美濃を追われて越前で浪人生活をおくる光秀(長谷川博己)はおのれの無力さを語る。
母(石川さゆり)は落ち込む光秀に亡き夫のこんな言葉を告げた。
「人には浮き沈みがある。
武士には勝ち負けがある。
沈んだ時、どう生きるか?
負けた時、どう耐えるか?
その時、人の価値が決まる」
光秀も父親の言葉を思い出した。
「馬は誇り高き生き物ぞ。
勝っても負けても、おのれの力のかぎり走る、遠くへ。
それがおのれの役割だと知っているのじゃ。
われらもそうありたい」
なかなか含蓄のある言葉ですね。
ただひたすら、おのれのやるべきことをやる。自分に与えられた役割を果たす。
これに勝ち負けは関係ない。
勝とうとして自分を曲げてしまうのは愚かな生き方。
負けてもおのれを貫けば、それは誇り高い生き方。
今後、光秀はこの価値観で生きていくのだろう。
実際、朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)との間にこんなやりとりがあった。
生活資金を渡すという義景の申し出を光秀は断る。
受け取れば、帰蝶(川口春奈)や細川藤孝(眞島秀和)の負担になってしまうからだ。
生活資金を受け取った方が楽に生きられるのに。
光秀は頭が堅くて柔軟性に欠ける。調子よく生きていくことができない。
他方、これを長所として見れば、まっすぐでストイックで、自分の価値観・考えに忠実な人物。
こんなやりとりもあった。
義景に「そちのために尾張は動くか?」と問われて、「動きません」と正直に答えちゃった!
ここは大風呂敷を広げて、自分を大きく見せた方が得なのに。
ここで前回の道三(本木雅弘)が高政(伊藤英明)に言った言葉が頭に浮かぶ。
「まだ、おのれを飾ろうとするのか? おぞましき我が子、醜き高政!」
光秀は「おのれを飾ろう」としない。
損になるとわかっていても、ありのままの自分を見せる。
ここに来て、作家は新しい光秀像を提示したようだ。
すなわち、
・損得を考えず、自分の価値観を貫く人物。
・長いものには巻かれない人物。
・誠実を美徳とし、誇り高い生き方をする人物。
この不器用な生き方は、伊呂波太夫(尾野真千子)に言わせれば、
「どうして? もっと柔軟に生きればいいじゃない」となるのだろうが、まあ、これが光秀なのだ。
作家はこの光秀の生き方を通して、何かを訴えようとしているようだ。
ちなみに駒ちゃん(門脇麦)を助けたのは、光秀の父親だった!
…………
信長(染谷将太)パートは、弟・信勝殺害。
信長は信勝への憎しみ・妬みを赤裸々に語る。
自分の劣等感や母親を奪われたことの悲痛を隠すことなくあらわにする。
こうした信長のドロドロした内面を突っ込んで描いたのは今作が初めてだろう。
弟殺害を最後の最後まで迷っていた節もある。
それは弟だからと言うより、信勝を殺害すれば母親を完全に失ってしまうからだ。
その背中を押したのが、信勝が持ってきた美濃の毒薬入りの湧き水だった。
「自らの内面の憎しみ」と「高政と共謀して毒薬を持ってきた信勝への怒り・哀しみ」
これらが弟殺害に至らしめた。
これで信長は一線を越えてしまった感じかな?
今作の信長は不安定で、時折、負の面に大きく流れることがある。
負の面に陥ると自分を抑えられなくなる。
「損得を考えずに自分の価値観に従う光秀」と「負の面に大きく流れる信長」
今回は、今後の展開、『本能寺』への布石なのだろう。
母(石川さゆり)は落ち込む光秀に亡き夫のこんな言葉を告げた。
「人には浮き沈みがある。
武士には勝ち負けがある。
沈んだ時、どう生きるか?
負けた時、どう耐えるか?
その時、人の価値が決まる」
光秀も父親の言葉を思い出した。
「馬は誇り高き生き物ぞ。
勝っても負けても、おのれの力のかぎり走る、遠くへ。
それがおのれの役割だと知っているのじゃ。
われらもそうありたい」
なかなか含蓄のある言葉ですね。
ただひたすら、おのれのやるべきことをやる。自分に与えられた役割を果たす。
これに勝ち負けは関係ない。
勝とうとして自分を曲げてしまうのは愚かな生き方。
負けてもおのれを貫けば、それは誇り高い生き方。
今後、光秀はこの価値観で生きていくのだろう。
実際、朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)との間にこんなやりとりがあった。
生活資金を渡すという義景の申し出を光秀は断る。
受け取れば、帰蝶(川口春奈)や細川藤孝(眞島秀和)の負担になってしまうからだ。
生活資金を受け取った方が楽に生きられるのに。
光秀は頭が堅くて柔軟性に欠ける。調子よく生きていくことができない。
他方、これを長所として見れば、まっすぐでストイックで、自分の価値観・考えに忠実な人物。
こんなやりとりもあった。
義景に「そちのために尾張は動くか?」と問われて、「動きません」と正直に答えちゃった!
ここは大風呂敷を広げて、自分を大きく見せた方が得なのに。
ここで前回の道三(本木雅弘)が高政(伊藤英明)に言った言葉が頭に浮かぶ。
「まだ、おのれを飾ろうとするのか? おぞましき我が子、醜き高政!」
光秀は「おのれを飾ろう」としない。
損になるとわかっていても、ありのままの自分を見せる。
ここに来て、作家は新しい光秀像を提示したようだ。
すなわち、
・損得を考えず、自分の価値観を貫く人物。
・長いものには巻かれない人物。
・誠実を美徳とし、誇り高い生き方をする人物。
この不器用な生き方は、伊呂波太夫(尾野真千子)に言わせれば、
「どうして? もっと柔軟に生きればいいじゃない」となるのだろうが、まあ、これが光秀なのだ。
作家はこの光秀の生き方を通して、何かを訴えようとしているようだ。
ちなみに駒ちゃん(門脇麦)を助けたのは、光秀の父親だった!
