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マルクス主義の台頭・河上肇

2018-04-30 | Weblog

1916(大正5)年9月 京都大学教授河上肇、『貧乏物語』

退く色肇 貧乏も。

1916年 河上肇 『貧乏物語』


[point]

1.河上肇は、『大阪朝日新聞』に『貧乏物語』を連載した。

[解説]

1.河上肇(1879~1946)は、山口県旧岩国藩士の家に生まれる。日本を代表するマルクス経済学者。東京帝国大学法科に進み、キリスト教の内村鑑三に影響を受け、また足尾鉱毒事件に衝撃を受ける。卒業後、新聞社記者、京都帝大講師、2年のヨーロッパ留学をへて、帰国後京都帝大教授。1916年(大正5年)から大阪朝日新聞に『貧乏物語』を連載し、翌1917年に出版され、ベストセラーとなった。結論は、貧乏をなくすには金持ちが贅沢をやめること、貧富の格差をなくすことだった。大正デモクラシーの中、貧困問題に正面から取り組んだ同書は、青年層に多大な影響を与えた。米騒動(1918年)以降、マルクス主義経済学の研究に傾斜し、やがて大学を辞し、実践活動に入る。ついに日本共産党に入党し、非合法の「地下活動」に入る。しかし検挙され、1933年から37年にかけて獄中生活を送る。収監中に転向声明を出す。出獄後は自叙伝などの執筆活動に入り、戦後世界での再活躍が期待されたが、敗戦後間もなく栄養失調などで死去したのが惜しまれる。

2.なお同名に国際問題評論家・河上清(1873~1949)がいる。山形県出身「万朝報」記者。のち渡米し、「時事新報」「毎日新聞」特派員・国際問題評論家として活躍。経済学者河上肇との混同に注意。
 
2017津田塾大(学芸(英文))

大正から昭和の初期にかけて、(中略)学術研究では、大正デモクラシーの風潮のもと、社会のありかたを問うさまぎまな主張が提出された。『東洋経済新報』の記者で、戦後に首相となる[ 7 ]は、自由主義にもとづいて、植民地の放棄や平和的な経済発展をふくむ小日本主義を唱えた。新聞に連載した『[ 8 ]』が反響をよんだ河上肇は、経済学者の福田徳三との論争をつうじて[ 9 ]主義経済学へと進んだ。[ 9 ]主義は、歴史学や文学などの学問をはじめ知的世界全般に影響をあたえた。哲学では、『善の研究』で知られる[ 10 ]が東洋と西洋の思想的統一を探究し、和辻哲郎は『風土』などで独自の倫理学を展開した。[ 11 ]は『古事記』や『日本書紀』の文献学的批判をつうじて古代史に新境地を開き、農商務省の官僚だった柳田国男は、民間伝承や風習を研究する[ 12 ]学の確立に貢献した。」

(答:7石橋湛山、8貧乏物語、9マルクス、10西田幾多郎

1911年1月 西田幾多郎『禅の研究』

行くいい禅の 西田来た。

1911年 『禅の研究』 西田幾多郎 京都大学

、11津田左右吉、12民俗)〉

2017大学入試センター・日本史A

問1 下線部a経済・社会の仕組みに対する人々の関心が高まるに関して述べた文として正しいものを、次の①~④のうちから一つ選べ。

 ① 雑誌『戦旗』には、プロレタリア文学の作品が発表された。

 ② 河上肇は、著書『太陽のない街』で貧困問題を取り上げた。
 ③ 経済学者大内兵衛は、戦争遂行に協力するため人民戦線を結成した。
 ④ 戦時中弾圧されたマルクス主義にもとづく研究は、戦後復活しなかった。」

(答:①、※②×河上肇→徳永直

1929(昭和4)年6月 徳永直『太陽のない街(共同印刷争議を素材として書いた作品)』

特に苦しい タイの街。

1929年 徳永直 『太陽のない街』

、③×協力→抵抗、④復活しなかった→復活した)〉

2017関西学院大・全学部

問10.下線部n津田左右吉に関して、正しいものを下記より選びなさい。

 ア.津田左右吉は、代表的著作『郷土研究』において、日本の農村史を描いた。

 イ.津田左右吉は.『古事記』や『日本書紀」の実証的・科学的分析を行なった。
 ウ.津田左右吉は、庶民の歴史を重視した『貧乏物語』を書いた。
 エ.津田左右吉は、儒教や仏教を外来思想として排除すべきとする『国意考』を著した。」

(答:イ〇、※ア×『郷土研究』は柳田国男、ウ×『貧乏物語』は河上肇、エ×『国意考』は賀茂真淵)〉


2017早大・教育

 その後、出版条例は出版法に、新聞紙条例は新聞紙法に、それぞれ代わり、両法は第二次世界大戦後の初期まで存続した。dその間、出版法および新聞紙法にもとづいて、「安寧秩序」を乱し、「風俗」を害すると認定される文章が掲載された出版物は、発禁(発売頒布禁止)や削除などの処分に付されたのである。
問3 下線部dの出版法または新聞紙法によって、1930年代に発禁にされたものを2つ選べ。

