幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「コックピットの安全哲学 クルー・リソース・マネジメント 機長のマネジメント」村上耕一/斎藤貞雄共著 ”CRM訓練を行いミスを減らす”

2023-04-22 17:04:22 | 本の紹介
CRM(クルー・リソース・マネジメント)とは、人間のミスを未然に防ぎ、あるいは起こったミスからの影響を早期に遮断するために、クルー(チーム)というものを最大限に利用しようとする考え方です。そしてそのために、コックピットの主人公である「人間」に焦点を当て、チーム全体としてのパーフォーマンスを上げるためには、個々の人間はどんな思考をし、行動すべきなのかについて考えるきっかけを与えようというものなのです。

オーストラリアのカンタス航空は、なんと1951年から旅客死亡事故を一件も起こしていない、世界一安全な航空会社と言われています。そしてこのカンタス航空のパイロットや整備士、あるいは運航管理者などの運航に携わる人々の間では「Late Arrival than Never Arrival」という言葉が、安全を守る一つの合い言葉になっていると聞いたことがあります。これは「安全を守るためには少しくらい遅れることなんて、到着しないこと(つまり事故を起こすこと)を考えれば、なんでもないさ」ということなんだろうと思いますが、だからといっていつも遅れてばかりいる航空会社だろは聞いたことがありません。

・事例から学ぶ-ハンガーフライト
 (昔)彼らは飛行機の格納庫(ハンガー)に集まって、自分達の経験談や自慢話に花を咲かせたのです。・・・
 人間一人が一生の内に経験できることなどたかが知れています。しかし、すべての人間が全く同じ経験をするわけではなく、それぞれがさまざまな経験をしながら過ごして行くのです。そしていろいろな事例を知るということは、他人の貴重な経験を共有するということであり、それによって経験により育まれる知恵は、際限なく成長することができるはずなのです。そしてこれこそが事例を知り、事例から学ぶということであり、ハンガーフライトはまさにこれを地で行っていた、ということになります。

・それはブリーフィングから始まる
 出発時間は8時55分なので、出勤時間はその1時間前の7時55分ということになる。
 ・気象情報の確認
 ・フライトプラン(飛行計画)の確認
 ・掲載燃料についても協議の上決定
 ・ノータイムと呼ばれる航空情報
  ・当日の空港施設や経路上の航空援助施設等の変更や休止に関する情報
 ・最後に搭乗予定乗客数と出発ゲートを確認

・航空事故の要因とされる「コックピットクルーの行動とパフォーマンス」について、すでにNASAのワークショップにおいて、以下のような分析がなされていたのです。
①職務の五人と責任の分担が不適切だった。
②優先順位を論理的に確立できなかった。
③重要な計器やシステムの継続的なモニターとクロスチェックを怠った。
④問題を注意深く見極めず、小さなことに没頭してしまった。
⑤入手し得るあらゆるデータを利用できなかった。
⑥すべての方針や各人の意図の明確な意思疎通がおろそかになった。
⑦PIC(Pilpt-In-Command:その便の機長)がしっかりとしたリーダーシップを発揮しなかった。

・CRMとは
「(コックピットにおいて)利用可能なすべてのリソースを、最適な方法で最も有効に活用することにより、クルーのトータルパフォーマンスを高め、より安全で効率的な運航を実現することを目的とする考え方」であり、そのための知識と具体的な方法を学ぶのがCRM訓練である。

・KHUFAC(KLM Human Factors Awareness Course:キューファック)
 人間中心の考え方
 「人間中心」の考え方とは、人間の能力を十分に活用しようとするならば、作り上げた環境やシステムに合うように人間を変えるのではなく、環境やシステムの方を人間の特性に合わせる努力をすることが先決である、といった具合に、人間を含むシステム全体を、常に人間が中心となるように捉える考え方であると言え、まさにヒューマン・ファクターの考え方そのものであるのです。

    H
  S  L  E
        L
中心のLはライブウェア(Liveware)自分
S ソフトウェア(Software)
H ハードウェア(Hardware)
E エンバイロメント(Enviroment)
L(下のL) あなたが接しなければならない、あなた以外の人

・CPAC(シーパック・クルー・パーフォーマンス・アウェネス・コース)
人間(クルー)のパーフォーマンスについての気づき(Awareness)を与えるためのセミナー

・望ましい機長
①航空輸送の公共性を自覚し、円満な人格と社会人としての豊かな常識を有していること
②コックピット・パーフォーマンスを円滑に遂行できるマネジメント能力を有していること
③ニュー・テクノロジーに的確に対応できる能力を有していること
④今後の国際戦の展開に対応できる国際感覚、国際運航能力を有していること
⑤健全な身体および精神を有していること

