平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第41回「義盛、お前に罪はない」~我こそが鎌倉随一の忠臣じゃ! 皆、胸を張れ!

2022年10月31日 | 大河ドラマ・時代劇
 和田義盛(横田栄司)と巴御前(秋元才加)。
「俺は生きて帰る。その時にお前がいないと困っちまうよ」
「我こそが忠臣和田義盛の妻巴なるぞ!」
 強い絆で結ばれた夫婦である。

 実朝(柿澤勇人)と義盛。
「勝敗は決したこれ以上の争いは無用である!
 義盛、お前に罪はない! これからも力を貸してくれ! 私にはお前が要るのだ!」
「これ程までに鎌倉殿と心を通じ合えた者がいるか?
 我こそが鎌倉随一の忠臣じゃ! 皆、胸を張れ!」
 強い絆で結ばれた主君と家臣である。
 …………………………………

 一方、義時(小栗旬)。
 実朝を脅迫。
「大いくさになってもよろしいのですか? 鎌倉が火の海になります。
 それを止められるのは鎌倉殿、あなただけなのです」

 政子(小池栄子)からは責められる。
「和田を追い詰めたのはあなたなのですよ」

 泰時(坂口健太郎)は酔っ払って、このいくさに否定的だ。
「わたしは戦うつもりはない。なぜ御家人同士で戦わねばならないのだ?」
 そして、今の立場から降りたい様子だ。
 泰時は聡明でやさしい。
 だから、この戦いの理不尽がわかるし、耐えられない。

 義盛は死に際して「小四郎~っ!!」
 シンプルだが、激しい怨嗟の言葉である。
 呪詛の言葉と言ってもいいかもしれない。
 こういう憎悪の言葉をぶつけられたら、ぶつけられた者の心は持たない。
 心が蝕まれていく。
 スペシャル番組で三谷幸喜さんが語っていたが、
 こうなってしまうと義時は安寧な死に方はできないと思う。
 ………………………………

 では義時は完全に闇落ちしてしまったのか?
 毎回この問いを発しているが、やはりそうではないようだ。
 和田義盛の死に際しての涙。
 周囲の者に涙を見せないように背を向けて歩いていく。
 この時には昔の小四郎に戻ったのだろう。

 ただ義時の政治手法は「強権政治」だ。
「人を束ねるのに一番大切なのは力でございます」
「人は力を怖れる」
「敵対する勢力、将来敵対しそうな勢力は潰していく」
「信賞必罰」「私情の入らぬ厳格な裁き」
 これが世の中の安寧のために必要だと考えている。

 一方、実朝は今回の件で覚醒した。
「わたしは安寧の世をつくる。わたしの手で新しい鎌倉をつくる」
 義時の「強権政治」の完全否定である。
 力ではなく慈愛によって治める「仁政」である。
 いくさで消耗するのではなく、皆で経済的に豊かになっていく道である。

 こんな実朝を義時は「父(頼朝)や兄(頼家)を越えようとしている」と評したが、
「仁政」がベストであることをわかっているのだろう。
 ただ権力基盤が弱い段階での仁政は脆弱だ。
 人の好いことをやっていたら、たちまち滅ぼされる。
 だから義時は鎌倉の権力基盤を強くしようとしている。
 それに行き過ぎた強権政治には必ず反動が来る。
 今回、義実朝や泰時は強権政治とは違う道があることに気づいたが、
 義時は彼らを目覚めさせるために、敢えて悪役を引き受けているのかもしれない。
 もっとも実朝の「仁政」は「西の方(後鳥羽上皇)に相談する」という危ういものではあるが。


※追記
 ところで大江広元(栗原英雄)強すぎ!

コメント (2)
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