小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

自らの髪の毛を食べる病気・抜く病気

2017年09月03日 11時42分53秒 | 小児医療
 初めて聞く方はギョッと驚かれるかもしれません。
 
 まれに自分の髪の毛を食べてしまう子どもがいます。
「抜毛症」という、自分の髪の毛を抜いてしまう病気。さらに抜いた髪の毛を食べてしまうことがあります。
 その理由は、貧血や精神的な要因。

■ 自ら髪を抜く病気 長期化すれば命の危険も
2017/9/2 毎日新聞
 自分で自分の髪の毛を抜いてしまう「抜毛症」はストレスが原因で起こる。「いい子」に発症することが多く、解決には心のケアが必要だ
 自分で自分の髪の毛を抜くのは、「抜毛症(ばつもうしょう)」という、ストレスが根本にあって発症する、心の問題が絡んだ病気です。本人の癖や性格の問題と言われたり、見た目は円形脱毛症と似ていたりしますが、原因は全く異なります。抜毛症の特徴や解決策について、横浜労災病院の齊藤典充・皮膚科部長に聞きました。

◇抜毛症に見られる五つの特徴
 抜毛症は、子どもから大人まで発症し、特に学童期から思春期の子どもに多くみられます。無意識のうちに髪の毛に触れて引き抜いている場合と、本人が分かっていて抜いている場合があります。また、髪の毛の抜け方や毛の状態などに特徴があり、次のようなことからおおよその診断がつきます。

1.髪の毛があちこち不規則に抜けている。
2.脱毛した痕が丸くなっていない。
3.利き手が右なら頭の右横とその前後、左利きは左横とその前後が抜けている。
4.毛髪の中に途中で切れた髪の毛がある。
5.コイル状に丸まった髪の毛がある。

 髪の毛は、手が届きやすいほうが触りやすいため、利き手側に不規則な脱毛痕が多く見られます。切れた髪の毛やコイル状に丸くなった髪の毛は、抜こうと引っ張って切れたか、抜いてはいけないと思い直して途中で指を放した跡です。

◇髪の毛を食べてしまうこともある
 また、抜毛症は、意外な症状から見つかることがあります。それは、食欲不振や腹痛といった症状で、抜いた髪の毛を食べてしまうことに起因します。髪の毛は、飲み込んでも消化されません。そのため、胃液や食物などと混ざり合って、石のように硬い固形物になってしまうのです。このような塊を「毛髪胃石」と言います。食べ続けた結果、塊が大きくなると、むかつきや嘔吐(おうと)、便秘などの症状が表れ、腸閉塞(へいそく)を起こすこともあり、見つかった場合は手術で取り除かなければ命の危険もあります。

◇問題のない「いい子」がなりやすい
 抜毛症の原因はなんらかのストレスで、日本で過去11年間の抜毛症を調べた研究によると学校に起因するものと家庭に起因するものがそれぞれ半数と報告されています。学校に関連するストレスは、友人や教師との関係、いじめ、塾に行きたくないなどが考えられます。一方、家庭によるストレスがある子どもには、父親が多忙でほとんど家におらず、教育熱心な母親と過ごす時間が長い、という共通のパターンがあります。
 子どもが抜毛症と診断されると「こんなにいい子なのに」と母親は言います。しかし、それが子どもにとって心の重荷になっていることに気づいていません。抜毛症の治療は、場合によっては精神的なケアが大切ですが、親に原因がある時は親も同時にケアする必要があります。

◇髪の毛を抜かないための解決策
 抜毛症の治療は、傷ついた頭皮や髪の毛に対しても行いますが、基本的には髪の毛を引き抜かなければ起きないため、心のケアに重点を置きます。まず本人が自覚する、その次に行動を変える必要があります。主な解決策を解説しましょう。

1)髪の毛に触らないようにする
 髪の毛を引き抜かないようにするには、手で触らないことです。頭にバンダナをしたり、帽子をかぶったりして、直接、髪の毛に触ることができないようにすると効果的です。
2)本人が自覚するまで見守る
 周りの人から「髪の毛を抜くな」「抜くのをやめろ」と言われるとストレスになります。本人が「よくない」「やめたい」と思うようになると、行為は止まります。そう思えるまで温かく見守ってください。
3)相談できる人を探す
 やめようと本人が思いすぎると、かえってストレスになって髪の毛を抜いてしまいます。そのような時は、気軽に相談できる人がいたほうがよいと思います。心理学の専門家であるカウンセラーに限らず、いろいろな人に会うこともいいのではないでしょうか。仲間や自分が楽に過ごせる場所ができると、よい意味でストレスからの逃げ道ができ、行動が変わるきっかけになります。

◇抜毛症の兆候と原因を見つけるには
 抜毛症は、一見なんの問題もない、いい子に発症します。本人に聞いても心理的なストレスの原因や自分で髪を抜いているとは言わないので、抜毛症と思ったら、ふだんの行動をそっと観察しましょう。机やベッドの上に抜け毛が増えていないかにも注意が必要です。自宅で抜く行動は見られないのに薄毛になってきた時は、通学中に髪の毛に触っていることがあります。学校が楽しいかどうかも聞いてください。そして、抜毛症では、親の言動が子どもの心にストレスを引き起こすことがあるということも頭の片隅に入れておきましょう。



■ 消化管が髪の毛で埋め尽くされていた女の子
2017/09/01:ケアネット
 皆さんはラプンツェル症候群という疾患をご存じでしょうか。
ディズニーの映画で有名になったあのラプンツェルは、グリム童話の中に登場する美しくて長い髪を持つプリンセスです。髪の毛が異常に長いキャラクターなので、記憶に残っている人も多いでしょう。
このラプンツェル症候群は、自分の髪の毛だけではなく他人の髪の毛をも食べたい衝動に駆られてしまう珍しい疾患で、胃の中に大きな毛玉が形成されるという特徴があります。ひどい場合、それが消化管を閉塞させてしまい、いろいろな症状を引き起こします。

<原著論文>
Islek A, et al.
A rare outcome of iron deficiency and pica: Rapunzel syndrome in a 5-year-old child iron deficiency and pica.
Turk J Gastroenterol. 2014;25:100-102
.

