徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

解熱剤は熱性けいれんを予防するか?それとも引き金となるか?

2015年01月17日 07時18分05秒 | 小児科診療
 小児科外来でよく聞かれる質問です。
 的確な回答を以下に見つけましたので、一部を引用させていただきます;

■ ラジオ NIKKEI 小児科診療 UP-to-DATE 2013年4月24日放送
熱性けいれんに対する適切な対応」(順天堂大学 小児科学 准教授 奥村 彰久)
 「外来をしていますと、保護者の方がこの子は熱性けいれんの既往がありますので解熱薬は要りませんとおっしゃられることが時々あります。
 解熱薬で一旦熱が下がった後に再び熱が上がると、けいれんを起こす可能性があると説明を受けているようです。しかし、現在のところ解熱薬が熱性けいれんの確率を上げることを証明した研究は皆無です。
 一方、解熱薬によって熱性けいれんを予防する試みを検証した研究は、現在までいくつか行われています。その結果はすべて同じで、解熱薬の種類に関わらず熱性けいれんを予防することはできませんでした。 しかし、これらの研究全てで、解熱薬を使うことで熱性けいれんの頻度は増えませんでした。
 解熱薬はあくまで対症療法ですので使用が必要とは限りませんが、熱性けいれんの既往があることを理由に禁止しなくてもよいと思います。」

熱性痙攣の予防に解熱剤は使用すべき?
(2014/7/24:日経DIより引用)


図 解熱薬による熱性痙攣の再発予防効果

※ 「95%信頼区間」の読み方
(1)95%信頼区間とは、臨床試験参加者から得られたデータをもとに全患者での数値を推定するための統計データ。
(2)絶対差において信頼区間が0をまたげば統計的に有意差なし。0を超えていればアウトカム増加。下回っていればアウトカム低下。
(3)相対差において信頼区間が1をまたげば統計的に有意差なし。1を超えていればアウトカム増加。下回っていればアウトカム低下。


 つまり、「解熱剤と熱性けいれんは無関係、増やすことも減らすこともない」ということです。
 よく言われるように、発熱は病原体と戦っている証拠です。解熱剤はあくまでも「対症療法」であり、病気を治す薬ではありません。
 そう割り切り、
「高熱でぐずるのをかわいそうで見ていられないときは頓用で使ってあげてください」
「睡眠が取れて少し飲食できれば体力が回復し、また病原体との戦いに挑めますからね」
 と私は説明しています。

 こちらもわかりやすく、参考になりますね。

「こまったときの薬の使い方」(神戸大学大学院医学研究科小児科学分野 こども急性疾患学部門 池田 真理子先生)
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