徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

子どもへの新型コロナワクチン、効果と副反応(2022年11月現在)

2022年11月24日 05時55分38秒 | 小児科診療
ワクチンを接種していない世代である子どもが、
新型コロナ流行の主役になりつつあります。

新型コロナワクチンは、
当初医療関係者へ、
その後高齢者に承認され、
徐々に年齢が下げられてきました。

・16歳以上:2020年12月
・12歳以上:2021年5月
・5~11歳:2022年1月
・6か月~4歳:2022年10月

しかし、接種率がなかなか上がらないようで、
2022年11月現在のリアルデータは以下の通り;
(12~19歳)
 2回接種完了者:74.3%
 3回接種完了者:42.7%
(5~11歳)
 2回接種完了者:19.1%
 3回接種完了者:4.7%

日本小児科学会は、乳幼児への接種を“推奨”しています。

テレビで報道される街の声を聞くと、
具体的に知りたいこと、つまり、
・有効性
・安全性
についての情報が今一つ伝わってこない、
と不安を感じてる人が多いように感じます。

2022年11月23日に開催された「東日本小児科学会」で、
新潟大学の斎藤明彦先生により、
保護者の悩みに答える形式で最新のデータが提示されましたので、
ここに提示します。

結論から申し上げると、

小児におけるオミクロン株に対する新型コロナワクチンは、
・発症予防約70%(ただし数か月間のデータ)
・入院予防効果40%(ただし重篤例予防は80%)
・副反応はほかの年齢層と同等か軽度

ということになります。

繰り返し単純なことを言いますが、
新型コロナパンデミックを乗り切るには、
国民の大部分が免疫を獲得する必要があります。

それを自然感染で獲得するか、ワクチンで獲得するか・・・

ワクチンはウイルスの一部を体に入れて、
ヒトの免疫システムをだまして免疫獲得させる技術、
自然感染はウイルス全部が体に入って暴れまくるので、
体へのダメージの強さは自然感染>ワクチンであることは明白です。

そして大きな違いは、
自然感染は周囲に広がる、
ワクチンは周囲に広げない、
こと。
この点が社会的インパクトに大きく影響します。

自然感染した場合は、
家族が濃厚接触者となり、
社会生活が制限されます。
高齢者が同居している場合は、
隔離・感染対策に最大限の注意を払う必要があります。

ワクチン接種では、
接種部位の腫れや痛み、
一過性の発熱はありますが、
接種した本人だけの問題にとどまります。

ワクチン接種のメリットとデメリットを比較して考えましょう。
私の印象は「季節性インフルエンザワクチンより有効」です。


1.有効性は?

(アメリカからの報告)
・デルタ株流行期では小児における入院予防効果は90%以上
・オミクロン株流行期では入院予防効果は約40%(ただし重症例は約80%予防、軽症例は約20%予防)

(ファイザー社のデータ)
・オミクロン株流行期の発症予防効果
(ただし観察機関中央値は3回接種後約2か月)
 6~23か月:75.8%
 2~4歳:71.8%

2.安全性は?

(ファイザー社のデータ)
・生後6か月~5歳未満における3回接種1か月後の中和抗体平均抗体価;
 6か月~2歳未満:1406.5
 2~4歳:1535.2
→ 16~25歳のワクチン2回接種後の抗体価と同等

(アメリカからの報告)
・5~11歳のワクチン副反応を解析(N=48795)
・ファイザー社製ワクチンの1回目と2回目の解析
→ 有害事象はまれ、心筋炎の頻度は低い

(アメリカからの報告)
・生後6か月~4歳に対するファイザー社製ワクチンの安全性を
 V‐safe システムで解析(N=接種890378、副反応報告8541)
(6か月~2歳)
 局所反応:①19.0%、②18.3%
 全身反応:①55.8%、②47.1%
 発熱:①18.7%、②13.8%
(3~5歳未満)
 局所反応:①28.4%、②26.5%
 全身反応:①32.2%、②29.2%
 発熱:①12.1%、②10.9%
・VAERS(予防接種安全性監視システム)によると、
 496件の報告中486件(98%)は非重篤
・重篤な10件中、4件が痙攣(心筋炎はゼロ)
→ 他の年齢層と比較して副反応頻度は同等か低く、
 重篤な副反応の報告なし

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