 5歳の女児が腹痛を訴えて救急外来にやってきました。彼女はヘモグロビンが4.5g/dLという強度の貧血を起こしており、腹部には腫瘤を触れました。詳しく調べてみると、胃から小腸までびっしりと髪の毛の塊が詰まっていたのです。
 ラプンツェル症候群はお察しのとおり、異食症です。鉄欠乏性貧血のときに氷を食べる患者さんが典型的ですよね。おそらく、この女の子はもともと鉄欠乏性貧血があり、その異食症として髪の毛を食べてしまう症状が発現。そこに胃から小腸の吸収不良によってさらなる二次性貧血を起こし、異食症が悪化…という悪循環に陥っていたのかもしれません。
女児は手術を受けて、髪の毛の大きな塊は除去されました。髪の毛って胃の中で溶けてくれるのかと思いきや、そうでもないんですね。皆さんも髪の毛を食べないように注意しましょう。

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「アイスクリーム頭痛」の対処法

2017年08月07日 07時50分00秒 | 小児医療
 冷たいアイスを急いで食べると「キーン」と頭が痛くなることを「アイスクリーム頭痛」と読んでいます。英語では brain freeze(脳のフリーズ)。
 正式な医学名は「翼口蓋神経節神経痛」だそうです。
 その対処法を解説した記事を紹介します。
 簡単に言うと「ゆっくり食べる」こと。

 まあこれも当たり前といえば当たり前ですね(^^;)。

 メカニズム的には偏頭痛と近似しているとの記載あり。

■ 「アイスクリーム頭痛」が起きる仕組みと予防法
HealthDay News:2017/08/07:ケアネット
 キンキンに冷えたスムージーやアイスクリームがおいしい季節だが、あまり急いで食べると一瞬だがひどくキーンとする頭痛が起きることがある。この頭痛は「アイスクリーム頭痛(brain freeze)」と呼ばれるもので危険性はないが、少しの心がけで防げる可能性があると、頭痛専門医である米テキサスA&M大学医学部のStephanie Vertrees氏はアドバイスしている。
 同氏によると、アイスクリーム頭痛は医学的には「翼口蓋神経節神経痛」と呼ばれる。「翼口蓋神経節は口蓋の奥にある神経の束で、冷たい食べ物に敏感。そのため、冷たい食べ物が喉を通っていくときにこの部分に触れると神経が刺激され、その情報が頭痛を起こす脳の領域に伝わる」と、同氏は説明する。
 この神経節は片頭痛や群発頭痛の原因となることでも知られており、その予防法を探すための研究が続けられている。片頭痛の患者では、アイスクリーム頭痛が治療に役立つ可能性もあるという。「誰にでも必ず有効だとはいえないが、アイスクリーム頭痛を起こせば片頭痛を緩和できる可能性がある」と同氏は話している。
 ただ、多くの人にとっては、アイスクリーム頭痛に伴う一時的な不快感は和らげるか、できれば完全に避けたいと考えるものだろう。同氏が紹介するアイスクリーム頭痛を避ける方法は以下の通り。

・冷たい食べ物は、急がずにできるだけゆっくり食べること。そうすれば自分の口の中で食べ物を温めることができる。
・冷たい食べ物は、口内の前の方に含むようにすること。口内の奥の方を刺激するとアイスクリーム頭痛を引き起こす可能性があるため。
・アイスクリーム頭痛が起きそうだと思ったら、舌を口蓋に押しつけると痛みが和らぐ可能性がある。舌の温かさで副鼻腔と翼口蓋神経節を構成する神経が温まるため。

 Vertrees氏は、「アイスクリーム頭痛は危険なものではなく、放っておいてもすぐに軽快する。つい急いで食べたり飲んだりしてしまうという人は、アイスクリーム頭痛について理解し、ゆっくりと食べたり飲んだりすることを心がけるとよいだろう」とアドバイスしている。
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妊婦感染症による先天性障害「TORCH(トーチ)症候群」

2017年05月03日 06時53分31秒 | 小児医療
 赤ちゃんには何の罪もないのに、生まれつき障害を抱えてしまう感染症。
 最近では先天性風疹症候群が社会問題になりましたが、他にもあります。
 私が学生の頃(30年前)からTORCH(トーチ)症候群として有名でした。
 
 T:Toxoplasma(トキソプラズマ)
 O:Others(その他:梅毒、HIV、HCV、HBV等)
 R:Rubella(風疹)
 C:Cytomegalo(サイトメガロ)
 H:Herpes simplex(単純ヘルペス)

 この中で、風疹とHBV(B型肝炎)のみワクチンで予防可能です。
 他の感染症を予防する手段はあるのでしょうか?
 以下の報告によると、

トキソプラズマ:肉の生食や猫の糞から感染することが多い。食生活や育児、ペットの飼育に関する指導が必要になる。「生肉やレアステーキ、ローストビーフ、生ハムなど加熱不十分な肉を食べないように」「妊娠中に子猫を飼わない、猫の糞を触らない」といった指導。

サイトメガロウイルス:集団生活を送っている子どもの体液(唾液や尿など)との接触が最大のリスクとなる。集団生活では密に子どもが接するため、唾液などに触れる機会が多く、そこで感染した子どもに妊婦が接すると新たな感染を起こす。そのため、「子どもと食べ物や食器を共用しない」「上の子がいる場合、おむつ替えの後は手洗いを徹底する」などの指導が有効。

 と記されています。これらを励行すると、感染リスクが1/10に減るそうです。

 生肉は食中毒対策としても避けた方がベター。
 屋内で猫を飼っている家庭はアウト。
 子育て中のお母さんは子どもから風邪をよくもらいますが、それを阻止する予防対策をふだんから習慣づけることが大切ですね。

■ 見逃される先天性感染症「TORCH症候群」
2017/4/3:日経メディカル

 もう一つ、上記記事でも触れられているサイトメガロウイルス対策の記事を。
 近年、妊婦の抗体保有率が低下傾向・・・つまり妊婦が初感染して胎児が感染し障害を抱えるリスクが高くなってきていることが報告されています。

<font size="3">■ サイトメガロウイルス感染、早期発見への挑戦
2017/4/4:日経メディカル
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洋式便器は便秘を助長しているらしい。

2016年12月08日 12時35分36秒 | 小児医療
 和式便器のよいところは、下半身を踏ん張ってしゃがむので足腰を使うため、昔の日本の老人は足腰が丈夫だった・・・と耳にしたことがあります。
 先日見かけた記事では、和式便器にしゃがむ方が排便しやすく、洋式便器が普及したことが便秘増加に荷担しているのではないか? とのこと。

■ 便秘解消に効くのは洋式より和式トイレだった! 便秘で悩む日本人は1000万人以上?どうすれば快便できるのか
2016.12.8:JBpress
 昔から健康のためには「快食・快眠・快便」が重要であると言われていますが、最近は便秘のため「快便」でないことに悩んでいる方が増えています。
 慢性的な便秘は一般に女性に多く、高齢になるに従い患者数が増えていきます。厚生労働省が2010年に行った国民生活基礎調査によると、便秘で悩んでいる人は全国で男女合わせて約479万人いると考えられています。しかし、自覚症状はないけれども実は便秘の人(隠れ便秘)や、アンケートに答えなかった人もいるため、実際には便秘の人は1000万人はいるのではないかとも考えられています。
 便秘があると、腹痛やお腹の張りなどの自覚症状がある場合はもちろん、自覚症状が少なくても活動の低下が起こると言われています。便秘により仕事の効率が落ち、さらに悪化すると欠勤や仕事への意欲が低下するため、アメリカの試算では、女性の慢性便秘の平均的年間損失額が7000ドルに及ぶという報告があります(あくまで国としての損失です)。
 それだけではなく、便秘によって様々な病気につながることが分かってきました。現在、世界的にも増加しており日本でも2015年に男女合わせた罹患率が1位となった大腸がんもその1つであると考えられています。

