きい鉄鉱石を相当量敷き詰め、さらに基礎部分にはジャッキが据え付けられて対策している。豊洲の建物は入札に疑惑はあるものの、大手ゼネコンが競うように建物ごとに分担受注している。したがい各ゼネコンの品質保証の体制が明確に問われる結果となっている。つまり、いい加減な品質の建物を建てられる状況ではないと考えられる。
先の発言は、実際に一流ゼネコンと付き合ったこともない駆け出しの1級建築士の言説としか思えない。そんな人物の言説を平気で取り上げるマスコミの提供する情報の品質保証体制を問いたい。現在のマスコミ人には“品質保証”の意識が乏しいのはほぼ確実ではないか。

技術的に問題があるとすれば土壌汚染は一様の盛土だけで話を済ませたことではないか。これだけでは汚染土壌の封止は十分ではない。改良土壌を投入したりしなければ液状化によって震災の度に汚染土壌の噴砂が発生して盛土の意味が無くなる懸念があることだが、その点には誰も触れていない。それから、建物の地下部分の床が防水コンクリートを敷設していなかったことだ。汚染土壌からの地下水は下から滲み出してくるのは私のような素人にも分かる。
しかし、それも既に出来上がっている建物を活かすための追加工事で技術的には解消させることは、不可能ではない気がするが、どうだろうか。要するに徹底した汚染土壌対策を施していなかったことが問題ではないのか。

豊洲の問題は、こうした技術面にあるのではなく、施主である都庁がどのような基本計画をゼネコンに提示し建設されたか、ということが先ずある。それから、その基本設計は誰の責任で決定されたのか、その際に技術的問題をどのように解消させたのかの議論と結論を明確にすることだ。或いはさらに遡って 何故問題の多い豊洲を移転先として選定したのか、という意思決定の手順の正当性・適切性の問題がある。その各段階での意思決定の責任を誰が取るのかの問題がある。これをうやむやにしてはいけない。
少なくとも、問題を整理せずに生のままの情報を右から左へ流して、騒ぐだけのマスコミの報道姿勢には苛立つ。これでは、パフォーマンスの人である現都知事の思うがままではないのか。その上、怪しげな“専門家”や 建築が専門外の“識者”の意見でいたずらに混乱させる姿勢にも大いに疑問を感じてしまう。
しかも、これは東京の問題であって、我々には全く関係がない。それを全国ネットの番組で連日報道する姿勢にも、何か鼻持ちならない東京人の中央意識を感じて不快である。東京オリンピックは最早60年前の日本とは異なり、それが上手く行くかどうかは東京という一都市の問題なのだ。

豊洲移転問題よりも高速増殖炉・もんじゅの廃炉の方がはるかに国家的な大問題であり、コスト面で比較しても少なくとも2オーダーつまり100倍以上ある大問題である。もんじゅ廃炉は少なくとも兆円規模の問題だが、豊洲はせいぜい千億円規模であるはずだ。しかも国家全体のエネルギー戦略のありようについての議論が必要だ。にもかかわらず、テレビはこうしたことに深く切り込むことなく、都庁問題に全力を傾けている印象だ。こんなタワケタことで良いのだろうか。否、問題を他にそらせて、問題の本質を気取られないようにしようとする、現政権の方針に従っているだけなのかも知れない。
社会の木鐸たるべきマスコミがこれで健全だと言えるのだろうか。国際的に日本の報道の自由に疑問を持たれているのには、納得性がある。

一方でリオ・パラリンピックは終わった。私が気に懸けていて8月末のこのブログでも取り上げたが、メダル獲得状況は、パラリンピックでも低調で、とうとう金メダル0に終わった。獲得総数は24個(金0、銀10、銅14)でこれを称してマスコミは一様に“メダル・ラッシュ”などと言い立てていたが、日本はメダル獲得順位で64位と言う。これで “メダル・ラッシュ”などと言って良い訳がない。日本は果たして一流先進国と言えるのか。総人口(健常者、障害者含めて)で日本の3分の一の韓国が、35個(金7、銀11、銅17)で20位、同じく総人口で6分の一のオーストラリアは81個(金22、銀30、銅29)で5位、総人口430万人のニュージーランドが21個(金9、銀5、銅7)で13位と日本よりはるかに優位にある。メダル獲得数の単純合計だけで順位を見直しても、日本は17位。それでも韓国やオーストラリアよりも下位にある。こんなことで、大きな顔をしてと東京オリンピック、パラリンピックの開催ができるのか。
これは日本の障害者は世界水準から見て、社会的に活躍できていないことを示しているのではないか。これで日本の人材活用が上手く行っていると言えるのだろうか。身体的障害があっても才能ある人が、社会の抑圧にあえいでいることは無いだろうか。日本は人口減少社会に在って、女性は勿論あらゆる人材の活用が望まれるが、それが上手く行っている状況にはないように見える。とにかく健常者のオリンピックでも障害者のパラリンピックでも獲得メダル数は、日本の国力にしては過少に思える。これで、日本人は社会的に仕合せに生きて居ると言える状態にあるのだろうか。仕合せに生きて居る国民が少ない国が、一流先進国と言えるのだろうか。

現政権は、だからこそ“1億総活躍社会”を目指すのだと言いたげだが、しかし、こうした観点での対応とはとても思えない。何よりも“メダル・ラッシュ”などと言い立てて事実誤認へ誘導するようなマスコミが居るようでは良くはならない、と思うのだがどうだろうか。マスコミ人は襟を正して権力に屈しないで欲しいものだ。

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