徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

東京小児漢方勉強会に参加してきました

2011年10月28日 20時34分00秒 | 小児科診療
 昨夜、第11回東京小児漢方勉強会に参加してきました。
 漢方に興味のある小児科医が集まり、専門家のレクチャーと症例報告、ディスカッションをする勉強会です。
 群馬県の私は圏外ではありますが、数年前に主催者から声をかけていただき、今回が3回目となります。

 テーマは「子どもの冷え」でした。
 本来成長・発達過程の子どもはエネルギーの塊、でも近年冷えを訴えたり診察所見として「冷え」を拾える子どもが実感として増えてきています。
 生活習慣の影響でしょうか。
 冷たいものをたくさん摂取し、以前より体を動かして遊ぶ時間が減り、夏は冷房で汗をかかなくなり、若い女性は薄着ファッションで冷えを助長し・・・。

 皆さんは食材が体を冷やしたり温めたりする性質を持っていることをご存じですか。
 東洋医学では冷やす性質を「寒」、温める性質を「温」と呼びます(中間は「平」)。
 例えば・・・
  スイカは寒、ミカンは温
  小豆は寒、ネギは温
  小麦は寒、もち米は温
 等々。

 ふと今思いついたのですが、学校給食はパン食中心ですよね。
 給食も子どもの体を冷やすことに一役買っているのでは? などと勘ぐってしまいます。

 さて、冷えている身体を温める代表的な生薬は「附子」と「生姜」です。
 附子は悪名高いトリカブトの根っこを加工して毒性を消したもの。
 生姜はショウガのことです。

 西洋医学では基本的に温める薬というのは存在しません(湿布は例外)。
 例えば、関節の痛みに使用する鎮痛薬は冷やして感覚を麻痺させるタイプ。
 しかし、冬になると冷えて痛くなる関節痛もありますね。
 冷えて痛いのにさらに薬で冷やすと・・・あまり考えたくないです。
 
 温める漢方薬はこんな時に有効です。

 私もパソコン作業で手首が痛くなります。慢性的に続く腱鞘炎一歩手前状態。ただ、痛みを感じる時に手首を触ると決まって冷たいのです。
 いろいろ試した結果「桂枝加苓朮附湯」という漢方薬にたどり着きました。
 「附」という字が入っていることからわかるように「附子」入りです。
 この薬を飲むと、手首の冷たさが和らいで痛みも軽減します。

 しかし、子どもに附子入りの漢方薬を安易に使ってはいけないとテキストには書かれており、今まで私は処方したことがありませんでした。
 今回の勉強会で「こんな状態の子どもにはこんな薬を適用できる」という例をたくさん聞いてきましたので、いずれ将来に応用できればと感じつつ帰路につきました。

 現時点で、私が「冷え」を取ることを目的に使用する漢方は「大建中湯」(ショウガ入り)という薬。
 「お腹が張って冷えて痛がるとき」に効きます。
 日頃から便秘の相談が多い中、お腹を触るとたまにこんな感じの子どもがいます。
 処方すると、からい薬ながら嫌がらずに服用できて便秘が解消したと報告を受けることが多いです。

★ 漢方経験談集「漢方飲めたよ&効いたよ!」もご参照ください。
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