◇ 野菜や果物は不足していないか?
 慢性的な便秘の原因には様々なものが挙げられます。
 まずは食生活です。排便をスムーズにするためには腸内環境を良くする、つまり腸内の善玉菌を活躍させることが重要です。
 善玉菌を活躍させるために重要な栄養素は食物繊維です。しかし、日本人は食物繊維の摂取に欠かせない野菜や果物の摂取量が減っているのです。
 厚生労働省と農林水産省が出している「食事バランスガイド」によると、1日に野菜は350グラム、果物は200グラムを目標に摂取することが勧められています。しかし実際の摂取量は、平成27年「国民健康・栄養調査」によると野菜の1日の摂取量は男性で288グラム、女性で276グラム、また果物の場合は男性が99グラム、女性が116グラムと明らかに不足しています。
 それに対し、悪玉菌を増やすと言われている肉類の摂取は増えています。同調査によると男性が1日に106グラム、女性が77グラム摂取していると報告されています。
 腸内環境の悪化は大腸がんにつながります。2007年の世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による報告書「食物・栄養・身体活動とがん予防」では、肉(牛、豚、羊)の摂取は大腸がんにつながる「確実なリスク」と評価しています。日本の国立がん研究センターの調査でも、肉類の摂取が多いグループ(1日100グラム以上)で大腸がんのリスクが高くなることが分かりました。
 ですから、野菜や果物をしっかり食べて肉類(牛、豚、羊)を控えることが便秘や大腸がんの改善につながるのです。
 続いての原因は、腸の動きが悪いことです。腸がスムーズに元気に動くことによって排便もスムーズになります。ですから腸の動きが弱い、つまり腸を動かす筋力の弱い女性や高齢者が便秘になりやすいのです。
 また、運動不足になると腸の動きが悪くなりますので、よく運動すること(特に歩くこと)が便秘の解消につながります。運動をよくしている人は大腸がんだけでなく全般的にがんにかかりにくいという結果もあります。

◇ 排便時間が最短だった排便スタイルは?
 また、排便のスタイルが便秘に関係することも分かっています。
 下の図は、私が開発のお手伝いをした直腸性便秘解消ステップ「SULUTTO(スルット)」(発売元はアサヒ衛陶)という製品です。洋式便器に装着することにより、脚や膝や腰の負担を減らしながら和式便器の姿勢を取って排便できるというものです。


「SULUTTO(スルット)」(上)を洋式便器に装着した様子(下)

(*配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで図をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48564)

 なぜ、和式便器の姿勢を取ったほうがいいのでしょうか。
 イスラエルの医師であるシキロフが3つの方法で排便をさせるという実験を行いました。1つ目は通常の洋式便器(便座までの高さが41~42センチ)、2つ目は便座の高さを低くした小型の洋式便器(便座までの高さが31~32センチ)、3つ目は完全に腰を落としてしゃがむ和式スタイルです。
 すると、和式スタイルの排便時間が平均51秒で最短だったという結果が出ました。快便度も残り2つの方法に比べて高かったようです。
 洋式スタイルの場合は、低い便器で平均114秒、普通の高さの便器では平均130秒と最も時間がかかり、さらに残便感もいちばん悪いという結果になりました。
 その理由としては、座っているときや立っているときには腸は折り曲がっていて、便の出口は完全には開かない仕組みになっているからです。一方、しゃがむと腸の曲がりがまっすぐに近づき、排便がスムーズになります。つまり、しゃがむ和式スタイルが一番自然な排便方式と言えるのです。

◇ 洋式便器使用時と和式便器(SULUTTO装着便器)使用時の腸と肛門の違い
 しかし最近は日本でもほとんどの便器が洋式になってしまい、排便をしにくい状態にしてしまっています。生まれてから洋式でしか排便をしたことがない子供は、今後どんどん増えてくると思われます。実際に子供の便秘は非常に増えています。
 排便がスムーズでないと、強くいきまなければならなくなり、便秘だけでなく痔や憩室炎という病気を引き起こしてしまうことがあります。こういった病気は、便座に座って排便することを習慣にしている国で多く見られると言われています。
 慢性的な便秘は、医師の間でも“治すべき病気”という認識が低いことが多く、医療機関を受診してもきちんとした診断がなされなかったり、飲み続けると腸の動きが悪くなってしまう刺激性の下剤を処方するだけで、適切なアドバイスをしてくれない医師も少なくないようです。
 便秘は様々な病気につながるだけでなく、社会的な損失にもつながります。ぜひ正しい知識をもって便秘を改善するようにしてください。


 確かに子どもの便秘が多いことは日々実感しています。
 当院では便秘の治療をしている子どもが毎日何人も受診されます。
 でも、オムツが外れる前の乳幼児でも多いので、便器だけが原因ではなく、やはり食生活・運動量が関係しているのだと思います。

 患者説明用のプリントを作りがてら、HPにアップ(「子どもの便秘」)したら、そのアクセスの多さに驚いています。
 「こども」「便秘」でググッてみると、515000件中のトップヒット!
 それに目を付けたTV番組から取材の申し込みもありました(丁重にお断りしましたm(_ _)m)。
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第53回日本小児アレルギー学会(2016.10.8-9)へ参加してきました。

2016年10月10日 10時29分54秒 | 小児医療
 今年は群馬県前橋市(ベイシア文化ホール他)での開催です。
 地元ですが、土曜日は午前診療終了後に前橋に向かう予定も疲労でたどり着けず、10/9のみの参加となりました。

 最近、アレルギー関連学会に参加すると「食物アレルギー」と「アトピー性皮膚炎」のセクションばかり聴いてきたので、今回は違う分野の最新情報を仕入れて明日からの診療に役立てようと考えました。
 乳児喘息関連では、目新しい知見はありませんでしたが、知識の整理に役立ちました。
 PAE(小児アレルギーエデュケーター)企画では、自分の診療スタンスを反省し、より深く患者さんのサポートを心がけようと思いました。
 聴講したシンポジウム、講演などの印象をメモしておきます。

□ シンポジウム「プライマリーケアにおける乳児喘息治療を再考する」

1.「乳幼児の喘鳴と鼻副鼻腔炎」西村龍夫Dr.
 「子どもの風邪とは鼻副鼻腔炎である」と断言し、「かぜ薬は百害あって一利なし、咳止めはハチミツで十分」「抗菌薬も極力使わない」という、目立つ先生です。小児科系MLでネット上の議論はよく目にするのですが、実物の講演を聴くのは初めての経験でした。
 小児の鼻咽頭の解剖図を使い、成人との違いを巧みにわかりやすく説明し、中耳炎でも副鼻腔炎でも抗菌薬は必要なし、鼻を吸い取ってあげましょうという結論でした。

