1 重大な人身事故
10 軽微な人身事故
30 物損事故
500 負傷や損害なし
??? 負傷や損害となる可能性のあった行為
・事故モデルの主要なタイプ
モデルタイプ
探索の原理 特定の原因と明確 キャリア、バリア 密接な結合と複雑な相互作用
なリンク 及び潜在条件
分析の目標 原因の排除と封じ込め 防護とバリアの強化 パフォーマンスの変動制の監視と盛業
例 事象の連鎖や連続(ドミノ) 潜在条件 制御理論モデル
ツリー(樹木)モデル キャリア・バリア カオスモデル
ネットワークモデル 病理学システム 確率共鳴
・物理的バリアのためのバリアの機能
バリアの機能 例
・封じ込めまたは防護、現在地 壁、扉、建物、物理的接近の制限、ガードレール、
からの(たとえば放出) フェンスフィルター、コンテナ、弁、整流器など
あるいは現在地への移送(侵入)
・質量あるいはエネルギーの 安全ベルト、ハーネス、フェンス、檻、物理的移動の
移動や移送の制御または防止 制限(大きな隔たり、隙間)など
・一緒に保管すること、凝集性 簡単に壊れたり折れたりしない構成部品、
弾性、不滅性 たとえば安全ガラス
・分離、防御、遮断 衝撃吸収帯、洗浄機、フィルターなど
・機能的バリアシステムのためのバリアの機能
バリアの機能 例
・移動や行為の防止(機械的、ハード) 錠、機器配置、物理的インターロック、装置の適合
・移動や行為の防止(論理的、ソフト) パスワード、入力コード、行動の順序、事前条件
生理学的一致(虹彩、指紋、アルコール度)など
・行為の妨害や遅延(時空間的) 距離(一人の人間では届かないくらい遠い)
持続(デッドマンボタン)、遅延、同期化など
・鈍化、軽減 能動的騒音低減、アクティブサスペンション
・エネルギーの消散、消火 エアバッグ、スプリンクラーなど
・事故進展バリア(AEB;Accident Evolution and Baririer Function)モデル
事故の進展を人的要因/組織的システムあるいは技術的システムのどちらかに属する段階のシーケンスとして表した。このモデルでは、それぞれの段階は(1)構成部品の故障か機能不全、(2)それぞれのシステム中の誤って遂行された機能を意味し、バリアの機能は事故の進展をどのように阻止できるかを示すために用いられた。
AEBモデルは3つの異なるバリアシステム、すなわち物理的、技術的、人的/組織的システムを提言した。
・バリアと潜在的な失敗
・防護 通常の操作条件下で、危険(hazard)と潜在的な被害者の間にバリアを提供する。
・検出 通常でない条件の発生や不安全行為、危険な物質の存在を検出、同定する。
・警告 危険にさらされる可能性のあるすべての人に、危険の存在を危険の性質を知らせる。
・復旧 できるだけ早くシステムを安全な状態に修復する。
・格納 先行する防御能のいずれか、あるいはすべてに障害があった場合、危険の拡大を制限する。
・避難 事故後、すべての潜在的な被害者が安全に避難したことを確認する。
・個人作業レベルでのETTO
・OKに見える
・実際には重要でない
・いつもOKだ、いまは確認する必要はない
・後で誰かが確認するだろう
・前に誰かが確認した
・実行する方法を思い出せない
・時間と資源が足りない、後でやろう
・前回点検したおきはうまくいった
・気にするな、完全に安全で、何も起こらない
・ETTOの原則
・負の報告
・冗長性の減少
・二重標準の管理
感想;
これまで読んだ事故防止の本とは違う視点の内容でした。
「ヒューマンファクターと事故防止」 “当たり前“の重なりが事故を起こす エリック・ホルナゲル著、小松原明哲監訳、海文堂、250 頁 ISBN4-303-72992-2(定価3300 円+税) 2006 年3 月25 日 発行 https://www.denken.or.jp/jp/hfc/DB/Bunken/hf62.pdf
〔 目 次 〕
第1章 事故と原因
1.1 序論
1.2 事故、原因と結果
1.3 原因の探索
第2章 事故について考える
2.1 序論
2.2 事故モデルの必要性
第3章 バリアの機能とバリアシステム
3.1 序論
3.2 バリアの利用と記述
3.3 バリアの分類
3.4 バリアの分析とバリアの設計
3.5 他のタイプのバリア
第4章 事故におけるバリアの役割を理解する
4.1 序論
4.2 事故分析でのバリアの表現
4.3 バリア機能の複雑さ
4.4 バリアと事故防止
第5章 相発的事故モデル
5.1 序論
5.2 効率-完全性トレードオフの原則
5.3 事故のモデルとしての確率共鳴
第6章 事故防止
6.1 序論
6.2 事故の予測
6.3 パフォーマンス変動管理
6.4 後退する現場サイド
本書は、現代社会の複雑化するシステムでの事故・トラブルの低減方法に対し、新たな視点を示すものである。日常生活において、いくつかの些細なことが重なり合って、不幸にして事 故に至ることがある。
システムの構成要素が多くなれば多くなるほど、重なり合いのパターン が指数的に増加するために、不幸な事故はますます増加している。これらの一つひとつは“い つものこと”であって、何一つ悪くない。このような事故・トラブルを防止するためには、問題となった組合せが生じたとしても事故を起こさないように、防護壁のバリアを設けることが重要である。
本書は、この考えについて深く言及している。
第1章、第2章では、事故とその原因の探索について、基本に立ち戻って紹介している。そ の中で事故の原因探索のモデルとして、「連続的事故モデル」「疫学的事故モデル」「双発的 事故モデル」の3つについて、その原理と特徴について解説している。
第3章、第4章は、本書の主要な部分であり、事故防止に関する様々なバリアについて整理し、その働きと効果を具体例と共に紹介している。不適切なバリアを取り除く最初のステップ は、不適切なバリアの存在を認識し、それを明確に理解することであると言及している。それ ゆえ本書の重要な部分は、事故とリスクについて我々はどのように考えることができるのかという議論であり、このことこそが現実の事故防止につながるとしている。
第5章、第6章では、効率-完全性トレードオフ(ETTO:Efficiency-Thoroughness Trade-Off) 原則により、個人の振る舞いにある揺らぎが与えられ、複数の人が共同作業をするときに、その揺らぎの組合せにより機能共鳴が発生、結果的にチームあるいは組織的なエラーにつながるという考え方を示している。
また、この機能共鳴が発生する場所を見出す手法として機能共鳴 事故モデルを紹介し、このモデルがどのように事故防止に役立ちうるのかを提案している。 本書は、実務家の方には敷居が高い内容であるが、ヒューマンエラーやヒューマンファクターでは捉えきれない“何か”を求める読者にはインセンティブが得られるものと思われる。
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