徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

熱性けいれんは遺伝子が原因らしい。

2015年01月16日 07時13分28秒 | 小児科診療
 小児科では避けて通れない熱性けいれん。
 高熱の際に全身のひきつけを起こす現象で、日本人では欧米より多く発生する傾向があります。
 熱性けいれんを繰り返す起こす子どもには予防治療をすることもあります(ただし日本のみ?)。
 その熱性けいれんの原因が遺伝子によるものという報告を紹介します。
 あらかじめ危険遺伝子を持つ子どもがわかれば、対応が可能になる可能性を期待できそう;

熱を出して子どもが突然のけいれん、なぜ?
 ~理由の一端が判明 ワクチンの副作用の研究から起こる子と起こらない子に差

2014.11.19 Medエッジ
 子どもが熱を出したときに、けいれんを起こして、親が青ざめることはよくある。「熱性けいれん」と呼ばれ、時間が経つと基本的に収まる、しかし、異常事態に見えるのは確かで、親が慌てて救急に駆け込むという話はざらにあることだろう。
 実はこのけいれんの背景には遺伝子の違いがあるようだ。このたびワクチンの副作用の研究から判明した。
 デンマークと米国の研究グループが、有力科学誌ネイチャー誌の姉妹誌であり、遺伝学に関する国際学術誌であるネイチャー・ジェネティクスのオンライン版で、2014年10月26日に報告している。
◇ ワクチンにけいれんの副作用
 そもそもワクチンを打ったあとに、熱を出して子どもがけいれんすることがある。
 「MMRワクチン」とも呼ばれる新三種混合ワクチンは、死亡を含む深刻な副作用があったため、日本では現在、接種が中止されている。ただ、世界的には一般に行われている。
 この副作用の1つとして、「熱性けいれん」がある。
 研究グループが、
・MMRワクチンによって熱性けいれんを起こしたことのある子どもたち、
・ワクチンとは関係なく熱性けいれんを起こしたことのある子ども
・熱性けいれんを起こしたことのない子どもたち
 の3つのグループを対象として調査したところ遺伝子に関係した2カ所の違いが関係すると分かった。
 「インターフェロン刺激遺伝子」という異物からの防御に関係する遺伝子「IFI44L」、「麻疹ウイルス受容体」というはしかに関係した遺伝子「CD46」に関係した2カ所だ。
◇ 普通の熱性けいれん関係でも判明
 さらに、ワクチンに関係しない熱性けいれんについても、ほかに4カ所が関係していることも分かった。
 けいれんを起こすかどうかはあらかじめ予測不能とも見られたが、遺伝子が関係していると分かったことで、事前に検査を受けられれば、予測可能になり有益と考えられそうだ。安全にワクチンを使うときの参考になるほか、熱を出したときの心構えもできるため意味はありそうだ。

文献情報
Feenstra B et al.Common variants associated with general and MMR vaccine-related febrile seizures.Nat Genet. 2014 Oct 26 [Epub ahead of print]


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