2.「プライマリー気餡立場から考える、乳幼児喘息の鑑別と吸入ステロイドの適正使用」重田誠Dr.
 重田Dr.は私が勝手に“師匠”と呼ばせてもらっている臨床のエキスパート。発表内容も開業医のレベルを遙かに凌駕していました。脱帽。
 乳児の喘鳴を聴取したとき、喘息疑いとして漫然と同じ薬物療法を続けるのではなく、それが喘息なのかどうか、常に自問自答しながら診療することの大切さを教えてもらいました。

3.「β2刺激剤の有用な使い方を考える」亀崎佐織Dr.
 お母さん達の間では“咳止めテープ”として有名なホクナリンテープ®は、喘息発作に対する気管支拡張剤であり、風邪の咳には効かない、「気道閉塞症状を伴う気管支炎」に適応が通っているため乱用されがち、と従来から言われていることを再確認。

4.「ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の適切な使い方」寺田明彦Dr.
 冗談を交えながらのテンポよいお話で、「あれこの先生、こんなキャラだっけ?」とイメージが変わりました(^^)。
 小児アレルギー性鼻炎に適応のあるLTRAはオノン®のみで、他のジェネリックはダメ、という事実を再確認。

□ 教育セミナー「小児にどう使う?プロトピック®軟膏の使い方と指導方法」
 お昼(横川の釜飯)を食べて睡魔が襲ってきて、内容をはっきり覚えていません・・・(^^;)。
1.馬場直子Dr.
 小児皮膚科として超有名な先生。基本的なことをわかりやすく解説。
2.川田康介Dr.
 プロトピック®の発がん性は心配しなくてよいというエビデンス情報が役に立ちそう。

□ エデュケーター企画「PAEだからこそできること!ケアの視点と技の実際」
 PAEの現状と、事例報告とその分析が中心。
 資格取得者が在籍する医療機関は、一般総合病院が4割弱、専門病院が3割、開業医が3割弱、そして意外だったのが5%しかいない大学病院。
 話の方向も、中心となる総合病院/専門病院のアレルギー専門外来レベルとなり、当院のような開業医とはちょっとズレを感じました。
 
 私が考えるPAEの役割とは・・・

 アレルギー疾患の治療は、喘息では吸入、アトピー性皮膚炎では軟膏塗布が中心となります。
 つまり内服薬を処方して「これを朝晩食後に飲んでください」ではすまないのです。
 吸入には正しいやり方があり、それから外れると効きません。
 軟膏塗布も、処方医がイメージする「たっぷり塗る」を実行してくれる患者さんは少ない。

 飲み薬を半分しか飲まなければ効きません。
 同様に吸入も軟膏も指示された方法・量を守らなければ効かないのです。

 しかし、診療時間が限られている医師がそれらを全て説明するのは現実的ではありません。
 そこを埋めるのがPAEの仕事。

 発表を聞いていると、皆さんその先を見ていることに気づきました。
 十分な指導をしているのによくならない、コントロール良好だったのに悪化した、という事例を取り上げ、「なぜそうなったのか?」「問題点はどこか?」とカウンセリングをして解決することに重点を置いている印象。
 それは疾病利得であったり、親に対する「こっち向いて行動」だったり。
 すばらしい!と感心する一方で、「開業医でそこまで掘り下げるのは無理かなあ」という印象も。
 冬のインフルエンザ流行期には100人を超える患者さんが来院します。
 混雑してフル回転状態の外来中に、一人の患者さんに30分も時間をかけて話を聞きカウンセリングを行うことは無理ですね。

 まあ、できる範囲で対応しようとは考えていますが・・・
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「バイバイ、おねしょ!」(冨部志保子著)

2016年07月21日 15時42分31秒 | 小児医療
バイバイ、おねしょ!」朝日新聞出版、2015年発行。

夜尿症関連本の紹介です。
著者はライターで、以下の夜尿症専門医を取材してまとめた内容です。
近年発行される夜尿症関連の本が少ない中、「夜尿症治療の今」を知るよい資料となっています。

・池田裕一先生(昭和大学藤が丘病院小児科准教授)
・榎本信哉先生(えのもとクリニック院長)
・大友義之先生(順天堂大学附属練馬病院小児科先任准教授)
・河内明宏先生(滋賀医科大学泌尿器科教授)
・田村節子先生(東京成徳大学心理学研究科教授)
・西美和先生(広島赤十字・原爆病院小児科)
・服部益冶先生(兵庫医科大学小児科教授)
・吉田茂先生(医療法人葵鐘会副理事長)

夜尿症ガイドライン2016を読んで」でも書きましたが、夜尿症治療でずっと気になっていたことがあります。
それは「デスモプレシン療法の適応」。
夜尿症専門医の講演を聴いていると、「第一選択はアラーム療法とデスモプレシン療法のどちらか」「アラーム療法とデスモプレシン療法の併用が治療成績がよい」と、対象を選ばずにデスモプレシン療法を行うような言い方が多いのです。

しかし、デスモプレシンは抗利尿ホルモンであるバゾプレシンの誘導体であり、その適応は添付文書によると「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」となっています。また「重要な基本的注意」の項目に「本剤による治療を 1 週間以上続ける場合には、血漿浸透圧及び血清ナトリウム値の検査を実施すること」「本剤使用前に観察期を設け、起床時尿を採取し、翌朝尿浸透圧の平均値が 800mOsm/L 以下あるいは 尿比重の平均値が 1.022 以下を目安とし、尿浸透圧あるいは尿比重が低下していることを確認すること」などと記されています。

つまり、純粋な膀胱型には適応にならないはずなんです。
なぜ、アバウトな表現でお茶を濁しているのだろう・・・?

しかし、この本を読んでその疑問が氷解しました。
日本では治療方針を決定する前に、まず病型分類(多尿型/膀胱型/混合型)ありき、ですが、欧米ではあまり気にせずに患者さんのモチベーションを考慮して決めてきた歴史があるようです。
だから、どちらの治療方針を選択するかは、病型よりも患者さんの希望が優先されそうな雰囲気があることが記されています。

な〜んだ。
でも、そんなんでいいの?

最も近年、日本の病型分類が欧米で評価されつつあるとの記載もありました。
う〜ん、いいのか悪いのか、ハッキリ書いてほしい!

