平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

GANTZ~SFヒーローもののパロディですね

2012年04月27日 | 邦画
 <SFアクションヒーローもの>なんですけど、うまく外している。
 何しろ戦うのが、ネギ星人、田中星人、おこりんぼう星人、大仏星人……。
 出撃の時の音楽は、ラジオ体操のテーマ。
 出撃の命令は「行って下ちい」
 そして、星人を倒した時は人々から拍手喝采されることはなく、ただ点数がつけられるのみで、『存在感なし』『乳揺れすぎ』『岸本見過ぎ』といった論評が加えられる。

 玄野計(二宮和也)たちが戦う目的も定かでない。
 GANTZは「地球侵略を企む宇宙人を退治するため」と言っているが、それが本当かどうかわからない。
 GANTZの作り出すゲーム世界・物語世界で遊ばされているような感じさえ受ける。
 玄野たちは何のために自分たちが戦っているのかを知らず、ただ<生き残るため><星人を倒して得られる点数を得るため>だけに戦っている。
 そして合計獲得点数が100点になると、<記憶を消されて解放される>か<好きな人を生き返らせる>ことが出来るらしい。それもGANTZが言っているだけで本当かどうかわからないが……。

 このように『GANTZ』は<SFヒーローアクションもの>のパロディである。
 戦う理由がわからないというのは最近、正統派ヒーローアクションものでも見られるようになったが、ヒーローの戦いぶりに点数がつけられたり、論評が加えられたりすることはない。
 ましてネギ星人、田中星人って……、全然カッコよくない。

 <ファンタジーもの>のパロディでもある。
 ファンタジーものでは、現実の人間が異世界にやって来て悪と戦うというのが常道だが、玄野たちもGANTZに導かれて異世界に連れてこられたような感じだ。

 また、この作品、<力を持ってしまった人間がどのように変貌するか>も描かれている。
 特殊スーツの力で抜群の戦闘能力を持ってしまった玄野。
 彼は「自分には果たすべき役割がある」「ヒーローになるのは自分しかない」「みんなを救い、導くのは自分だ」と自惚れ、過信する。
 現実において無力で、存在感の希薄な人間が力を持った時、どのような心理状態になるかのいい例だが、これもまた従来のヒーロー像へのパロディである。
 ヒーローアクションもの、ファンタジーものの主人公たちは、特殊な力を持った時、玄野と同じように「自分こそが世界を救うヒーローだ」と確信する。スパイダーマンしかり、「ナルニア物語」や「ネバーエンディングストーリー」の主人公しかり。
 しかし玄野の姿を見ていると、正義のために戦おうとしている主人公たちって単に「自分の力に酔って自惚れているだけじゃん」と思えてくる。

 さて本日、続編「GANTZ PERFECT ANSWER」がオンエアされるが、どのような真実が明らかになるのだろう。
 いずれにしてもエンターテインメントは、「ウルトラマン」や「月光仮面」のような単純明快さには戻れないようだ。



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