…………
信長(染谷将太)パートは、弟・信勝殺害。
信長は信勝への憎しみ・妬みを赤裸々に語る。
自分の劣等感や母親を奪われたことの悲痛を隠すことなくあらわにする。
こうした信長のドロドロした内面を突っ込んで描いたのは今作が初めてだろう。
弟殺害を最後の最後まで迷っていた節もある。
それは弟だからと言うより、信勝を殺害すれば母親を完全に失ってしまうからだ。
その背中を押したのが、信勝が持ってきた美濃の毒薬入りの湧き水だった。
「自らの内面の憎しみ」と「高政と共謀して毒薬を持ってきた信勝への怒り・哀しみ」
これらが弟殺害に至らしめた。
これで信長は一線を越えてしまった感じかな?
今作の信長は不安定で、時折、負の面に大きく流れることがある。
負の面に陥ると自分を抑えられなくなる。
「損得を考えずに自分の価値観に従う光秀」と「負の面に大きく流れる信長」
今回は、今後の展開、『本能寺』への布石なのだろう。
ちょうど良いタイミングで、駒・菊丸組に助けられ、さらには帰蝶の意を受けた伊呂波太夫とも合流。
ただし、ちょっと気になったのが菊丸の態度。
落ち着きが無くなり、そそくさと駿河に帰ってしまいました。
何となく伊呂波太夫を警戒しているように見えました。
必ずしも一枚岩では無いように見える「道々応援団」の「要」となったのは、菊丸・伊呂波太夫の双方と知遇のある駒ちゃん。
それにしても、熙子さん、駒ちゃんと仲良しになりましたね。
>駒ちゃんを助けたのは、光秀の父親だった!
牧の証言でこのことが明らかになったこともあったのでしょうが、駒ちゃんは帰蝶様と並ぶ「もう一人の恋敵」だったことに気づいていたのでしょうか。
ともあれ、こうした「おおらかさ」が熙子さんの良いところなのでしょうね。
こうした明るさがあるためか、客観的には不遇期であっても暗くならないところが本作の救いです。
>作家は新しい光秀像を提示したようだ。
>・損得を考えず、自分の価値観を貫く人物。
>・長いものには巻かれない人物。
>・誠実を美徳とし、誇り高い生き方をする人物。
この人物像は共感できますね。
これを、今回のような「明るさ」を基調に、希望のある意味づけも加えて描いてくれれば、「天海僧正」にはならず、落ち武者狩りの竹槍に斃れることになるとしても、納得ゆくドラマになるのではないかと思います。
今回は 前半の逃避行と越前・朝倉氏との対面も悪く無かったのですが
ラスト近くの 「信長 実弟を誅す」が強烈過ぎて 全てもっていかれました。
帰蝶がこれほどのキーパーソンになる信長物語が
嘗て有ったでしょうか?
あまりに過ぎると 興醒めします。
光秀も帰蝶も よく分かっていない人物ですから
ドラマとして面白ければ 史実との摺り合わせはどうでも良いと思っています。
エンタメは「楽しんでなんぼ」ですよね。
いつもありがとうございます。
伊呂波太夫に会った時の菊丸の挙動、不自然でしたよね。
過去に何かあったのでしょうか?
それとも同じ匂いを感じたのか?
そんなふたりの間にあって、駒ちゃんはどう生きていくんでしょうね?
今回の件で、ほぼ役割は終了。
駒自身も、自分を助けてくれた侍のことがわかり、熙子という存在にも接して吹っ切れた様子。
今後、光秀に関わっていくとしたら『草の者』になりそうですよね(笑)
光秀の人物像に関しては、作家の強いこだわりを感じます。
損得、忖度ばかりの現代で、光秀のような人物を敢えて問いたいのではないかと思ってしまいます。
いつもありがとうございます。
>「信長 実弟を誅す」が強烈過ぎて 全てもっていかれました。
池端さん、こういうシーン好きなんですよね。
今回の脚本は池端さんではありませんでしたが、人間のドロドロした感情と毒殺シーンが大好き。
「太平記」でも、こうしたシーンが出て来ました。
帰蝶さんは「お顔を見て、どうすればいいか、お決めになればいいではないですか?」ですもんね。
権力闘争の面白さを知って、だんだんダークサイドに行っているような気がします。
この暗さは果たして吉と出るか凶と出るか?
僕はあまり負の側面に行ってほしくないのですが、まずは物語の進行に身を委ねてみたいと思っています。
「太平記」は ご覧になっていたんですね。
私は 何故か リアル視聴は出来ませんでした。
>池端さん、こういうシーン好きなんですよね。
今回の脚本は池端さんではありませんでしたが、人間のドロドロした感情と毒殺シーンが大好き。
「太平記」でも、こうしたシーンが出て来ました。
そうそう そうなんですよね。
直義を毒殺した尊氏のシーンを思い出したり
「夏目漱石の妻」のドロドロ場面だったり
確かに池端さんのは一癖ありますね。
今 再放送を見ていますが
藤夜叉を演じる宮沢りえさんの愛くるしいこと。
ふっくらした少女らしさが魅力的です。
後に「たそがれ清兵衛」でも同じく真田さんと共演していますが
彼女の苦悩と成長を感じさせます。
「太平記」は、毒殺のシーンだけが記憶に残ってるんですよ。
結構トラウマになっているのかもしれません。
宮沢りえさん、出ていたんですね。
ほんと記憶がないです……!