学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

「おかげで債務史という研究分野が産声をあげることができた」(by 井原今朝男氏)

2017-01-07 | 井原今朝男「中世善光寺平の災害と開発」
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2017年 1月 7日(土)11時52分12秒

ある程度法律の素養がある人が『日本中世債務史の研究』の「序章 日本中世債務史の研究の提起」を読んだときに生ずるであろう数十・数百の疑問のひとつに、何故このレベルの書物が東京大学出版会から出たのか、という謎がありそうですが、その事情は「あとがき」の末尾に書いてありますね。

------
 本書の刊行をすすめてくれたのは、東京大学出版会の高木宏氏であった。二〇〇二年秋、早島大祐氏の日本史研究会大会報告に際して桜井氏と私がコメントをしたときであった。ありがたいお話であったが、刊行するなら債務史のテーマでお願いしたいと返事をしたように記憶している。それから長い時間がかかった。専門書の出版事情も大きく変化し、困難を増しているという。今回も出版助成から製本にいたるまで尽力された高木氏と、失策の多い私をバックアップして校正・索引づくりから出版を実現してくれた山本徹氏に厚くお礼を申し上げたい。おかげで債務史という研究分野が産声をあげることができた。
 今は亡き多くの先学の方々の学恩に対する感謝を最後に。
   二〇一一年七月
------

「桜井氏」とは、もちろん桜井英治氏のことです。
また、高木宏氏は東大出版会の出版部長だそうですね。


ただ、リンク先の高木氏執筆の記事を読むと、主として歴史学関係の書籍を担当されてきたようで、法律のことは分からない人なのでしょうね。

「歴史学への手ががりをつかむ」
「歴史と向き合うこと」

>キラーカーンさん
>>古代オリンピックを復活

私は日本の長期にわたる「宗教的空白」、森鴎外が憂鬱な筆致で描いた「かのやうに」的宗教観が積極的な意義を持つと考えていて、いろいろ理屈を並べる予定なのですが、ただ、あまり難しいことを考えなくても、古代オリンピックは非常に面白いものですね。
最初は、いわば興行師的観点から見た古代オリンピックの魅力などを紹介しつつ、徐々に議論を進めたいと思っています。

※キラーカーンさんの下記投稿へのレスです。

学際的研究等々 2017/01/07(土) 00:31:10
>>即ち大局的に駄目なので

歴史学以外の学問分野に跨るものであれば、それに関連した分野の学者連からなる「混成チーム」とすべきでしょう
法制史など「○○史」であれば、当然「○○」と「歴史学」との学際的分野にもなりますので、
自身がその分野を一から勉強するか、率直に他分野の専門家の助力を受けるべきだったのでしょう。
(小室直樹は、自身が他分野の学問を一から学んだという話を何処かで目にしたことがあります))

憲法学でも『「憲法改正」の比較政治学』や『憲法学のゆくえ 諸法との対話で切り拓く新たな地平 』
のように、他分野との関わりで憲法学を捉えなおすような動きも見受けられます。

「譲位」問題にしても、憲法学、歴史学、政治学といった学際的領域ですし、「元老」も又然りでしょう

>>「御恩」として全国各地の荘園の地頭職を配分できた歴研幕府も
医学部でも医局体制が崩壊したことからみても、そういう形での人的資源の「最適配置」は流行らないのでしょう。
いわゆる「植民地」の問題は残っているのでしょうが。
(先の投稿でも出てきた御厨貴氏も首都大学(旧都立大)から東大に「戻って」います)

>>古代オリンピックを復活
宗教に関しては、多少思うところもありますので、興が乗れば、小太郎さんの投稿に合わせてレスします。

>>有難き哉、ヤマダ電機
家電量販店としてのヤマダ電機には良いイメージはありませんが、この件については、良い措置だと思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「歴研貴族」の落日 | トップ | 「ヴローデル」な人 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

井原今朝男「中世善光寺平の災害と開発」」カテゴリの最新記事