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徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

「人を幸せにするものは何か?」

2013年05月18日 04時53分09秒 | 小児科診療
人を幸せにするものは何か?ということがハーバード大学の75年間の研究で明らかに
(2013.5.17:Gigazine)

とっても興味深い内容の研究・分析です。
結論は「老年における幸福と健康、そして暖かな人間関係の3つの持つ強い相関関係」であるとし、いろいろな要素に言及していますが、私が注目したのは「男性とその母親との関係」。
その部分を抜粋します;

 「暖かな人間関係」の測定で高得点だった男性58人の年収は平均して年間14万1000ドル(1440万円)で、55~60歳におけるピーク時の給料は、点数の低かった男性31人よりも多かったそうです。また、「暖かな人間関係」を築けている男性は、そうでない男性に比べ専門的分野で成功を収めた人が約3倍もいたとのこと。
 この時、母親との関係の暖かさは成年期に長期にわたって重要となることもわかりました。調査から明らかになったことの1つは、幼年期に母親と暖かな関係が築けていた男性は、そうでない男性よりも8万7000ドル(約890万円)も年収が高いということ。2つ目は、幼年期に母親との関係が乏しかった男性は、老年において痴呆を発症する可能性が高いということ。そして、専門家の人生の後期において、少年期における母親との関係は仕事の効率性に関係するということです。


幼児期に母親に愛情をたっぷりともらった男性は、その後も幸せな人生を送る確率が高くなると言うことです。
これは、発達心理学・児童精神医学の分野でも指摘されてきたこと。

すると気になる、父親との関係は・・・

一方で、幼年期における父親との関係は、成年期の不安や休暇の楽しみ、老年期における人生の満足度とはあまり相互関係がなかったとのこと。

う~ん、そうなんだ。
ちょっと寂しい結果ですね(苦笑)。

児童精神医学者である佐々木正美先生の言葉

「勉強しなくちゃダメだよ」というのは父性性であり、「できなくたっていいよ」というのが母性性です。そして、幼いときに母性性が十分与えられた子どもにしか、父性性は伝わっていかないという順序があります。育児をするときは、母性性と父性性がバランスよくあればよい、と思っている人は間違いであり、順序があることを知るべきです。

生きていくために必要なのは母性、社会生活を送るために必要なのが父性という位置づけでしょうか。

父親は母親のサポート役、という意見もあります。
母親が幸せなら子どもも幸せになれる、その母親の幸せをサポートするのが父親の役割である、と。
また、「結婚相手の女性は神様からの授かり物だと思え」という話を聞いたことがあります。

え?神様からの授かり物は子どもじゃないの?

とその時は思いました。
いえいえ、男性にとって自分の子供を産んでくれる(遺伝子を残してくれる)女性という存在は、それほど大切な存在なのですよ、という民族の知恵として紹介されていました。

ま、しょせん人間は「哺乳類」という動物だと云うこと。
「哺乳類」の子どもは母親のおっぱいを飲んでたくさんの愛情ももらってはじめて自立できることは動物の種類にかかわらず共通しています。
動物界での父親の役割は母子を外敵から守ったり、食べ物を調達してきたり・・・。
人間の社会は産業革命以降激変し価値観も多様化した現代ですが、子どもが健やかに育つために必要な環境はいつの時代も変わらないはず。
「哺乳類」としての基本を忘れずにいたいものです。

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