スギ花粉症」の季節到来!
患者である私自身、診療中にくしゃみが出たり、朝晩の鼻汁・鼻閉が気になり出しました。
今シーズンも抗アレルギー薬と漢方薬の併用で凌ぐつもりです。
患者さんにお勧めしている舌下免疫療法、私は持病のため出来ないのが残念です。
花粉症の基礎知識と対策をわかりやすくまとめた記事が目に留まりましたので紹介します。
▢ スギ花粉は条件によっては100km以上飛ぶ!花粉症を悪化させる「PM2.5」とは?【前編】
(2025/1/31:RSK山陽放送)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・まだ冬の寒い時期の花粉症の代表的な原因は「スギ」です。スギの花粉について掘り下げてみましょう。 環境衛生に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。
ースギ花粉はどんなものなのでしょうか。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「スギは『風媒花』といって、風に任せて大量の花粉を飛ばし、その到達距離は条件によっては軽く100kmを超えるといわれます」
「でも、動けないスギから飛ばされた花粉、風に任せて離れた雌花に偶然くっつかないといけません。ほんの数㎝でもずれたら失敗、…効率が悪いですよね」
「だから、それでも花粉が届くくらいに確率を上げるようにとてつもなく大量の花粉を飛ばします。とっても雑な計算ですが、ちょっと計算してみましょう」
▶ スギの一つの雄花に40万個の花粉!
(東洋産業 大野竜徳さん)
「スギの一つの雄花に400,000個(40万)ほどの花粉が入っているとされ、花は20,000個(2万個)程度つけるとされます」
「日本には20,000,000本(20億)を超えるスギがあるという説がありますのでこれらをざっくり掛け算で計算すると、とんでもない数の花粉が飛んでいる計算になってしまいます」
「おススメはしませんが、花粉症がひどくなる時期、スギに近づくと風に吹かれた雄花から私たちの目にも見えるくらいの花粉が出てくるのが観察されます」
ー画面越しに「嘘でしょう?」というくらいに飛散する様子を見たことがあります!
(大野さん)
「黒っぽい服なら近くを通りがかるだけで花粉が付着したのが見えるくらいに、さらに枝を持って揺らそうものなら体中に粉っぽいと感じるくらいに花粉が付着します」
「でも、私たちにとってはつらい花粉症の原因となる花粉は、自分では動けないスギが自分の子孫を広範囲に残すために一生懸命プロポーズをしようとしている姿なのです」
「ところで、スギの雄花は、前年の梅雨があけ、暑くなり始めるとつきはじめます。8月ごろには来年の花粉症の悩みの種がつまった薄い緑色をした雄花のもとを枝先にたくさんつけます」
「雄花の量は年によって違って、『日照時間が長くて暑い夏の年は多い傾向がある』…と言われますが、雄花をたくさんつけるのにはその分のエネルギーを木の中にしっかり蓄える必要があるらしく、毎年連続で大量の雄花をつけるのは難しいとされます」
ーウェザーニューズが2025年春の花粉シーズンに向けて発表した「第2回花粉飛散予想」(スギ・ヒノキ・北海道はシラカバ)によりますと、西日本の飛散量は、過去10年で最多に匹敵する可能性があると予想しています。
▶ 「スギの花がたくさんつくとカメムシが増える」という説も
(東洋産業 大野竜徳さん) 「2023年から2024年にかけて大発生した、ツヤアオカメムシやチャバネアオカメムシ、クサギカメムシなどカメムシの仲間にはこの雄花が大好きな仲間がいて、スギの花がたくさんつく年にはカメムシが増える、とも言われます」
「すくすく育った雄花が開花するには寒くて日照時間が短くなることが重要で、一回寒い冬にしっかりと休眠に入り、だんだん暖かくなってくると目覚めてきます(休眠打破)」
「もうこのくらいの時期(1月下旬)になるとスギの雄花は休眠から目覚め、花粉を飛ばす時期を待っています。スギにも個体差があるので、もう花が開いているものもあるかもしれません」
「一度花が開くと、閉じることはないので、あとは風に乗って花粉が飛ぶ時期に入ります。特に暖かくて風の強い日には大量の花粉が風に乗って飛んできてしまいます」
▶ 花粉症を悪化させる「PM2.5」とは?