と消化不良を起こすような内容です(^^;)。
今はアラーム療法が普及しつつある過度期なので、おそらく専門家の間でも混乱しているのでしょう。

それから、「抗利尿ホルモン製剤による治療で治癒までにかかる期間は、軽症なら3-6ヶ月、重症なら数年程度」と記載されていました。
私の外来に来る患者さんは、だいたい就学前後になっても毎晩夜尿がある重症例なので、正直言って薬物治療の手応えがありません。半年くらい通院して治らないのでドロップアウトし、それから1年位するとまた相談に見えて治療を再開し、やはり治らないのでドロップアウトし・・・これを繰り返しているうちにいつの間にか治る、というパターンが多い印象です。

つまり、重症例では治療介入した場合と自然経過とどれだけ違うんだろう、という素朴な疑問が、実は治療者側にもあるのです。
なので、私が期待するのはアラーム療法。
でも家族が不眠症に陥り疲弊して長続きしません(T_T)。

<参考>「おねしょ卒業!プロジェクト」(運営:フェリング・ファーマ株式会社)

<メモ> ・・・気になったところを抜粋

■ 睡眠中の尿量と膀胱容量は変わる(吉田茂Dr.)
・成長とともに昼は起きて夜は眠るというリズムができてくる3-4歳になると、抗利尿ホルモンの分泌は日中は少なく、夜眠っている間には多くなるという一定のサイクルが生まれる。
・眠っている間はリラックスしているため膀胱壁がゆるみ、オシッコをたくさんためられるようになる。たとえば4歳くらいになると昼間に比べて1.5-2倍ほど多くのオシッコをためることができるようになる。
・4歳では、昼間と比較して夜間睡眠中の尿量は50-60%へ減り、膀胱容量は1.5-2倍に増える。

■ 夜尿症の原因には3つの要素がある(西美和Dr.)
①夜間尿量(多尿)
②膀胱容量(少ない)
③覚醒障害(オシッコがあふれそうになっても目が覚めない)

・小学校低学年では、夜尿症は2:1の比率で男児に多い。
・両親のどちらかが夜尿症だった場合、40%の子どもに夜尿が、両親2人とも夜尿症だった場合は70%の子どもに夜尿症が発症したという報告がある。

■ 自然に治るのを待つ?(吉田茂Dr.)
・夜尿症の自然治癒率は年間10-15%
・小学校入学時に夜尿があれば、約1/2の確率で小学校高学年になっても夜尿が残る。
・治療を受けると治癒率が2-3倍高くなり、1年で50%、2年で70%、3年で80%以上と治癒率が向上する。

■ 他の病気が隠れているかも(大友義之Dr.、池田裕一Dr.)
・昼間にオシッコを漏らしてしまうときは泌尿器科の病気が疑われる。
・就学前後の子どもが日中ウンチを漏らすようだと消化器・脊椎系の病気を考える必要がある。
・睡眠時無呼吸症候群では夜間の尿量が増えるため夜尿の原因になることがある。
・脳血管障害、脳腫瘍、多発性硬化症などが原因になることがある。見分けるポイントは、日中にも頻尿や尿失禁、排尿困難感などの症状があるかどうか。

■ 備えあれば憂いなし(田村節子Dr.)
・学童期におねしょパンツ? ・・・これらを利用することで夜尿が長引くという報告はない。
・寝具の工夫:敷き布団の上に介護用の防水シーツをかぶせるのが一般的、しかし防水シーツは吸収性がないのでその上にバスタオルを敷いて、さらに通常のシーツで全体を包む。防水シーツだけでなく、敷き布団の上に敷く紙製の使い捨てパッドも様々なサイズのものが販売されている。
・ウエストからももの当たりまで防水加工を施した裏布が縫い付けられている防水パジャマズボンも市販されている。夜尿量の多い子どもは、紙パンツやおねしょパンツなどの吸収力のあるものを着けてから、防水パジャマズボンを着用するなど、重ね着で対処を。

■ お泊まり行事対策(榎本信哉Dr.)
・宿泊行事直前に受診しても夜尿症対策は無理、せめて半年前に来てほしい。
・担任の先生に協力を:事前に相談して、寝る前の排尿や薬の服用をサポートしてもらう。みんなが寝静まった後で別室に寝かせ、オムツに履き替えさせてもらい、もし夜尿をしていたら朝方に処理していただくようにお願いするのもあり。
・薬の管理と生活習慣:行事には薬を持って行く(日頃夜尿アラーム療法を行っている場合は、この時だけ薬に変えてもらう)、夕方以降は水分を控え、寝る前にはトイレに行く。
・パジャマ/寝具対策:パジャマのズボンはオシッコの跡がついても目立たないよう黒や紺色など濃い色に。パンツに尿失禁用パッドを着け、さらにもう一枚パンツを重ねるなど、夜尿をしても目立たない衣服を着せ、寝具がぐっしょり濡れないように配慮すべし。

■ おねしょ布団の管理方法(城山ふとん店:宮崎県延岡市)
①お湯をかける:お風呂場でおねしょの部分にだけ、40℃くらいのぬるま湯をゆっくりかけ、これを2-3回、においが消えるまで繰り返す。熱湯はNG。オシッコの成分であるタンパク質は70℃くらいで固まってしまうため、においを取るためにはぬるま湯を使って洗い流し、その後、タオルでたたくようにして水分を取っておく。
②重曹をかける:時間があまり経っていない場合は、重曹をおねしょ布団に振りかけ、尿を吸い取る。完全に吸い取ったら重曹を払い、ビネガースプレーを吹き付けながら乾いたタオルでたたくようにして水分を取る。
※ ビネガースプレー:ホワイトビネガー(食用酢)と水を1:4で混ぜる
③クエン酸を利用:スプレーボトルに入れたクエン酸水をおねしょで汚れた布団にスプレーし、オシッコのアルカリ性を中和させた後、乾いたタオルでたたくようにして水分を取る。
※ クエン酸水:クエン酸粉末小さじ2杯と水400mlをスプレーボトルの中で溶かす
④紙おむつを利用:市販のオムツをおねしょで汚れた布団に当て、その上で足踏みをする。
⑤天日干し&丸洗い

■ まずは生活改善(西美和Dr.)
・抗利尿ホルモンは夜11時くらいの深い睡眠中に出る。
・1日の水分の取り方:体に取り込んだ水分が膀胱に到達するまでには2-3時間かかるため、夕食から練るまでの3時間は水分を取らないようにする。朝起きてから昼食までの間にコップ2杯くらい水を飲み、給食のときも水分をたっぷり摂取し、その後は夕食に駆けて飲む量を控えめにして、夕食後には飲まない、というリズムを心がける。夜の水分制限だけは必須
・夜、どうしても飲みたいときは、コップ1杯程度に抑えるか、冷蔵庫の氷1-2個を口の中で溶かして喉を潤す。
・秋から冬に悪化するのは冷えが一因。冷えは腎臓でつくられる尿量を増すほか、膀胱の縮小(ふくらみにくくなる)にもつながる。対策として、寝る前にお風呂に入ってから出を暖める、布団をあらかじめ暖めておく、等。

■ 病型分類と治療法の関係(西美和Dr.)
・日本では従来、治療前に厳密に病型分類を行い、多尿型には抗利尿ホルモン薬、膀胱型には夜尿アラームか抗コリン薬で治療してきた。
・日本以外の世界各国では昔からこうした病型分類はせず、最初から抗利尿ホルモン薬価、夜尿アラームのどちらかを患者さんに選んでもらうという方法がとられてきた。
 そして、しばらく経って効果が十分でないようなら、今度は医師の判断で抗利尿ホルモン薬を飲んでいた患者さんは夜尿アラーム療法に、夜尿アラーム療法を行っていた患者さんは抗利尿ホルモン薬に切り替えて治療を続けてきた。
・こうした歴史を持つ欧米でも、最近は明らかに尿量が多い子どもには抗利尿ホルモン薬で治療を開始した方がよいという考えも出てきているので、日本の病型分類が見直される動きがある。

■ 治療方針の変化(服部益冶Dr.)
数年前までは、最初に家庭でのチェックや測定を基にしっかりと夜尿症の病型分類をして、膀胱容量が少ないタイプの子どもには非薬物療法、夜間尿量の多いタイプには薬物療法と、治療方法が決められていたが、最近ではどちらのタイプにどちらの治療を行っても治療成績は大きく変わらないことがわかってきた。そのため、今はかつてほど病型分類に時間を駆けることが少なくなっている

■ 抗利尿ホルモン製剤(経口)(大友義之Dr.)
・1ヶ月時点では半数以上の子どもに効果が見られなかったが、2ヶ月目には7割以上に効果が現れた。
・有効例では一気に薬をやめるのではなく、段階的に減量した後にやめることで中止後の再発リスクが低くなる。具体的には、服用して2-3ヶ月間夜尿がなくなったら、毎日の服用を2日に1回に減らし、それでさらに2ヶ月以上継続して夜尿がなければ晴れて卒業となる。
・2ヶ月目でも効果が乏しい場合には薬剤を増量し、それでも効果が不十分な場合は、ほかの薬剤もしくは夜尿アラーム療法と併用することになる。
抗利尿ホルモン製剤による治療で治癒までにかかる期間は、軽症なら3-6ヶ月、重症なら数年程度
・服用の仕方:舌の下に置くと、ふわっと溶けて口の粘膜からも吸収させるようになっているので、ゴクンと飲み込んでしまうと体内への吸収率が低下してしまう。夜、歯を磨いた後にこの薬を口に入れ、水を使わずに口の中で溶かすようにして飲むのがポイント。服用後はうがいも避けるべし。

■ 夜尿アラーム療法(河内明宏Dr.)
・夜尿アラームにより夜尿症が治っていくプロセス;
①アラームが鳴る→ (子どもが気づかない場合は声をかける)→
②中枢神経が「起きる」と「ガマンする」の2方向に働く→
③子どもは眠りが深いため、ガマンする方向が優位になる。
この①②③を繰り返すうちに、だんだん寝ていても朝まで膀胱にオシッコをためておけるようになる、というわけ。
・治療開始後、1-2ヶ月で膀胱容量は約1.5倍に増加する。治癒率は65-70%で、中止後の再発率は10-20%。
・治療対象は、昼間におもらし症状のない8歳以上の患者で、これを2-3ヶ月続けるうちに膀胱にためられる尿量が増え、夜尿が治る場合が少なくない。
・もともと日本では、睡眠を妨げるのは夜尿症の治療に逆効果という考えから、夜尿アラームはなかなか普及しなかったが、欧米では1960年代から使われてきたポピュラーな方法
・オシッコが出てアラームがそれを知らせても子どもが気づかない場合は、ご家族が声をかけてあげてください。一晩のうちに何度も夜尿をする場合、そのたびにご家族が起きるのは大変なので、1回だけアラームを使うのでかまいません。

■ 中高生の夜尿(池田Dr.)
・中学生の3-5%、高校生の1-3%に、月に数回以上夜尿がある。
・学童期の夜尿が男子に多いのに対して、青年期・成人期の夜尿症患者は女子にも多い。
・20歳を過ぎても夜尿が治りきらない場合を「成人型夜尿症」といい、100-200人に一人存在する。
・二次性夜尿は1割以下。
夜尿がクセのようになっている子どもにとっては、実は夜尿って気持ちのいいことでもある
・日常生活の注意点:尿意を感じたら必ずトイレへ行く、排尿後に気づいた場合はパンツやオムツを自分で取り替える、濡れてしまったパンツやシーツはなるべく自分で洗濯する。

■ 専門医の診療が必要な場合(榎本Dr.)
・昼間のおもらしや頻尿、尿意切迫感など「過活動性膀胱」症状がある場合→ 専門医のもとで抗コリン薬 ・・・副作用(便秘と残尿)が出ると夜尿を悪化させる一因になり得る。
・抗利尿ホルモン薬、夜尿アラーム、抗コリン薬で効果不十分例→ 専門医のもとで三環系抗うつ薬 ・・・心臓や肝臓への副作用が出やすい。

■ オシッコは汚くない?(池田Dr.)
・そもそも子どもにはウンチもオシッコも自分の体から出てくるものなので、キタナイものだという感覚がない。それをキタナイと思うのは社会的な価値観である。つまり、子どもは「夜尿は恥ずかしいことだよ」「トイレでしなきゃ馬鹿にされるよ」と周囲の大人たちからすり込まれて初めて、これは恥ずかしいことなんだという感覚になる。

■ 治療の5原則(服部益冶先生)
「怒らない」「起こさない」「焦らない」「ほめる」「比べない」
・夜尿症から卒業する子は、みんな治療に自主的に取り組む子。
・夜尿症の治療は3歩進んで2歩下がるの繰り返し。
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「夜尿症診療ガイドライン2016」を読んで

2016年07月12日 07時57分38秒 | 小児医療
夜尿症診療ガイドライン2016
編集:日本夜尿症学会
発行:診断と治療社、2016年

夜尿症は小児医療の中で管理が難しい疾患の一つです。
従来の教科書通りの治療を行っても、なかなか手応えがありません。
「治療抵抗例は専門医に紹介」と書いてありますが、群馬県に小児夜尿症専門医は存在しません。

夜尿症は3つの型に分類されてきました。
1.多尿型:尿が多いため朝まで持たずに膀胱から溢れてしまう
2.膀胱型:膀胱が少ししか尿を溜められないため溢れてしまう
3.混合型:多尿型/膀胱型の両方の特徴を満たす

多尿型には抗利尿ホルモン製剤であるデスモプレシン(ミニリンメルト®)が有効ですが、膀胱型は難治です。
膀胱容量を急に大きくするのは無理ですから。

そこで登場したのが「アラーム療法」。
パンツにセンサーをつけ、尿で濡れるとアラームが鳴り(振動が発生する機械もあります)、本人が目覚めるというモノ。これを繰り返すと膀胱に溜められる量が多くなり夜尿症が消えるというのです。

しかし日本で指導されてきた「夜起こさない」方針とは真逆の治療であり、欧米では主流になっているのに関わらず日本への導入は遅れました。
ようやく近年、夜尿症の講演会で「アラーム療法が第一選択」と言われるようになりました。
下記HPは数年前に私なりに整理すべくまとめたものです:

夜尿症

アラーム療法は、器械を患者さんが個人で購入して行うことになります。
ですので、そのノウハウの蓄積が今ひとつ見えてきません。
私も患者さんに勧めて数名トライしていただきましたが、うまく行かずドロップアウト。
本人が起きないので他の家族が目覚めてしまい、みんな寝不足で家庭崩壊しそうになった、とか。

噂では医療機関に行かずにアラーム療法を行い、個人の努力で夜尿症を克服している人も少なからずいるらしい。

そんな折に発表されたガイドライン。
日本夜尿症学会は2004年に診療ガイドラインを作成しており、それを改訂する形で発行された最新情報です。
早速購入して読んでみました。

う〜ん、目から鱗が落ちるという記載は見当たりません。
現在の治療方針をまとめてエビデンスの評価を加えた印象。
私の知りたかった「アラーム療法の具体的なノウハウ」も不十分かなあ・・・残念。

もう一つ、以前から気になっていた事があります。
それは「膀胱型に対するデスモプレシン療法の可否」。
デスモプレシン(ミニリンメルト®)の適応は添付文書によると「尿浸透圧あるいは尿比重の低下に伴う夜尿症」となっています。
ですから、尿浸透圧/尿比重が正常の患者さんには適応にならず、使用してはいけないはず。
しかし、本ガイドラインにはその辺がハッキリ書かれておらず「夜間多尿型に有効」くらいの表現にとどまっています。治療アルゴリズムによるとアラーム療法抵抗例には「併用」とあっけなく書かれています。
これでいいのかなあ?

