平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ビブリア古書堂の事件手帖 第11話 恋人たち~本の話をする栞子とそれを聞く大輔

2013年03月26日 | 推理・サスペンスドラマ
 マニアックですね~
 『江川蘭子』『空中紳士』『殺人迷路』……!
 『押絵と旅する男』には破り捨てられた初稿があった!
 『二銭銅貨』の『新青年』版の暗号は間違っていた!
 ぼくも乱歩ファンでしたが、全然知らなかった。つーか、浅い。

 世の中には、こんなマニアックな人たちがいる。
 マニアックにのめり込む人がいる。
 今回のエピソードで言えば、死んだ鹿山明と来城慶子。
 そして、彼らの論理はふつうの一般人には理解できない。
 何しろ金庫を開けるプロセス自体が、乱歩の世界に入り込むための仕掛けであり、贈り物なのだから。
 それが愛の証しなのだから。
 フツーなら、こんな手の込んだことはせず、素直に金庫を開けて、中の物を愛する人に渡しますよね。
 おまけに、金庫の中にあったのは、慶子をイメージした『押絵と旅する女』。
 フツーなら、こんなまわりくどいことをせずに、素直に手紙を書く。
 でも、鹿山はそれをせず、あくまで乱歩世界にこだわる。
 慶子もそれを喜んでいる。
 こだわりを共有すること自体が、鹿山と慶子の愛。

 一方、こんなマニアックな愛と比べて、栞子(剛彩芽)と大輔(AKIRA)の関係はどうだろう。
 栞子には、鹿山や慶子に通じるマニアックな性向がある。
 それがない大輔は、今回の事件でこんなふうに悩んだに違いない。
 栞子には、本に対してマニアックな男性の方がふさわしいのではないか?
 栞子は鹿山と慶子のような恋愛をしたいのではないか?
 だから、がんばって『押絵と旅する男』を読もうとしたし、朝、古書堂に出勤した時、いつもの場所に栞子がいなかった時、彼女は本の世界に行ってしまったと考えた。
 しかし、栞子はいた。
 栞子には、本に対してマニアックな男性よりも、本の話を聞いてくれる大輔の方が合っているんですね。
 おそらくふたりは、鹿山と慶子とは違った形の愛を育んでいくのだろう。

 栞子と母・智恵子(安田成美)の関係についてはどうだろう。
 今回、栞子は智恵子にことごとく惨敗した。
 ずるさにおいても、洞察力においても。
 おそらく智恵子は、本に対する執着が栞子よりも強いのだろう。
 だから読みたい本のために家族を棄てられる。
 一方、栞子は、母ほどの執着はないから、今回、見事に惨敗してしまった。
 そして、大輔を棄てて、本の世界に行くことはなかった。
 おそらく栞子にとっては、本よりも大輔の方が大切なんでしょうね。
 自分の本の話を熱心に聞いてくれる大輔は、どんな本にも勝る、かけがいのない存在。

 <ビブリア古書堂のいつもの場所で、本の話をする栞子とその話を聞く大輔>。
 穏やかで静かな時間を過ごすふたり。
 どこか微笑ましくて、しっくり来る。



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