平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

掟上今日子の備忘録 最終話~「次に会う時、一から口説いて下さいね」 おおっ、感動の最終回!?

2015年12月13日 | 推理・サスペンスドラマ
「明日のことを話すあの人より、私はあなたを信じます」
 厄介(岡田将生)と澤野信二(要潤)の違いは、これなんですよね。
 厄介は、今日子(新垣結衣)の限りある一日を素晴らしいものにしたいと考えるのに、澤野はまったくそんなこと考えていない。
 映画は明日見ればいいと言い、須永昼兵衛の本も明日読めばいいと言う。
 厄介ならそんなことをしないだろう。
 今日子の望んでいることを真っ先に考えて、「今日子さん、『名探偵めい子の事件簿2』を観にいきましょう」「須永先生の本を買いにいきましょう」と言うはず。
 要は、今日子のことを愛しているか、愛してないかの差。
 最後に愛は勝つ。

 それに、そもそも、睡眠薬を飲ませて記憶をリセットし、ウソの人格、ウソの現実を生きさせるなんてこと自体が、不自然で無理なこと。
 洞察力の鋭い今日子じゃなくても、いずれはほころびが出て来る。
 作られた自分に違和感を覚えて、不審に思う時が出て来る。
 人間の人格や思いなど、そんな簡単に変えられるものではないのだ。

 澤野の一件が解決した後は、感動の純愛ドラマ!
 厄介の書いた『Kの備忘録』を読んで、今日子は自分を見出す。
「わたしは掟上今日子。あなたが書いてくれた私を選びます」
 3日間徹夜して眠りそうな今日子が、厄介との共感を失いたくなくて、
「忘れたくない! 忘れたくないんです!」
 と叫んだ時は、厄介、こんなせりふ。
「大丈夫、僕が覚えています」
 厄介、イケメンだねぇ。
 これに対して、今日子は何とも可愛いせりふ。
「次に会う時、一から口説いて下さいね」

 おおおーーーっ! 決まった!
 これで、見事な恋愛ドラマが成立……、
 と思いきや、記憶は完全にリセットされて、恋愛ドラマは振り出しに。
 厄介が今日子に拒否られ、1分間でフラれる、というオチに(笑)
 やっぱり厄介はこうでなくちゃ!
 恋愛成立なんかもっての他!
 でもまぁ、法郎(及川光博)の言うとおり、こうやって一から口説いていく作業を繰り返していくことで、いずれは今日子の記憶に厄介は定着していくんでしょうね。
 ちょうど、サンドグラスの猫のように。
 そばにいないと、どこか落ち着かないような存在に。

 最終回では、「掟上今日子はなぜ探偵をするのか?」という命題にも、一定の答えが出た。
 それは厄介が書いた『Kの備忘録』の中に。
 今日子は探偵をすることで、たくさんの人たちを救い、感謝されて、人々の記憶に残るのだ。
 これが今日子が探偵をする意味。
 天井に『お前は今日から掟上今日子。探偵として生きていく』と書いた人物は、探偵として生きていくことが今日子の幸せであることを理解していたのだろう。
 何しろ、今日子は「お金と少しの謎があれば幸せ」という人ですからね。

 今作は、実によくできたドラマだと思いました。


※追記
 『ゴーマニズム宣言』や『お坊ちゃまくん』で知られる漫画家の小林よしのり氏はブログで、この作品のガッキーを絶賛していた!

『掟上今日子の新垣結衣はなんであんなに可愛いのだろう?
 白髪が似合っていて、黒髪のときより可愛いのはなぜだろう?
 ガッキーも沖縄出身なのか。
「リーガルハイ」のときより掟上今日子の方がはるかに可愛い。
 このキャラはガッキーにとって貴重だと思う。
 しゃべり方からしぐさまで、すべてが可愛い。
 掟上今日子は続編をやってほしいし、映画化されても見に行く』(2015/12/06)

 AKB好きといい、このおっさん、憎めませんなぁ(笑)


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2 コメント

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本当に素敵なドラマ (ふうりん)
2015-12-13 14:28:07
はじめまして。
小林さん評にある様に、この作品でのガッキーの可愛らしさは無敵でした。
表情と声のトーン、舌打ちでさえも。

岡田くんの厄介も…優しさや誠実さ翻弄したり心から心配してる様な切ない表情が見事でした。
危うい状況のシーンの数々も、岡田くんの演技が対を成して高められていたと思います。

初回から最終回までの流れも基本一話完結であっても少しずつリンクがありアメコミチックなとこや小ネタもありで観ていて楽しかったです。
コミカルな中にジンワリ大切なものが詰まった秀作でした。

里美が厄介の名札から辿りつくまでのスピーディな展開も見応えがありました。
推理を展開して、眠らず、機を伺い、仕組む…探偵である事を裏付ける動作は後で「Kの備忘録」を読み終え繋がるところです。

「あなたが忘れても僕が覚えてる」究極な愛の表現だと思います。岡田くん演じる厄介が言うと涙が出そうなくらい優しさを感じる。

「これからは口説き放題です」と言い、意気込む厄介の楽しげな清々しさに今日子さんとの関係を育んでいく幸せが滲んでいた。
会う度にたとえ1分で振られても、今日子さんは厄介から発信される人として信頼できるエナジーを必ず感じ取ってくれる様に思える。それは何度記憶がリセットされ様とも揺るがない。刹那を抱えているからこその本能なのかもしれない。

新しい形の恋愛ストーリーとしても素晴らしい最終回でした。続編、映画化が待ち遠しいです。
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見応え (コウジ)
2015-12-14 11:38:08
ふうりんさん

コメントありがとうございます。
そして、的確な批評、お見事です。

>里美が厄介の名札から辿りつくまでのスピーディな展開も見応えがありました。

ここ見応えがありましたよね。
今日子が寝ていないのは、ある程度、予想できましたが、名札から厄介にたどりつくとは思いませんでした。
携帯がつながるか、つながらないかのサスペンスも、塗くんがグッジョブ!
不在の厄介の部屋に入ったことが、今日子が「Kの備忘録」を手にする流れに繋がったのも上手かったですよね。
そして、法郎さんの武闘派の探偵たち(笑)

>続編、映画化が待ち遠しいです。

今回の終わらせ方は続編を作る気満々ですよね。
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