(大野さん) 「花粉症を悪化させる原因として『PM2.5』というものもあります。PM2.5という物質があるわけではなく、大きさが2.5㎛以下の小さな塵(ちり)のことを指します」
ーいろいろな小さな塵の総称ですね。
「たとえば排気ガスやたばこの煙、スス、砂埃、それにもっと細かい有害物質などがくっついていたり、有害物質そのもののだったり、目には見えない小さな塵です」
「この時期は地球が回る自転の影響で一年中吹く偏西風に加えて、乾燥して冷たい空気が大陸から日本に向けて吹いて時期です。春先に増えるともニュースでよく出てきますので、勘のいい方はPM2.5=黄砂と思われている方もいるかもしれません。半分正解です」
「黄砂は大きさが10㎛以下の粒子が多いといわれますので、PM2.5は黄砂、というわけではありません。それでも黄砂にも小さなものが含まれるので、春先の黄砂はPM2.5の数値を押し上げます」
「乾燥して細かい塵は乾燥すると飛びやすいので特にPM2.5は増えてしまいますね。黄砂=PM2.5ではなく、PM2.5には黄砂の一部も含まれます、というのが正解でしょうか。PM2.5は黄砂が多い春先だけのものではなく、年中飛んでいるもので、春先以外にも問題を引き起こす物質です」
「ただ、PM2.5はとっても悪い物質!ということではなく、ほかの気象条件などとの関係でPM2.5を核にして雲ができたり、霧やもやの発生条件になっていたりと、地球の大きな活動や、季節を感じる風情の材料になってもいます」
「ちなみに、スギの花粉の大きさは30〜40㎛ほどあるので、PM2.5と比べると10倍以上の大きさがあります」 ・・・
▢ 花粉やPM2.5対策「マスクはPFEを確認」「室内は加湿して抑制」「換気時は窓の開け方を工夫」環境衛生の専門家が伝授【後編】
(2025/1/31:RSK山陽放送)
・・・ 【後編】では、花粉やPM2.5を家の中で少しでも減らすにはどうしたらよいのか、環境衛生に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに教えてもらいます。
(東洋産業 大野竜徳さん)
「日本では植林事業でスギがたくさん植えられており、大陸から吹く偏西風と乾燥した冷たい風の影響も大きく受けるので、花粉症のもとをなくすのは難しいですね」
「ですので、空気は塵がたくさん飛んでいる少しでもおうちの中で花粉やPM2.5を減らす方法をいくつか考えてみましょう!」
▶ マスクの選び方 箱の裏側「PFE」に注目して
「まず、花粉症の時期には手放せない市販のマスク。花粉症対策にはとっても有効です。マスクの箱の裏側を見てください。『PFE』という文字があったらそこを見てみましょう」
「これは『微粒子ろ過効率』といって、マスクの性能試験で約0.1㎛サイズの粒子をどれくらい止めることができたか、ということを表しています」 「花粉が30㎛、PM2.5は2.5㎛以下ですから、この試験で99%カット、などという表記があればマスクの性能は十分だとお考え下さい(PM2.5には0.1㎛未満のものも含まれ、これはマスクでは止めることは難しいものですが)」
「市販のマスクで箱の性能をクリアしたものが多くありますので、性能面はそこだけチェックしておけばいいでしょう」
「それよりも、マスクで重要なのは、きちんと装着できているか、使い捨てマスクでは長期間使い続けていないかです」
▶ 顔の形・サイズにあったものを 「使い捨てマスクは帰宅後すぐに捨てて」
「マスクをつけるとどうしてもメガネが曇ったり、息苦しくなったりしてずれることもあれば、顔の形やサイズに合っていなくて明らかに空気がマスク以外のところから入ってくることもあります」
「人の顔の大きさや形などはさまざまなので、まず、自分に合った形や大きさのマスクを探しましょう」
「また、鼻の高さも異なりますので、しっかりと鼻筋にフィットさせることができ、漏れが少ない状態で長時間つけられるものを選んでください」
「マスクの性能がよいものになればなるほど空気も通しにくくて息苦しくなりやすく、早く目詰まりしてしまいますので、マスクをきちんとつけられないならば本末転倒」
「どんなに高性能なマスクをしていても、マスクを通して空気を吸わないとせっかくのマスクが無駄になってしまいます」 「花粉症対策ではそこまで高性能のマスクは必要ありません。大切なのは自分の顔にあったマスクをきちんと装着できているか、です」
「また、マスクの表面には汚れがいっぱいつきます。使い捨てマスクは一日に1枚から2枚くらいを消費するイメージで、使用後のマスクは捨ててしまいましょう」 「当然はたいたりすると補修した汚れが飛び散るので、玄関などにゴミ箱を用意しておき、朝に装着した使い捨てマスクは帰宅後に捨ててしまうのが良いです。長く使えるマスクは帰宅後に水洗いしましょう」
▶ 玄関で花粉を除去 空気清浄機や粘着カーペットクリーナー
ー花粉やPM2.5を持ち込まないために、どんな対策ができますか?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「玄関、というキーワードで対策をもう少し考えてみましょう。玄関は外から帰ってきたときに最初に通るところですね」
「外から花粉を持ち込まないためには重要な場所です。外から帰ってきた体の表面には頭のてっぺんから足先まであちこちに花粉やPM2.5が付着しています」
「なので、おうちに入る前に頭から足まで軽くはたき、さらにどうしても気になる方は玄関に入ったら体にコロコロ(粘着カーペットクリーナー)をかけるなどして、服についた花粉を除去しましょう」
「そして、上着やズボンなども玄関で着替えてそこに置いておき、家の中まで持ち込まないのがよいです」
「また、余裕があれば玄関に空気清浄機を置いて、外から持って入ってしまった花粉などを取り込みにくくする、というのもよい対策です」
「帰宅後、外に洗濯物を干しに出たりするときには、外出用につるつるした素材のものを羽織っておいてもいいですね。塵は布などの素材の間に入り込みやすいですが、つるつるした素材であれば除去も簡単です」
▶ 空気中に舞う花粉・PM2.5を加湿で抑制 40〜60%がベスト
ー室内はどのような対策ができますか?
(東洋産業 大野竜徳さん)
「花粉やPM2.5は乾燥した空気中では舞いやすいので、空気を加湿するのはよい対策です。加湿は、ウィルス対策やのどの乾燥対策などにも有効ですね」
「また、乾燥しやすい時期は静電気が起こりやすく、体が静電気を帯びるとくっついた花粉が体から取れにくくなります。湿度が高くなると静電気も起こりにくくなるので一石二鳥です」
「湿度は高いほど細かな塵は舞いにくくなりますが、あまり高いと結露がひどくなったり、カビの原因にもなったりするので、40〜60%くらいを目安にしましょう」
「掃除をするときもホウキや花粉を防ぐ性能の無いフィルターがある掃除機は花粉を舞い上げてしまうので、ワイパーや拭き掃除、コロコロなど、ほこりを巻き上げない掃除が有効です」
▶ 「換気」のポイントは窓の開け方とカーテン・空気清浄機
(大野さん)
「締め切ったおうちも空気がよどんでしまうので、ときどき換気もしないといけないですね。換気は外から花粉が入ってくるという弱点もあります。そうでなくても私たちのおうちは換気扇を回すことが多いですね」
「お風呂場やキッチンの換気扇が多く、最近では24時間換気などの設備をお使いのおうちもあると思います。換気扇を使う、ということはおうちの中の空気を外に追い出しているので、そのぶんどこかから空気を吸っています」
「その『どこかから』というのが困りもので、どこから花粉が入り込むかがわからないのです。なので、空気を取り込む場所を作ってやりましょう」 「やり方は簡単。窓を開けるだけです。でも、窓を開けたら花粉やPM2.5が入ってきてしまいますね。空気が効率よく通ればよいので、窓は全開にするのではなく10㎝くらい空けてやれば十分でしょう」 「そして窓の前には通気性がよく、目の細かいレースのカーテンなどを下げておきましょう。こうすることで、どこかから、ではなく窓から空気をたくさん取り込め、カーテンがフィルター代わりになって汚れの侵入を少し減らしてくれます」
「窓を開ける位置は換気扇からなるべく遠くがよく、窓から換気扇までの空気の通り道を意識することで効率のよい換気が行えます。さらに空気清浄機を窓の近くに置いておくことで、汚れを早期に取り除いて周囲の空気もきれいになります」
「カーテンにはしっかり汚れが付くので、時々そっと外して洗濯しましょう。24時間換気システムなどがあるおうちは時々フィルターの点検をお忘れなく。汚れていたら交換のサインです」
「おうちの中のフィルターの位置は把握しておきましょう!フィルターにはたくさんの汚れが吸着しますが、詰まってしまうとせっかくの換気システムがうまく働いてくれません」
▶ 花粉症の原因はスギの他にもヒノキ、シラカバ、イネ、ヨモギ…
ー対策で多少和らぐとしても、花粉症の症状はつらいですね。
(大野さん)
「とってもつらい花粉症。病院で相談するとアレルギー検査を勧めてくれることがあります」
「花粉症と一口に言っても、有名なもので例を挙げると、この時期はスギ、もう少し暖かくなるとヒノキやシラカバ、梅雨が近づいてくるとイネ、夏から秋にはヨモギやブタクサなどキクの仲間…」
「いろいろな花粉症の原因があります。花粉症だと思ったらハウスダストなどが原因のぜんそくや乾燥肌など別の原因があるかもしれません。ひょっとしたら風邪などの感染症かもしれません」
「注射が苦手な方も、今は血液検査でなくてもパッチテストもあるようです。ご心配な方は一度受診してみるのもいいかもしれません。
最近ではアレルギーの研究も進んで『寒暖差アレルギー』なんていうのもわかってきています」
「体の不調は専門家に聞いてみるのが一番です。寒い冬が過ぎて少し暖かくなると憂鬱な花粉症。少しでも皆さんの生活が楽になりますよう、ご参考にしていただければ幸いです」