・リソース
①イクイップメント(計器や機器などの装備)
②ペーパーズ(諸マニュアル)
③コックピット外の人(管制官、ディスパッチャー、多機の乗員など)
④視認できる外部の状況
⑤ファシリティ(空港、空港設備、航空路、航空路などの施設)
⑥個々の乗員(各人の経験、能力、情報など)

 通信装置が未発達な時代、船舶(特に軍艦)内でコミュニケーションをとる際に適用された行動指針にマリン・コンセプトがある。
発信者     受信者
フラット15 →(理解し)
      ← フラット15
(復唱を確認する)

・セミナー全体構成
 ・オリエンテーション      動機づけ
 ・テーマビデオ         注意  
 ・CRM&SHELL        習得
  A・W            展開
  ・セルフマネジメント
  ・チームマネジメント
  ・トータルマネジメント
 ・まとめ            転移/強化
 ・セルフ・アファメーション   

 五領域;「感覚」「思考」「感情」「願望」「行為」

・A・Wの五領域を知るにはどうしたら良いか。基本は<Stop→Look>である。
 立ち止まって→見つめることだ。
 「Stop→Lookとは仏教でいう止観である」と教えられた。

・英国の歴史学者トインビー
「現代人はどんなことでも知っている。ただ、自分のことを知らないだけだ」

・行為の三つのタイプ
①AR(Automatic Reaction) 自動的な反応
②PR(Problem Resolving) 問題解決型
③CR(Continuous Recognition) 反復レビュー

・チーム・マネジメントとは、チームメンバー同士の
 言葉を通じ合い   (クルー・コミュニケーション)
 心を通じ合い    (クルー・リレーションシップ)
 意志を通じ合わせる (クルー・リーダーシップ)
 ことによりメンバー間に生じた相乗効果を利用して、チームのトータル・パフォーマンスをさらに高めていくことである。

 TAGとは操縦室内権威勾配(Trans-Cockpit Authority Gradient)のことを言います。
 ICAO(国際民間航空機関)の事故防止マニュアルによると、「安全な運航を確保するがめには、キャプテン、コーパイ及びフライトエンジニア(航空機関士)間の勾配はあまり大きくても小さすぎてもいけません。

・チーム・マネジメントのための具体的行動指針
1)状況認識の一致を計る
 ①2ウェイ・コミュニケーションを確立する
  ・明確な意思表示をする
  ・相手が理解したことを確認する
 ②情報を共有化する
  ・相手の話をよく聞く
  ・質問を活用する
  ・問題意識を口に出す
2)良好な信頼関係を確立する
 ①相手の態度に関心を持ち、自分の態度を見直す
 ②会話をコントロールすることによって、他のクルーとの距離を適正に保つ
 ③チーム内の対立を乗り越える
3)適切な役割を分担を計る
 ①役割の分担を明確にする
 ②他クルーの意思を尊重する
 ③自分の役割を認識し、フライトに積極的に参加する
4)常にStop→Lookを行う
 ①全ての思考と行動についてStop→Lookをする
 ②次の行動のためにStop→Lookをする
・三つの行動タイプ ラスムッセンの簡易行動モデル
 ①問題解決型行動(思考型行動) オフルーチン・ワーク
 ②マニュアル型行動       ルーチン・ワーク
 ③(条件)反射型行動      ルーチン・ワーク 

感想
 普段から、CRM訓練を行っていると、トラブル起きたときに冷静に対処できます。
ハドソン川の奇蹟は、CRM訓練の賜物とも言われています。

 3H(初めて、変更、久しぶり)の時に、トラブルが起きやすいと言われています。
それに2H(犯罪行為をしない、普段と違うと感じたら必ず口に出して確認する)を加えています。
 犯罪行為をしないとは、確信犯でSOP違反とかルール違反をしないことです。
多くの重大な事故は必ずと言っていいほど、ルール違反があります。
 普段と違うと感じたら口に出す。これはまさにCRMです。気になったことを検証することが大きなトラブルを未然に防いだ体験をたくさん持っています。

 それと過去のトラブルをよく知っておくことでしょう。過去のトラブルを知ることを”過去問対策”と言っています。
 過去問をたくさん学んでいると、同じようなトラブルが起きても焦りません。
また適切な対処ができ、問題を大きくしません。

 この本にも多くのミス防止のヒントがありました。
下記にヒューマンエラーの本から参考になったものを抜き出しています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