平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない~南紗良×蒔田彩珠ダブル主演! 心が叫びたがっているんだ!

2021年10月01日 | 邦画
 人は誰かに何かを伝えたがっている。

 大島志乃(南紗良)は吃音だ。
 特に母音が先頭に来るとうまくしゃべれない。
 名字の大島は「お」から始まるので、高校初日の自己紹介で名前を言えなくて、
 困った末「しの・おおしまです」と言ってしまう。
 皆から笑われ、完全な高校デビュー失敗だ。
 普通の高校生活を送りたい志乃にしてみれば絶望しかないだろう。

 岡崎加代(蒔田彩珠)は音痴だ。
 ギターを弾き、音楽で自分を表現したいと思っているのに、これは致命的。
 加代の心はささくれ、常にイライラしている。
 周囲に馴染まず、孤高の存在であることが加代のアイデンティティだ。

 菊地強(萩原利久)はうるさくて饒舌だ。
 クラスの人気者になるべく、自己紹介でギャグをかますが、とんでもない下ネタで大滑り!
 こんなことが続いて、周囲の評価は「ウザい」「空気が読めない」。
 結果、菊地はクラスでどんどん浮いた存在に。
 最後にはひとりで弁当を食べるように……。
 実は菊地は中学でも同じ失敗をしていた。
 …………………………………

 生きるって大変だな。厄介だな。

 特に思春期は顕著。
 僕くらいのおっさんになると、神経が図太くなり、
 他人に合わせたり、ゴマかしたり、かわしたりするのだが、若い頃はそれらが出来ない。
 世界と調和していた子供時代は終わり、世界との不協和音が始まる。
 彼らにとって学校はほとんどの生活の場だから、ここで失敗すると絶望しかなくなる。
 まあ、これは多かれ少なかれ、誰もが通る道なんだろうけど。
 僕の場合は、映画館という逃げ場所を作った。

 作品は、こんな3人(特に志乃と加代)が心を通わせる物語。
 志乃と加代はバンドを始める。
 志乃が歌い、加代が演奏する。
 志乃の歌声はきれいで、歌う時は吃音にならないのだ。
 ふたりでバンドをしている時、世界は調和していた。
 最初は部屋の中だけでバンドをしていたが、やがて街に出て歌い始めた。
 街はそれを受け入れてくれて、ふたりは世界とますます調和した。
 しかし、そこへウザい菊地が現れて……。
 菊地の存在で志乃と加代の世界は揺らぎ、やがてふたりはすれ違い始めて……。

『ドラゴン桜』の南紗良さん、
『おかえりモネ』の蒔田彩珠さん、
 ふたりが主演ということで見たんだけど、実によかった。
 南紗良さん、吃音という難しい役を見事に演じ切ったな。
 蒔田彩珠さんは真骨頂。
『モネ』といい、『朝が来た』といい、世界と不調和な役がほんとハマる。

 作品のクライマックスは、
 志乃と加代が自分をさらけ出して、心の中を語るんだけど、これが圧巻!

 では、志乃と加代は互いの心の中をさらけ出すことでわかり合えたのか?
 作品は結論を観客に委ねている。

 僕は、人は完全には理解し合えないけど、ほんの少しは理解し合えると考えた。


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