 ア 滝川幸辰『刑法読本』

 イ 火野葦平『麦と兵隊』
 ウ 和辻哲郎『風土』
 エ 河上肇『貧乏物語』
 オ 河合栄治郎『ファシズム批判』
 カ 戸坂潤『日本イデオロギー論』」

(答:問3ア・オ)〉


2016立教大・現心コミュ福観光営

5.第二次世界大戦が終わると、米ソ両大国を軸とする2つの陣営の対立が朝鮮半島にも波及した。1948年にソ連の占領地域に朝鮮民主主義人民共和国が、アメリカの占領地城に大韓民国が建国され、朝鮮半島の南北の分断状況がこれ以降つくられた。1950年には武力による南北統一を目指した北朝鮮軍が韓国に侵攻し、朝鮮戦争が開始された。アメリカは日本の戦略的重要性を再認識し、日本を西側陣営に組み入れるために、講和条約の締結を急いだ。その結果、吉田茂内閣のもとで1951年9月にサンフランシスコ平和条約が調印され、1952年4月に発効した。講和条約調印をめぐっては、単独講和か、12全面講和かをめぐって国内世論は激しく対立した。

問12.この論陣を張った学者・知識人でないのは誰か。次のa~dから1つ選べ。

 a.安倍能成 b.大内兵衛
 c.河上肇  d.南原繁」

(答:c× ※生きていれば全面講和を唱えたであろうが、敗戦間もなく死去)〉

2016関西学院大・全学部

 日露戦争以降、新聞・雑誌などが発達し、一般勤労者を基盤とする大衆文化が誕生した。そして、大正デモクラシーのもとではh多様な学問が花開いた。

問7.下線部h多様な学問に関連する説明として、正しいものを下記より選びなさい、


 ア.河上肇の『貧乏物語』が広く読まれるなど、マルクス主義の影響が強まった。

 イ.和辻哲郎は『善の研究』を著し。独自の哲学体系を打ち立てた。
 ウ.柳田国男は民俗学を確立し『風土』を著した。
 エ.長岡半太郎は強力な磁石鋼である、KS磁石鋼を発明した。」

(答:ア〇、※イ×『善の研究』は西田幾太郎、ウ×『風土』は和辻哲郎、エ×KS磁石鋼は本多光太郎)

1917年 本多光太郎KS磁石鋼を発明。

得意な本多 光太郎。

1917年 本多光太郎 KS磁石鋼



2014立教大・現代心理(映像)・社会・コミュ福祉(福祉)

問6.これに関連して、勤勉に働く労働者の賃金がなぜ上がらないのかを説き、『大阪朝日新聞』に『貧乏物語』を連載したのは誰か。その名をしるせ。」

(答:河上肇)〉

2013早大・政経

【史料】(1)「朝鮮の友に贈る書」
 この世にはどれだけ多く、許し得ない矛盾が矛盾のままに行われているであろう。私は仮りに日本人が朝鮮人の位置に立ったならばといつも想う。愛国の念を標榜し、忠臣を以て任じるこの国民は、貴方がたよりも、もっと高く反逆の旗を翻すにちがいない。われわれの道徳はかねがね、かかる行為を称揚すべき立場にいる。われわれは貴方がたが自国を想う義憤の行いを咎める事に、矛盾を覚えないわけにはゆかぬ。

問1.【史料】(1)の著者の説明として正しいのはどれか。


 イ『白樺』に参加し、また生活のためにつくられた工芸品の美を評価し、日本民芸館を創設した。

 ロ 『遠野物語』ほかの作品を著し、日本民俗学の創始者として知られた。
 ハ 京都大学教授として、『貧乏物語』などを刊行したが、のちに共産党員として逮捕された。
 ニ 東京美術学校や日本美術院の創設にかかわり、『東洋の理想』ほかの著作でも知られた。
 ホ 『友情』などの著者として知られ、また「新しき村」を建設するなど人道主義者として知られた。

(答:イ〇(1)の著者とは柳宗悦 ※ロ×柳田国男、ハ×河上肇、ニ×岡倉天心、ホ×武者小路実篤)〉


2013関西学院大学・済総合国際

 大正期から昭和初期にかけては、(中略)学問においても、cさまざまな分野で優れた学者が活躍し、日本独自の業績があらわれるようになった。

問3.下線部cに関して、それぞれの学者の名前と分野の組み合わせとして、誤っているものを下記より選びなさい.