<メモ> ・・・目についた箇所を抜粋

■ 年齢と夜尿症
・5歳時に約20%
・5-6歳で約20%
・小学校入学時に10%超
・7歳時に約10%
・小学校低学年で約10%台
・10歳を超えた時点で約5%
・小中学生で約6.4%
・中学校時代には1-3%
・高校入学の段階で約3%

■ 自然治癒
・経年齢的な自然治癒率は毎年約15-17%
・5歳以降、年間10〜15%が自然軽快していく
・治癒のピークは、女性が10-11歳、男性は12-14歳
・毎晩夜尿がある小児では成人まで移行するリスクが高い

■ 治療介入による効果
・治療介入により、自然経過に比べて治癒率を2-3倍高めることができ、治癒までの期間も短縮する。
1年後の治癒率は未介入の場合が10-15%に対し、治療介入例は約50%が治癒する。
治療によりNEからの解放が2年以上短縮できる。

■ 一次性と二次性夜尿症
・一次性:75-90%
・二次性:10-25% ・・・生活上のストレス、精神疾患の併存率が高い。その他、下部尿路感染症、外傷・脂肪腫・脊髄係留症候群などによる神経因性膀胱、糖尿病、尿崩症、尿道狭窄、甲上腺機能亢進症などを考慮する

■ 尿比重
・早朝尿の比重は1.010以下は異常

■ 超音波検査
・夜尿症患者に解剖学的尿路異常を認める割合は1.1-14.5%
・ルーチンのUSは必要ない。治療抵抗性の時のみ行うべきである。

■ 行動療法〜水分摂取制限
・1日水分摂取量の40%を午前中、40%を午後、20%を夜に分配する。

■ 膀胱訓練
・できるだけ排尿を我慢し、徐々に排尿までの間隔を延長する方法
・膀胱訓練は膀胱容量を増大させるが、夜尿症に対する治療効果についての臨床的意義は確立していないが、否定されるものでもない。

■ 積極治療
①アラーム療法
②デスモプレシン治療
が第一選択である。アラーム療法は治療に積極的な家族で治療内容を理解した家族に適しており、デスモプレシン治療はアラーム療法に消極的な家族、最近アラーム療法を適切に行ったにもかかわらず効果が得られなかった家族で選択する。
 ICCS(国際小児尿禁制学会)では、MNE(単一症候性夜尿症)に対して、膀胱容量が正常でかつ夜間多尿の症例ではデスモプレシン療法を推奨し、それ以外の症例ではアラーム療法を推奨している。

■ アラーム療法
・就眠中の排尿を気づかせ、覚醒してトイレに行くか、我慢できるようにすることで、夜尿をしないようにする治療する方法。
・作用機序については不明な点が残されており、なぜ夜尿が治るのか未だ完全には解明されていないが、覚醒反応を促すこと、睡眠中の蓄尿量が増大して治ることが報告されている。
・保険診療として認められておらず、アラームは患者家族が実費で購入することになる。医療側も管理指導料などの診療報酬は認められていない。
・有効率:約2/3
・治癒率:62-78%、中止後の再発率は15%であり、他の治療と比較して治癒率が高い(2009年のコクランレビュー)
・日本の報告では、有効率:40-87%、再発率:0-11%
・夜間多尿の患者より、覚醒困難の患者の方がより有効
・治療により夜間の膀胱の蓄尿量が増える
・有効症例においては、睡眠中の膀胱容量が1-2ヶ月で約1.5倍と急速に増加するため、多くの場合、尿意覚醒をせずに朝までもつようになり夜尿が消失する。一方で反応に時間がかかる例もある。
・夜尿するたびにアラームをリセットすることを推奨しているが、一晩に複数回夜尿がある重症例では、最初の1回のみアラームを使用するようにして、まず一晩に1回の夜尿回数になることを目標にすることが望ましい。
・アラームや家人の呼びかけに全く覚醒しない場合もあるが、完全に目覚めさせることが成功率を上げるというエビデンスはないため、起こすときに完全に目を覚まさせることが不可能なら必ずしもしなくてもよい。
・最低14日間連続で夜尿が消失するまでアラーム療法は続ける。これには5-24(おおむね12-16週間)要する。
・アラーム療法を3ヶ月行い、全く効果が見られないならば別の治療を考慮する。
・7-12ヶ月と長期に使用した結果、1年以内に87%が治癒したという報告がある。
・再発のリスクを減らすためにはオーバーラーニングがよいとされている。これは夜尿が消失した時点で、睡眠1時間前に飲水量を増やしてアラーム療法を続行するというもので、これを1ヶ月行って再発芽ないことを確認してアラーム療法を終了する。
・アラームが鳴ったら患者を起こす作業には家族の協力が必須であるので、十分な治療意欲のある患者とその家族に勧めることが望ましい。
・約30%の患者がドロップアウトする。理由は、装着の違和感、他の家族の反対、覚醒できない等。
・治療脱落防止には開始後2-3週目の電話確認が効果的である。
・アラーム療法に用いる機器の種別によって効果に差異があると結論づける十分な証拠はない。
・有害事象:アラームの作動不良、誤作動、音に怖がる、他の家族を起こしてしまう等。
・再発はデスモプレシン治療に比べると1/10と少ないが、再発時には早めにアラーム療法を再開すべきであるという報告がある。

■ デスモプレシン治療
・デスモプレシン酢酸塩は抗利尿ホルモンであるバゾプレシンの誘導体で、中枢性尿崩症の治療薬とした開発され、1978年に夜尿症に対して効果があることが報告された。
・日本では2003年に点鼻薬が、2012年に経口薬が保険適用となった。
・適応は6歳以上
・口腔内崩壊錠は就寝前30〜60分に服用する。初期量は120μgで開始し、10-14日後に必要であれば最大量である240μgに増量する。
・患者が宿泊行事でデスモプレシンの使用を予定している場合は「事前の試用」が推奨される。すなわち用量調節と、薬が有効だという確証を得るために、行事の少なくとも6週間前からの試用が推奨される。
・効果が不十分の時は、以下のことを再確認する
「正しく服薬遵守ができているか」
「寝る前に排尿をしているか」
「内服後に過剰な飲水をしていないか」
「尿崩症の可能性はないか」
・副作用の水中毒(希釈性低ナトリウム血症)予防のために、服用1時間前から8時間後までの飲水量を240mL以内に制限する。水分を多量に摂取したときはデスモプレシンを使用しないよう説明しておく。
・NEに対してデスモプレシンを使用する場合には、体重、血清電解質、血圧、尿浸透圧をルーチンに測定する必要はない。
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イギリス 清涼飲料水に「砂糖税」

2016年03月21日 08時31分06秒 | 小児医療
 糖質/炭水化物制限の続きです。
 世界各国で、糖分を多く含む食品に課税をして消費量を抑え、肥満/糖尿病を予防する試みが始まっています。
 確か最初はメキシコだったと記憶しています。
 日本も右へ習えで真似するのかな?

