投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2016年 2月19日(金)08時06分1秒
浄土真宗とかをやっているとどうしても田舎くさい感じになるので、バランスを取るためにエマニュエル・トッドも並行して読んでいるのですが、数字好きの自分の体質にも合って、実に良いですね。
『帝国以後─アメリカ・システムの崩壊』(藤原書店、2003)は読み終えたので、トッドの基本的発想を改めて精確に学ぶため、今日から『新ヨーロッパ大全 Ⅰ・Ⅱ』(藤原書店、1992・1993)を読むつもりです。
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=912
Ⅱの巻末に訳者・石崎晴己氏(青山学院大学教授、当時)の「解説」が載っていますが、トッドの祖父、ポール・ニザンへの追慕は1940年生まれという石崎氏の世代を感じさせるものですね。
冒頭を少し引用すると、
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本書は Emmanuel TODD, L'Invention de l'Europe, Editions du Seuil, 1990 の全訳である。
著者のエマニュエル・トッドは、一九五一年生まれの若い気鋭の学者であり、ケンブリッジ大学で歴史学の博士号を取得、現在、国立人口動態研究学院資料局長を務める傍ら、すでに若干二五歳で『最後の転落』という衝撃的なソ連研究の書を上梓して以来、旺盛な執筆活動を続けている。本書は、彼の著書の日本における最初の翻訳出版である。
サルトルのリセ時代からの親友で、「僕は二十歳だった。それがひとの一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」という書出しで知られる『アデン・アラビア』でデビューしたポール・ニザンは、共産党系の新進作家として、一九三〇年代に旺盛で多産な文筆活動を展開したのち、独ソ不可侵条約の締結を批判して離党し、やがて大戦勃発により動員され、軍隊生活の中で死ぬという、悲劇的生涯を送ったが、エマニュエル・トッドは、このポール・ニザンの孫にあたる。訳者はサルトルの研究者を自称する者であり、もちろんポール・ニザンも愛読したものだが、その孫の著作を翻訳することになろうとは思いもよらなかった。「因縁」などという言葉はおこがましいが、その事実を知り、昨秋、当人にお会いした時の感動は、まさに曰く言いがたいものがあった。
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といった具合です。(p435)
ま、私はサルトルもポール・ニザンも「愛読」したことはないので、ふーん、と思っただけですが。
ポール・ニザンは1905年生まれ、1940年没なので、石崎晴己氏はポール・ニザンが死んだその年に生まれているんですね。
Paul Nizan
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8B%E3%82%B6%E3%83%B3