 ア.野口英世一医学

 イ.河上肇一経済学
 ウ.津田左右吉一歴史学
 エ.本多光太郎一数学」

(答:エ×物理学。強力磁石鋼としてのKS鋼および新KS鋼の発明者)〉

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ハンザ同盟

2018-04-30 | 世界史地図
商業の発展
■ポイント 11~12世紀に商業が復活した理由、商業圏の地域的違いを理解し主要都市の位置を確認する。
商業の復活  背景 11~12世紀 封建社会の安定・農業技術の進歩により農業生産力の増大。
  • 余剰生産物の交換が盛んになる。ローマ時代の地中海域でのa 都市と商業  が復活。
  • ムスリム商人・ノルマン人(ヴァイキング)の商業活動 → b 貨幣経済  の広がりをもたらす。
  • 十字軍の影響による交通の発達 → c 遠隔地貿易  の発達。
    → これらの商業の復活の動きをd 商業ルネサンス  ともいう。
地中海商業圏  十字軍輸送を契機として、a 北イタリア  の港市が繁栄した。

Text p.140

    •  ヴェネツィア  ・c ジェノヴァ  ・d ピサ  など。
    •  東方貿易(レヴァント貿易) によりf 香辛料 ・ 絹織物   など奢侈品が輸入される。
    •  次いで内陸のg
 ミラノ  
      ・h
 フィレンツェ 
      などがi
 毛織物業 ・ 金融業 
    で栄える。
北ヨーロッパ商業圏  北海・バルト海沿岸のa 北ドイツ  の諸都市が新たに繁栄。
  •  ハンブルク  ・c リューベック  ・d ブレーメン  など。
  •  海産物 ・ 木材 ・ 穀物   などの生活必需品を取引。
  •  フランドル地方  :g ガン(ヘント)  ・h ブリュージュ  などi 毛織物産業  で繁栄。
  • イギリスのj ロンドン  :北海貿易の中心地。フランドルにk 羊毛  を輸出。
D 内陸通商路上の都市の発達
  • フランスのa シャンパーニュ  地方:地中海と北ヨーロッパをむすぶルートにb 定期市  が発達。
  • ドイツ内陸の商業都市:c ニュルンベルク  、d アウクスブルク  などが発展。
  • そのほか、バルト海沿岸と黒海方面を結ぶルートで、e ノヴゴロド  やf キエフ  が繁栄した。

 

ウ.中世都市の成立
■ポイント 中世の自治都市はどのように成立し、なぜ都市同盟を結成したかについて理解する。
中世都市  の発展。
  • ローマ帝国末期からヨーロッパの都市はa 司教座都市  として成立。
    = ローマ=カトリック教会の高位聖職者である司教の管轄する教会が置かれた都市。
  • その他の都市も封建領主の支配受けていたが、b 商工業の発達に伴い、都市の自治を要求し始めた。  
    背景:貨幣経済の進展に対応するため都市への課税を強化した封建領主に対して都市の抵抗が強まった。
自治都市  11~12世紀 ヨーロッパ各地の都市がコミューン運動(自治権の獲得運動)を展開する。
    • 自治の内容 a 市民が独自の政府、法律、裁判所を持ち、徴税権などを持つこと。  

Text p.141

  • 自治権の地域による強弱
     北イタリア  の諸都市:領主である司教から自立して自治都市(c コムーネ )となり、
     さらに周辺の農村を併合してd 都市国家   (共和国)となる。
     ドイツ  の諸都市:諸侯の力を押さえようとする皇帝からf 特許状  を得て自治権を獲得、
     皇帝直属の自由都市(g 帝国都市  )となる。 → 諸侯と同じ地位に立つ。
     他の都市は依然として封建領主の保護を受けて、納税の義務を負っていた。
    イギリス・フランスの諸都市:国王との結びつきが強く、自治都市は発達しなかった。
都市同盟  の形成
    • 12~16世紀  有力な都市が皇帝・国王・封建諸侯と対抗するために結成した。
    • 北イタリア:a ロンバルディア同盟   ミラノ中心に、ドイツ皇帝に対抗した。
       → ▲1176年 レニャーノの戦いで同盟軍が神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世軍を破る。

解説

レニャーノの戦いは教科書、用語集では扱われないが、ロンバルディア同盟軍がローマ皇帝軍を破った戦いとして重要。都市同盟軍はローマ教皇の支援を受け、イタリア政策を展開するローマ教皇フリードリヒ1世(赤髯王)の派遣した軍を破り、都市の自治を認めさせた。
  • 北ドイツ :b ハンザ同盟   c リューベック  を盟主とし最盛期には約70市が参加した。
    その機能 d 独自の法律・軍隊(陸海軍)を持ち、共同の利益を守った。   
     → 14世紀に全盛期となり、北ヨーロッパ商業圏を支配、大きな政治勢力となった。
     → 都市同盟は、16世紀の大航海時代まで存続し、主権国家体制の成立(後出)に伴い消滅する。

地図 主なハンザ同盟加盟都市  ●は主要都市  ●は加盟都市  ■は四大在外商館

ハンザ同盟
(点線は現在の国境)
●主要加盟都市
 ⓐ リューベック  
 ⓑ ハンブルク   
 ⓒ ブレーメン   
 ⓓ ケルン     
 ⓔ ダンツィヒ   
 ⓕ リガ      
■四大在外商館
 ① ロンドン    
 ② ブリュージュ  
 ③ ベルゲン  
 ④ ノヴゴロド        
コメント (2)
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