 でも糖質/炭水化物制限の視点から見ると、血糖の元になるのは砂糖だけではなくすべての炭水化物ですから、この措置は氷山の一角しかカバーしないことになりますね。
 子どもが太るのは、甘いお菓子やジュースだけが原因でなく、ご飯/パンの食べ過ぎが原因なんです!
 それに気づくのはいつだろう・・・(^^;)。
 
■ イギリス 清涼飲料水に「砂糖税」…食習慣改善を 業界は反発
毎日新聞2016年3月18日
 英国政府は、清涼飲料水に含まれる砂糖の量に応じて課税する「砂糖税」を2018年4月から導入する。糖分の取り過ぎによる肥満や糖尿病が問題になっていることから、課税によって食習慣の改善を促すのが狙い。飲料メーカーからは反発の声も出ている。
 糖分が100ミリリットルあたり5グラム以上含まれている飲み物が対象で、8グラム以上だとさらに税率が上がる。税率は未公表だが、財務省は18年度の税収を5億2000万ポンド(約860億円)と見込んでおり、英メディアは「一般的な330ミリリットル缶で6~8ペンス(10~13円)程度」と予測している。税収は、小学校でのスポーツ教育の拡充などに充てるという。
 課税の発表を受け、英国内の飲料メーカーの株に売り注文が集中し、株価は一時、大幅に下落した。業界からは「他に砂糖を含む食品があるのに清涼飲料を狙い撃ちするのは不条理だ」(英ソフトドリンク協会)と強い反発も出ている。
 砂糖入り清涼飲料水への課税を巡っては、世界保健機関(WHO)が今年1月に課税を推奨する報告書を発表。米国の一部の州やフランス、メキシコなどが既に導入している。英メディアによると、14年に10%の税率を課したメキシコでは砂糖入り飲料の売り上げが12%減少したという。

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新設される「小児かかりつけ診察料」について

2016年02月21日 06時48分47秒 | 小児医療
 2016年春の診療報酬改定(提供される医療の値段を決める会議)で「小児かかりつけ診察料」という項目が新たに設定されたそうです。
 記事(2016/2/16:日経メディカル

 気になるのは「患者からの電話などによる問い合わせに原則常時対応する」という箇所。
 これは24時間対応するという意味ですから、医師は夜中でも起こされて対応を迫られることになります。
 「時間外対応加算1または2」の内容は以下の通り;


・時間外対応加算1:標榜時間外において常時、患者からの電話等による問い合わせに応じる。
・時間外対応加算2:標榜時間外の準夜帯において、患者からの電話等による問い合わせに応じる。休日、深夜又は早朝は留守番電話等で対応しても差し支えない。


 昨今、救急医療を担当する医師たちが疲弊するというニュースが多くなりました。
 そのような当直明けの連続勤務が常態化した過酷な勤務医生活に別れを告げて(あるいは体を壊して)開業するのは40歳前後。
 私もその一人ですが、齢40を迎えた体には、当直明けの連続勤務がきつい。いや、頭がボーッとして使い物にならず、患者さんに迷惑をかけるリスクもあります。
 飛行機のパイロットにこのような勤務体制を強いたらどうなるか・・・お分かりですね。

 そして現在の開業医の平均年齢は60歳くらいといわれています。
 24時間労働を迫るこの指示は、労働基準法に違反していないのでしょうか?

 先日、国会議員が育休を取る取らないで話題になりました。
 私の印象は「恵まれた環境だなあ~」というもの。
 だって、開業医の私が育休を取ると、医院の収入はゼロになり、生活できなくなります。
 その間の職員給与を保障したり、私の代わりに誰か派遣してくれる制度はありません。
 従業員側は産休・育休と権利を主張しますが、雇用者側にはその権利が事実上存在しないのです。
 両方の立場を経験した私としては、不公平さを感じざるを得ません。
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「君が僕の息子について教えてくれたこと」by NHK

2016年01月16日 07時29分34秒 | 小児医療
 2014年8月、NHKで放送したドキュメンタリーです。
 言葉を話すことができない自閉症者の東田直樹君が、キーボードという道具を使うことで表現するスキルを得た物語。
 現代科学技術がブラックボックスを開けてくれたのです。

■ 君が僕の息子について教えてくれたこと
 いま、日本の無名の若者が書いた1冊の本が、世界20カ国以上で翻訳され、ベストセラーになっています。タイトルは「The Reason I Jump」(日本題:「自閉症の僕が跳びはねる理由」)。著者は、執筆当時13歳だった東田直樹さん。この本は、自閉症である東田さんが、自分の心の内をつづったエッセイです。
 自閉症者自らが語る画期的な本ですが、日本で7年前に出版された時はほとんど話題になりませんでした。それがなぜいまになって、イギリスやアメリカでベストセラーとなったのでしょうか?
 それには、アイルランド在住の作家デイヴィッド・ミッチェル氏による英訳が大きな働きをしています。
 自身も自閉症の息子がいるミッチェル氏は、東田さんの本を読んだ時、息子が自分に語りかけているように感じたといいます。なぜ床に頭を打ちつけるのか、なぜ奇声を発するのか・・・。息子の気持ちがわからず、コミュニケーションをあきらめていたミッチェル氏は、この本を読んで希望の灯を感じることができました。そしてミッチェル氏の訳により、この本は、同じように自閉症の子どもを持つ、世界中の多くの家族を救っているのです。
 この春、ミッチェル氏は来日し、東田さんと感動の対面をはたしました。
 日本の若者と外国人作家の出会いから生まれた、希望の物語をお届けします。


 言葉を発することができない彼がキーボードで文章を入力している姿を見て「奇跡だ!」と思いました。

 彼は自閉症者にも健常人と同じ豊かな感性が存在していることを証明してくれました。
 そして、自閉症者がどんなことで困っているのか、周囲の人にどんな風にして欲しいのか、今まで知りたくても分からなかった謎も氷解しました。
 自閉症者を抱え、悩める日々を送る家族に道しるべを与えてくれたのです。
 すべての自閉症者に共通するのかどうか分かりませんが、貴重な、そして素晴らしい記録だと思いました。
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