新型コロナはオミクロン株 BA.5 で終わりではありません。
現在も変異を続けています。
BA.5 後の予測をした記事を紹介します。
まずは私がポイントと感じた点を;
Q. 第8波は来るのか?
→ 来るでしょう。今後6〜8週で確実に来るであろうと専門家は考えています。
Q. その主役になる株は何か?
→ アメリカで増え始めたBA.5の派生株・進化株である BQ.1 BQ.1.1 BF.7 等が候補です。
これらは全て、スパイクタンパク質の同じ部分に変異を起こしており、
過去の抗体を回避できるようになっており、
数週間以内にBA.5を上回ると予測されます。
Q. 進化株の毒性は強くなってるのか?
→ 現時点ではデータはありません。免疫回避力(免疫をすり抜ける能力)は進化の常套なのでワクチンや薬としてのモノクローナル抗体の有効性は低下する可能性があります。
Q. 進化株に現行ワクチンは有効か?
→ 現時点ではまだデータはありませんが、2価ワクチン(BA.4/BA.5)は効果が期待されています。
▢ オミクロン株の新たな系統が米国で急増、一気に計15%超に
BA.5から派生したBQ.1、BQ.1.1、BF.7の3系統、6~8週以内に感染拡大は確実と専門家
(2022.10.20:ナショナル・ジオグラフィック)より抜粋;
(下線は私が引きました)
オミクロン株の亜系統であるBQ.1とBQ.1.1は、今は米国での新規感染例の10%に過ぎないが、今後数週間でBA.5と入れ替わって主流になる可能性がある。
米国におけるオミクロン株の亜系統の急増に、科学者たちが警戒感を強めている。米疾病対策センター(CDC)が公表したデータによると、10月の第2週に米国内では、BQ.1とその兄弟株であるBQ.1.1による感染が新規感染者の10%以上を占め、BF.7が5%を占めていた。
「数週間以内に、BA.5の割合を上回るでしょう」と、米カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部の感染症およびワクチン学の専門家であるジョン・シュワルツバーグ氏は言う。急増した系統が同じ速さで拡大し続ければ、そのうちのどれか1つ、または3つ全てが現在主流のBA.5と完全に置き換わってしまう可能性がある(世界的にはシンガポールで拡大している、複数のBA.2亜系統が組み合わさったXBBが懸念されている)。
これらの亜系統は、どのようなものなのか。これまでの変異株とどこが違うのだろうか。
◇ 勢力を増す3種のオミクロン株亜系統
現在米国で急拡大している3種のオミクロン株亜系統、BQ.1、BQ.1.1、BF.7はどれもBA.5から進化した。BA.5は、今も米国の新規感染例の約3分の2を占めている。ナショナル ジオグラフィックでも既に報じているが、オミクロンの亜系統は全てそれ以前の株よりも感染が広がりやすく、既存の免疫をすり抜けやすいとされている。
米ジョンズ・ホプキンス大学の感染症専門家であるスチュアート・レイ氏は、BQ.1、BQ.1.1、BF.7が持つ共通の性質には特に注意する必要があると話す。これらは全て、スパイクタンパク質の同じ部分に変異を起こしており、過去の抗体を回避できるようになっているのだ。
レイ氏によると、これは異なる系統が同じ適応を示す「収斂(しゅうれん)進化」の一例であるという。「複数の異なる系統で、スパイクの同じ領域に同じ変化が起こっています。つまりこれは、ウイルスに非常に大きな恩恵をもたらす変化であることを示唆しています。それぞれが独立して進化しているはずなのに、同じ問題に対して同じ解決策を導き出しているわけです」
