徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

インフルエンザ等の出席停止期間(隔離期間)が4月1日から変わりました。

2012年04月06日 07時21分04秒 | 小児科診療
 2012年4月1日からインフルエンザなどの感染症の出席停止期間(隔離期間)が変更されました。インフルエンザはちょっと長くなり、おたふくは逆に短くなりそうです。

インフルエンザ
(旧)解熱した後2日経過するまで
(新)学童生徒:発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日経過するまで
   幼稚園児:発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日経過するまで


おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
(旧)耳下腺の腫脹が消失するまで
(新)耳下腺、顎下腺または舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで

百日咳
(旧)特有の咳が消失するまで
(新)特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗生物質製剤による治療が終了するまで

髄膜炎菌性髄膜炎
(旧)設定なし
(新)病状により学校医などにおいて感染の恐れがないと認めるまで

 ・・・なるほど、と思う一方で、小児科医の視点から見るといくつか突っ込みどころがあります。

□ 「発症」「解熱」はいつから数えるか?
 インフルエンザに関して、熱が出た日が「発症0日目」なのか「発症1日目」なのか、数え方が指定されていません。一般的には「0日」と数える習わしに従うと、幼稚園児は「発熱した翌日から5日間」「解熱した翌日から3日間」休む必要が出てきます。
 う~ん、感染対策としては正しいのでしょうが、働くお母さんが耐えられるだろうか・・・。

□ 「幼稚園児」と指定され「保育園児」に言及していない。
 インフルエンザに関して、保育園児はどうすればいいのでしょう。また、幼稚園と保育園が合併した「こども園」や「託児所」などもこれに準じることになるのでしょうか。

□ 百日咳に対する「適正な抗生物質製剤」とは?
 薬品名で指定していただきたいものですね。ちなみに百日咳に保険適応のある抗生物質は「14員環マクロライド系」の仲間のみです。
(例)クラリス(=クラリシッド)、エリスロシン、ルリッド
 同じマクロライド系抗生物質でも、ジスロマック(15員環)やリカマイシン(16員環)は適応になりません。
 また、オリジナルの薬剤は適応になっている一方で、ジェネリック(=後発品)では百日咳が適応疾患になっていないものもあり、混乱しそうです。

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