平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第45回「二人のプリンス」~家康よ、わが弟よ、弱音を吐きたい時はこの兄が聞いてやる……!

2023年11月27日 | 大河ドラマ・時代劇
 二人のプリンス、豊臣秀頼(作間龍斗)と徳川秀忠(森崎ウイン)。

 秀頼はすぐれた才の持ち主だ。
 家康(松本潤)や本多正信(松山ケンイチ)の策を逆手に取り、事を自分に有利に運ぶ。
 二条城の会見。
「意地を張るのも大人げないので横並びにいたしましょう」
 と言いつつ、結局、家康を上段に座らせた。
 家康は豊臣を公家として位置づけるつもりだったが、
 秀頼は「武家として手を携えて共に世を治めてまいりましょう」
 お見事! 秀頼は駆け引きで家康・正信に勝った。
 成果はこれだけでなく世論も豊臣に傾いた。
 家康が上座に座ったことで「徳川無礼」のブーイング!

 秀頼の進撃は続く。
 方広寺の大仏開眼供養で「豊臣の威信」を世に見せつけた。
 結果、徳川の威光は霞むばかり。

 一方、もうひとりのプリンス、徳川秀忠は凡庸で頼りない。
 秀頼のすることを指をくわえて見ていることしか出来ない。
 焦り、嘆く秀忠に家康は諭す。
「おまえはわしの才を受け継いでおる。
 弱い所じゃ。その弱さを素直に認める所じゃ」
「弱かった頃のわしは多くの者に慕われて幸せだった。
 わしはそなたがうらやましい。それを大事にせい」

 家康は秀忠に秀頼にはない、よい資質があることを認めている。
・弱さゆえ好戦的でない。
・弱さゆえ独断に走らない。
・弱さゆえまわりの者が支えてくれる。
 弱さの再評価だ。
 人は強さを求めるが、果たしてそれでいいいのか?
 乱世の時代なら強さは必要かもしれないが、治世の時代ではそれが負に働く。

 だから家康は最後に秀忠にこう言った。
「徳によって治めるのは王道。武力によって治めるのは覇道」
「いくさを求める者たちに天下を渡すな。わしの志を継いでくれ」

 しかし、いくさを求める者たちは次の手を打って来た。
 本来なら、柿が落ちる時(家康が死ぬ時)を待てばよかったのだが、仕掛けて来た。
『国家安康』『君臣豊楽』
 豊臣はいくさを求めている。
 いくさを求める者たちの心に火がついて、もはやいくさは避けられない。
 ………………………………………………………………………………

 今回も上手い脚本でした。

 普通なら、秀頼の描写だけをしておけば、そのまま「大阪の陣」に繋がったのだが、
 ここで秀忠を持って来た。
 秀忠を通して「弱さ」の復権、「王道の政治」を描いた。
 秀忠を通して、家康が「弱かった頃の自分」を求めていることも描いた。
 家康は過去の自分を捨て、泥をかぶること、罪を犯すことを引き受けている。

 それは今川氏真(溝端淳平)との会話でも。
「奥方と歌を詠む日々、うらやましいかぎりじゃ」
 氏真は昔の家康を知っている。
 だから家康の苦悩がよくわかる。
 家康を抱きしめて、
「家康よ、わが弟よ、弱音を吐きたい時はこの兄が聞いてやる」
 人を殺して来たことに苦悩する家康に対しては、自分を例にして、
「お主に助けられた命もあることを忘れるな」

 ここ名シーンだと思う。
 よくぞ、ここで氏真を登場させた。
 見事な伏線回収でもある。
 氏真と言えば「王道」の今川義元でもあるし。
 
 秀忠を描いたこと。
 氏真を登場させたこと。
 これがドラマの厚み、豊かさになるんですね。

 前回といい、僕的には「神回」が続いている。

コメント (6)
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