◇ 新しい亜系統はより強力になっているのか
新しい亜系統は免疫をすり抜けやすくなっているかもしれないが、これまでの変異株よりも重症化しやすいという確たる証拠はない。
ただし、免疫不全などで重症化リスクの高い人に使われるコロナ治療薬の作用を回避してしまう恐れはある。大統領首席医療顧問であるアンソニー・ファウチ氏はテレビインタビューで、BQ.1.1は治療に使われる「重要なモノクローナル抗体を回避できるようだ」と発言した。モノクローナル抗体の治療薬は、新たな亜系統で変異が起こった部位を狙うようデザインされている。
レイ氏は、現在出てきている亜系統の強さを以前の株と比較するのは難しいと話す。同じ集団でも、免疫レベルが以前と異なっているためだ。ワクチンが普及する前であれば、こうした亜系統がより深刻な事態を引き起こしていた可能性は十分にある。
「今も、ワクチンを打って免疫力を上げておかないと、重症患者が増えてしまうかもしれません」と、レイ氏は警告する。軽症の場合でも、複数回の感染は心臓血管や脳の合併症、そして回復後の後遺症と関連付けられているため注意が必要であるという。「免疫を維持するには、ワクチンを打つことです。なかでも、今最も期待されているのが2価ワクチンです」
◇ ワクチンは亜系統に効くのか
現在は、起源株(最初に流行した株)に加えてオミクロン株BA.4/5にも対応する2価ワクチンがあるが、これが他の亜系統にどの程度効くかは、まだ人間では確認されていない。それでも専門家がこれに期待する理由は、3つの亜系統が全てBA.5の子孫であるためだ。
ホワイトハウス新型コロナウイルス対策調整官のアシシュ・ジャー氏は、10月11日の記者会見で次のように述べた。「ということは、アップデートされた2価ワクチンは従来型のワクチンよりはるかに高い有効性を示すはずです。もちろん、どこまで有効かは試験する必要がありますが、ワクチンが引き続き効果を発揮するという私たちの確信に変わりはありません。特に、重症化を防ぐという意味では」
米ブラウン大学医学部准教授のフィリップ・チャン氏も同意し、新しい2価ワクチンを追加接種で打てば特に効果的であると話す。しかし、大多数の専門家は従来型のワクチンでも重症化や入院を防げると考えているとも付け加えた。これまでも、従来型ワクチンは新たに出現した様々な変異株に有効性を発揮してきた。
◇ 今後の見通し
新たな亜系統が出てきたということは、ワクチンやマスクはまだまだ必要であるということだと、多くの専門家は指摘する。最新の株に対してモノクローナル抗体が効かないとなればなおさらだ。
「ウイルスはまだ終わりではないのだと、新たな亜系統の出現が私たちに警告しています」と、シュワルツバーグ氏は言う。新型コロナウイルスがこの先どうなるかは誰にも予測できないが、米国で今後6~8週間のうちに新たな感染拡大が起こることは間違いないだろうと、氏は考えている。
「今の小康状態が、感謝祭以降も続くとは思いません。私たちは、自分自身や家族、地域の安全を守るためにあらゆる手を尽くすべきです」
NHKの専門家会議報告では、流行株分析の書き方が少し異なりますね。
シンガポールの「XBB」は初耳です。
▢ 厚生労働省の新型コロナ専門家会合「新型コロナ “第8波”は来る? 来るならいつ?」専門家の分析は
(2022年10月18日:NHK)より抜粋;
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◇ “第8波”もオミクロン株?
次の感染拡大が起きるとしたら、どんな変異ウイルスが主流になるのでしょうか?
京都大学の西浦教授は9月21日の厚生労働省の専門家会合で、海外の研究をもとに、オミクロン株の変異が起きるスピードは異常に早いと報告しました。
そして「大きく変異した変異ウイルスが発生する可能性は常にあるが、次の流行の波はオミクロン株の派生型によって起こるだろうことが予測される」とコメントしています。
感染が再拡大しているドイツやフランスでは、10月上旬の段階で「BA.5」が90%ほどを占めています。
日本でも「第7波」の主流となり、ドイツやフランスでも数か月にわたってほとんどを占めていますが、再び感染の拡大を引き起こしています。
海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は「第8波」を引き起こす可能性がある変異ウイルスは主に2つあると言います。
1つは「第7波」を引き起こしたのと同じ、「BA.5」による感染拡大です。
「ヨーロッパでは『BA.5』の流行が再燃し、残り火が広がり始めている。日本では『第7波』での『BA.5』の流行が収まりきらないうちに季節が寒くなって流行が再燃し、『第8波』になることが予想される」
「ヨーロッパでは『BA.5』の流行が再燃し、残り火が広がり始めている。日本では『第7波』での『BA.5』の流行が収まりきらないうちに季節が寒くなって流行が再燃し、『第8波』になることが予想される」
そしてもう1つは、海外から新たな変異ウイルスが流入し感染が拡大するケースです。
濱田特任教授は、懸念される変異ウイルスの1つとして、シンガポールなどで「XBB」と呼ばれるタイプのウイルスが広がってきていると指摘しました。
「XBB」はオミクロン株のうちの複数のタイプのウイルスが組み合わさったもので、シンガポールの保健省のデータでは、9月の時点で6%だったのが、10月9日までの1週間では54%を占めるようになったということです。
この変異ウイルスの影響もあり、シンガポールでは人口100万あたりの感染者数が9月上旬にはおよそ340人だったのが、10月中旬には1500人を超えるに至っています。
「日本にもオミクロン株の別のタイプの1つが入ってくると、これまでの『BA.5』よりも拡大することが可能性としてはある」
「日本にもオミクロン株の別のタイプの1つが入ってくると、これまでの『BA.5』よりも拡大することが可能性としてはある」
さらに、ほかの変異ウイルスも検出されてきています。
アメリカでは、CDC=疾病対策センターによると、10月15日の時点で▽オミクロン株の「BA.5」が引き続き最も多く67.9%を占めているものの、▽「BA.4」から派生した「BA.4.6」が12.2%、▽「BQ.1.1」と「BQ.1」がそれぞれ5.7%、▽「BA.2.75.2」が1.4%、「BA.2.75」が1.3%などと、いずれもオミクロン株の一種ですが変異ウイルスの種類が増えてきています。
このうち、「BQ.1」系統のウイルスは「BA.5」がさらに変異を重ねたウイルスです。
また、「BA.2.75.2」はアメリカやインド、ヨーロッパ各国などで検出されていて、「BA.2」が変異を重ねた「BA.2.75」にさらに3つの変異が加わっています。
これらの変異ウイルスの性質はまだはっきりしていませんが、人の血液を使って分析すると、「BA.5」よりも免疫の働きが下がるという報告が出されています。
濱田特任教授によりますと、これらの変異ウイルスは「BA.5」と比べて、感染した場合の重症度が大きく変わるとは考えにくいものの、感染力が高まることや、欧米などで広がるのとほぼ同時に日本国内でも広がるおそれがあることに注意が必要だとしています。
「今出てきている変異ウイルスはオミクロン株の中で変化しているものなので、重症度が大きく高まることはあまりないと考えられる。感染力が高くなる、免疫を逃避する能力が高くなることは予想されるが、ドラスチックな大きな変化というものは現在の状況からみると起きないのではないか。過去2年間は、ヨーロッパやアメリカで冬の流行が広がってしばらくしてから、変異ウイルスが日本に入ってくる状況が見られたが、今は水際対策が緩和されているので、欧米での流行が起きたあとに間を置かずに日本で流行が広がってしまうということも考えておかなければいけない」
「今出てきている変異ウイルスはオミクロン株の中で変化しているものなので、重症度が大きく高まることはあまりないと考えられる。感染力が高くなる、免疫を逃避する能力が高くなることは予想されるが、ドラスチックな大きな変化というものは現在の状況からみると起きないのではないか。過去2年間は、ヨーロッパやアメリカで冬の流行が広がってしばらくしてから、変異ウイルスが日本に入ってくる状況が見られたが、今は水際対策が緩和されているので、欧米での流行が起きたあとに間を置かずに日本で流行が広がってしまうということも考えておかなければいけない」
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