平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

進撃の巨人 「懐古」~壮絶な戦い! それぞれの思いがぶつかり合い、悲鳴をあげる……!

2022年03月23日 | コミック・アニメ・特撮
 壮絶な戦いである。
 以下、ネタバレ。

 戦うのはかつての仲間。
「裏切り者! 俺たちは仲間じゃないのか!?」
「お前たちは仲間だよ!」
 できれば血を流したくない。
 しかし──
「誰かがやらなくてはいけないんだよ! 誰かが自分の手を血で染めないと!」

 哀しみと憎しみの中、地鳴らしを阻止しようとするアルミン(CV井上麻里奈)たちは数で圧倒的に劣勢。
 飛行船も爆破される前に確保しなければならない。
 そこへライナー(CV細谷佳正)とアニ(CV嶋村侑)が登場!
 鎧の巨人と女型の巨人の登場だ!

 これで戦況は一気に変わると思いきや、二体の巨人は苦戦する。
 飛行船の整備士、飛行船を運ぶ船を守って戦わなければならないからだ。
 整備士を守って女型の手がぶち切れる。
 鎧のうなじに雷槍が被弾する。
 装甲がほとんどない女型の代わりに鎧が雷槍を顔に受ける。

 

 女型は弱点のうなじを守って戦わなくてはならない。

 

 雷槍の集中砲火を浴びて地面に落ちる女型の頭。
 鎧の巨人もボロボロでもはや動くことができない。
 沈黙する二体の巨人。

 イェーガー派のフロック(CV小野賢章)たちも必死だ。
 地鳴らしを止められたらパラディ島の住人は世界中の憎悪を浴び、報復されて滅ぼされる。
 だからフロックは叫ぶ。
「心臓を捧げよ!」
 しかし、ここにミカサ(CV石川由依)、ジャン(CV谷山紀章)、ハンジ(CV 朴璐美)が来る。
「ためらっていたら地鳴らしは停められない!」
 かつての仲間たちの返り血を浴びてミカサたちも辛そうだ。

 

 一方、劣勢のイェーガー派にも一発逆転の勝機がある。
 汽車に乗った増援部隊が到着すれば数で圧倒できるのだ。
 しかし、その列車は突然、爆破。
 いったい、どうして?
 いったい誰が?

 顎の巨人を継承したファルコ(CV花江夏樹)もいたたまれなくて戦いに参加した。
 すぐれた戦闘能力を見せて、囲まれたミカサたちを窮地から救うが、巨人の力を継承したばかりであり、制御できない。
 結果、暴走して車力の巨人を押し倒し、食いちぎろうとする。
 そんなファルコに触発されてガビ(CV佐倉綾音)も戦いに参加。
 船に雷槍を打ち込もうとするフロックを銃で撃った。

 そして、あの人物が登場!
 元調査兵団団長。団長としての成果は兵士の死のみ。
 自分は特別な存在でないと思い知り、前線を退き、後進の育成に生きる場を移した人物。
 自らを「傍観者」と呼んだ人物。
 キース・シャーディス教官(CV最上嗣生)だ。

 

 そんな彼が傍観者でなくなった。
 増援部隊の列車を爆破したのは彼だった。
 かつての教え子たちの戦う姿を見て立ち上がったシャーディス。
 かくして彼は何かを成し遂げた。

 そして、テオ・マガト(CV斉藤次郎)。
 しんがりとして港に残り、最期にこう語る。
「あの子たちが普通に生きることができたとしたら、どんなによかったか……」
 あの子たちとはガビであり、ファルコであり、ライナー、アニであり、ジーク(CV子安武人)だ。

 
 この回想は泣ける。
 
 何と壮絶で混沌とした戦いだろう。
 さまざまな人物の思いが飛び交い、ぶつかり合い、炸裂した!
 一方でこんな言葉も思い出される。
「人から暴力を奪うことはできないんだよ。ねえ兵長?」
 戦いの果てにあるものは何なのか?


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2 コメント

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個人は国家を越えて (コウジ)
2022-03-24 08:57:46
TEPOさん

いつもありがとうございます。

「あの人物」とはシャーディスだったんですね。
>「ストッパーズの子どもたち」の育成者
ここがふたりの共通点だったのですね。
自分の子供たちが協力し合って戦う姿を見て、ふたりは何を思ったのでしょう?
それを考えると、こみ上げてくるものがあります。

>アニをミカサが、ライナーをジャンとコニーが、それぞれ肩で支えて船に向かっていました。
国や主義主張は違えど、個人としてはわかり合えると連帯し合える。
これはマガトとシャーディスにも言えることで、国家や主義主張とは何なのか? と考えてしまいます。
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マガトとシャーディス (TEPO)
2022-03-23 17:57:51
一瞬だけですが、この回で好きな絵があります。
戦い終えてボロボロになったアニをミカサが、ライナーをジャンとコニーが、それぞれ肩で支えて船に向かっていました。
男女の構成からして必然かもしれませんが、かつて最も敵対し合っていた同士の取り合わせです。

さて、マガトの「思いもかけない友人」とは「あの人物」シャーディスでした。
深い友情には共に過ごした長い時間が条件になると考えるのが常識です。
しかし、そうした常識を全く覆すような友情があり得ることが極限的な形で示されています。
彼らが共に過ごした時間は、おそらく10分あるか無いかくらいでしょう。
交わした言葉も、放映されたのがすべてでしょう。
互いの名前を知るのも爆死直前の一瞬。
にもかかわらず、マガトとシャーディスは「生涯の親友」であると言えるでしょう。

本作の基本構造は、調査兵団が海に達するまでのパラディ編(前半部)とマーレ編以降の後半部、あるいはパラディ島とマーレ(特にレベリオ収容区)という二つの世界が、互いに面対称の鏡像となるように構想されています。
短い会話の中で、マガトとシャーディスは互いに相手が、今は心を一つにしている「ストッパーズの子どもたち」の育成者として、「もう一人の自己」であることを知った筈。

ここで忘れてはならないのは、先週マガトがアルミンたちパラディ側のメンバーたちに頭を下げたというエピソードです。
これは、マガトの中に微かに残っていた「マーレ軍元帥の心」を捨て去って、完全に「ストッパーズ」と心を一つにするための「通過儀礼」でした。
そしてこのことがあったからこそ、パラディ側のメンバーはかつての仲間と戦う覚悟を決め、「マーレ(レベリオ)は間に合わない」と挫けそうになったマーレ側のメンバーに対して、ハンジが「マガトの心」を説くことを可能にしたのだと思います。
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