人は誰かに何かを伝えたがっている。
大島志乃(南紗良)は吃音だ。
特に母音が先頭に来るとうまくしゃべれない。
名字の大島は「お」から始まるので、高校初日の自己紹介で名前を言えなくて、
困った末「しの・おおしまです」と言ってしまう。
皆から笑われ、完全な高校デビュー失敗だ。
普通の高校生活を送りたい志乃にしてみれば絶望しかないだろう。
岡崎加代(蒔田彩珠)は音痴だ。
ギターを弾き、音楽で自分を表現したいと思っているのに、これは致命的。
加代の心はささくれ、常にイライラしている。
周囲に馴染まず、孤高の存在であることが加代のアイデンティティだ。
菊地強(萩原利久)はうるさくて饒舌だ。
クラスの人気者になるべく、自己紹介でギャグをかますが、とんでもない下ネタで大滑り!
こんなことが続いて、周囲の評価は「ウザい」「空気が読めない」。
結果、菊地はクラスでどんどん浮いた存在に。
最後にはひとりで弁当を食べるように……。
実は菊地は中学でも同じ失敗をしていた。
…………………………………
生きるって大変だな。厄介だな。
特に思春期は顕著。
僕くらいのおっさんになると、神経が図太くなり、
他人に合わせたり、ゴマかしたり、かわしたりするのだが、若い頃はそれらが出来ない。
世界と調和していた子供時代は終わり、世界との不協和音が始まる。
彼らにとって学校はほとんどの生活の場だから、ここで失敗すると絶望しかなくなる。
まあ、これは多かれ少なかれ、誰もが通る道なんだろうけど。
僕の場合は、映画館という逃げ場所を作った。
作品は、こんな3人(特に志乃と加代)が心を通わせる物語。
志乃と加代はバンドを始める。
志乃が歌い、加代が演奏する。
志乃の歌声はきれいで、歌う時は吃音にならないのだ。
ふたりでバンドをしている時、世界は調和していた。
最初は部屋の中だけでバンドをしていたが、やがて街に出て歌い始めた。
街はそれを受け入れてくれて、ふたりは世界とますます調和した。
しかし、そこへウザい菊地が現れて……。
菊地の存在で志乃と加代の世界は揺らぎ、やがてふたりはすれ違い始めて……。
『ドラゴン桜』の南紗良さん、
『おかえりモネ』の蒔田彩珠さん、
ふたりが主演ということで見たんだけど、実によかった。
南紗良さん、吃音という難しい役を見事に演じ切ったな。
蒔田彩珠さんは真骨頂。
『モネ』といい、『朝が来た』といい、世界と不調和な役がほんとハマる。
作品のクライマックスは、
志乃と加代が自分をさらけ出して、心の中を語るんだけど、これが圧巻!
では、志乃と加代は互いの心の中をさらけ出すことでわかり合えたのか?
作品は結論を観客に委ねている。
僕は、人は完全には理解し合えないけど、ほんの少しは理解し合えると考えた。
大島志乃(南紗良)は吃音だ。
特に母音が先頭に来るとうまくしゃべれない。
名字の大島は「お」から始まるので、高校初日の自己紹介で名前を言えなくて、
困った末「しの・おおしまです」と言ってしまう。
皆から笑われ、完全な高校デビュー失敗だ。
普通の高校生活を送りたい志乃にしてみれば絶望しかないだろう。
岡崎加代(蒔田彩珠)は音痴だ。
ギターを弾き、音楽で自分を表現したいと思っているのに、これは致命的。
加代の心はささくれ、常にイライラしている。
周囲に馴染まず、孤高の存在であることが加代のアイデンティティだ。
菊地強(萩原利久)はうるさくて饒舌だ。
クラスの人気者になるべく、自己紹介でギャグをかますが、とんでもない下ネタで大滑り!
こんなことが続いて、周囲の評価は「ウザい」「空気が読めない」。
結果、菊地はクラスでどんどん浮いた存在に。
最後にはひとりで弁当を食べるように……。
実は菊地は中学でも同じ失敗をしていた。
…………………………………
生きるって大変だな。厄介だな。
特に思春期は顕著。
僕くらいのおっさんになると、神経が図太くなり、
他人に合わせたり、ゴマかしたり、かわしたりするのだが、若い頃はそれらが出来ない。
世界と調和していた子供時代は終わり、世界との不協和音が始まる。
彼らにとって学校はほとんどの生活の場だから、ここで失敗すると絶望しかなくなる。
まあ、これは多かれ少なかれ、誰もが通る道なんだろうけど。
僕の場合は、映画館という逃げ場所を作った。
作品は、こんな3人(特に志乃と加代)が心を通わせる物語。
志乃と加代はバンドを始める。
志乃が歌い、加代が演奏する。
志乃の歌声はきれいで、歌う時は吃音にならないのだ。
ふたりでバンドをしている時、世界は調和していた。
最初は部屋の中だけでバンドをしていたが、やがて街に出て歌い始めた。
街はそれを受け入れてくれて、ふたりは世界とますます調和した。
しかし、そこへウザい菊地が現れて……。
菊地の存在で志乃と加代の世界は揺らぎ、やがてふたりはすれ違い始めて……。
『ドラゴン桜』の南紗良さん、
『おかえりモネ』の蒔田彩珠さん、
ふたりが主演ということで見たんだけど、実によかった。
南紗良さん、吃音という難しい役を見事に演じ切ったな。
蒔田彩珠さんは真骨頂。
『モネ』といい、『朝が来た』といい、世界と不調和な役がほんとハマる。
作品のクライマックスは、
志乃と加代が自分をさらけ出して、心の中を語るんだけど、これが圧巻!
では、志乃と加代は互いの心の中をさらけ出すことでわかり合えたのか?
作品は結論を観客に委ねている。
僕は、人は完全には理解し合えないけど、ほんの少しは理解し合えると考えた。
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