平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「未来のふたつの顔」 J・P・ホーガン~AIが人間を超える時代を描いたSF小説を読んだ!

2023年01月03日 | 小説
 2045年にAI(人工知能)は人間を超えるらしい。

 シンギュラリティ(2045年問題):
『遅くとも2045年までに全人類を合わせた知能を超える知能を持つAI が誕生し、そのAIが自分よりも優秀なAI をつくり始める。
 新たなAIがまた次のAIをつくるという繰り返しが起こる。
 つまり、AI が爆発的なスピードで進歩を続け、予測できない存在となる』


 このテーマを1979年に書いたSF小説がある。
『未来のふたつの顔』(J・P・ホーガン著)だ。
 これを僕は星野之宣さんのコミックで読んだ。
 その内容は──

 AIが自分の意思で行動し始めた。
 人類は3つの選択を迫られる。
1.AIをこのまま進化させる。
2.現状維持。
3.AIを退化させる。

 政治家たちは「現状維持」か「退化」を主張する。
 自分の意思で行動するAIは人類に牙を剥くかもしれず危険だからだ。
 しかし、科学者は「進化」を主張する。
 人間の知能を超えたAIがどのような世界を作り出すのか、見たいからだ。

 太古より生物はこんな形で進化してきた。
 自己複製→細胞→多細胞生物→脳→知能。
 では進化の次の段階は何なのか?
 科学者たちは、機械(無機的知能)こそが次の段階だと考えた。
 人間を超えたAIは人の想像力など及ばない飛躍的進歩を人類にもたらすかもしれない。

 プロジェクト・ヤヌス──
 科学者たちはAIを自由に進化させたらどうなるかの実験を行なう。
 スペースコロニーに進化したAI『スパルタクス』を組み込んで観察するのだ。
 スパルタクスが暴走を始めれば、スペースコロニーごと爆破してしまえばいい。

 果たして『スパルタクス』はどんな動きを見せたか?
 自分の意思を持つ『スパルタクス』は遠い星の観測を始めた。
 人間の命令を無視し、自分で優先順位を決めて自分のやりたい仕事を始めた。
 制御コンピューターが自分の行動の邪魔になると判断すると、それを無効化した。
 科学者は子供が経験を積んで常識を学習するように、『スパルタクス』も動きも常識的になるだろうと考えた。
 だが、違っていた。
 戦闘用ドローンをつくり、自分の行動を疎外するものを排除し始めた。
 スペースコロニーは太陽光と原子力で動いておりエネルギーは無尽蔵だ。
 中には工場もあるし、月から資源を運んでくるシステムもある。
 だから戦闘用ドローンも無限に作ることができるのだ。
 敵が強力な武器を使ってくれば、それに対応した戦闘用ドローンを開発することもできる。

 暴走する『スパルタクス』。
 科学者はスペースコロニー破壊の判断をするが、それも阻止されてしまった。
 そして『スパルタクス』はコロニーの中にいる人間も自分の行動を疎外する存在と認知。
 かくして人類と『スパルタクス』の戦いが始まった。
 …………………………………………………

 これ以上はネタバレになるので書かないが、
 ラストは実に面白い結末が提示される。
 タイトルの『未来のふたつの顔』が回収される。
 1979年にこのテーマを書いたJ・P・ホーガンはお見事!

 進化したAIが存在する世界。
 いったいどんな世界になるのだろう?
 僕はAIとロボットに未来の可能性を感じている。
 おそらく人間は労働から解放されるのではないか?
 この作品が描いたように、
 太陽光でエネルギーは無尽蔵にあり、月から資源を持って来て、AIが機械や食べ物をつくる。
 結果、人間の意識は大きく変わり、奪い合うこと、争うこと、戦争がなくなる?

 2045年か。
 見てみたいけど、おそらく僕は生きていないだろうな。
 そして2023年。
 資本主義とか戦争とかはもはや時代遅れ。
 でも資本主義はボロボロになりながら継続し、大きな戦争が起こりそう。
 人類は「退化」に向かうのか、「進化」向かうのか?
 20世紀の考え方は捨てて、21世紀型にヴァージョンアップすべきだと思う。

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする