廃墟。
どうして僕たちはこの場所に惹かれるのだろう?
幽霊が出そうな不安
かつては人がいて会話や笑い声が溢れていたのに、現在は沈黙
諸行無常
虚無
死の空間……
通常の旅番組が、その土地の食などを紹介し、<生>を扱うのに対し、『廃墟の休日』は<死>だ。
『ブラタモリ』は過去にさかのぼるが、切り口は知的・学術的であり、<死>の雰囲気はない。
第3話で紹介されたのは、世界遺産になった長崎県・軍艦島の隣にある<中ノ島>だった。
この中ノ島、軍艦島で暮らす人たちが遊びに来る遊園地であったらしい。
同時に軍艦島で暮らす人たちの火葬場もあった。
遊園地と火葬場が同居しているのが面白い。
しかも、それらの施設、すっかり朽ち果て、自然が侵食して草木が覆い、目の前のオブジェが何であったかよくわからない。
注意して見れば、それがかつて遊園地のすべり台であったことが、かろじてわかる。
劇中、太い木に絡まれたコンクリートの柱が紹介されていたが、これなどは何に使われていたか、地元の人でもわからなかった。
かつては何らかの意味のあったオブジェだったのだろうが、記憶の風化と共ともに意味が失われ、ただのコンクリートの柱になってしまった。
このことを、番組のナビゲーターである俳優の安田顕さんは「遺跡だ」と言っていたが、なるほど、これはもはや<廃墟>でなく<遺跡>なのだ。
英国のストーンヘンジが何に使われていたかわからなくなったように、このコンクリートの柱も遺跡化している。
中ノ島では、自然の力も実感させられた。
島のオブジェを覆い尽くす植物。繁茂する草。絡みつく木。
それらの勢いはまさに人間のちっぽけな営みなど、あざ笑うかのようだ。
都市は自然を管理して排除する人口空間の最たるものだが、いったん人の営みがなくなると、たちまち自然が侵食してくる。
自然は圧倒的な生命力で溢れている。
廃墟は日常で僕たちが目を背けている真実……死や無常や人間の無力や哀しさを感じさせてくれる。
『廃墟の休日』は毎週金曜日・深夜0時52分よりテレビ東京系で放送中。
HPはこちら。
『廃墟の休日』(テレビ東京)
どうして僕たちはこの場所に惹かれるのだろう?
幽霊が出そうな不安
かつては人がいて会話や笑い声が溢れていたのに、現在は沈黙
諸行無常
虚無
死の空間……
通常の旅番組が、その土地の食などを紹介し、<生>を扱うのに対し、『廃墟の休日』は<死>だ。
『ブラタモリ』は過去にさかのぼるが、切り口は知的・学術的であり、<死>の雰囲気はない。
第3話で紹介されたのは、世界遺産になった長崎県・軍艦島の隣にある<中ノ島>だった。
この中ノ島、軍艦島で暮らす人たちが遊びに来る遊園地であったらしい。
同時に軍艦島で暮らす人たちの火葬場もあった。
遊園地と火葬場が同居しているのが面白い。
しかも、それらの施設、すっかり朽ち果て、自然が侵食して草木が覆い、目の前のオブジェが何であったかよくわからない。
注意して見れば、それがかつて遊園地のすべり台であったことが、かろじてわかる。
劇中、太い木に絡まれたコンクリートの柱が紹介されていたが、これなどは何に使われていたか、地元の人でもわからなかった。
かつては何らかの意味のあったオブジェだったのだろうが、記憶の風化と共ともに意味が失われ、ただのコンクリートの柱になってしまった。
このことを、番組のナビゲーターである俳優の安田顕さんは「遺跡だ」と言っていたが、なるほど、これはもはや<廃墟>でなく<遺跡>なのだ。
英国のストーンヘンジが何に使われていたかわからなくなったように、このコンクリートの柱も遺跡化している。
中ノ島では、自然の力も実感させられた。
島のオブジェを覆い尽くす植物。繁茂する草。絡みつく木。
それらの勢いはまさに人間のちっぽけな営みなど、あざ笑うかのようだ。
都市は自然を管理して排除する人口空間の最たるものだが、いったん人の営みがなくなると、たちまち自然が侵食してくる。
自然は圧倒的な生命力で溢れている。
廃墟は日常で僕たちが目を背けている真実……死や無常や人間の無力や哀しさを感じさせてくれる。
『廃墟の休日』は毎週金曜日・深夜0時52分よりテレビ東京系で放送中。
HPはこちら。
『廃墟の休日』(テレビ東京)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます