全領域異常解決室～日本神話をベースにした伝奇ミステリー。現代における神とは何なのか？

　日本社会には、人間の体を依り代にした「八百万の神」が存在していて人間社会を守っている。

『全領域異常解決室』（フジテレビ系・水曜22時）。
　この作品は『古事記』『日本書紀』の神話をベースにしたドラマだ。

　前半は「神隠し」「狐憑き」「タイムホール」「千里眼」「人魚」といったオカルト現象を現実的・科学的に解決するミステリードラマだったが、後半は神々の戦いのドラマになっていった。
　人間に絶望した神・蛭児（ヒルコ）が神々に反旗を翻し、八百万の神々を屠っていくのだ。
　ちなみに神話における蛭児とは──
『イザナキ（伊耶那岐命）とイザナミ（伊耶那美命）との間に生まれた最初の神。
　子作りの際に女神であるイザナミから先に男神のイザナキに声をかけた事が原因で不具の子に生まれたため、葦船に入れられオノゴロ島から流さてしまう』（ウィキペディア）
　作品では、この蛭児とは何者なのかがメインテーマになって描かれる。

　そんな蛭児と戦う神々は──

・興玉雅（藤原竜也）
　　興玉神（オキタマノカミ）～人から漏れ出す善意や悪意を見定める特殊能力がある。
　　天石戸別神(アメノイワトノワケノカミ)～黄泉戸を守る。
・雨野小夢（広瀬アリス）
　　天宇受売命（アメノウズメノミコト）～踊りが得意で呼び鈴で相手を帯び出せる能力を持つ。
・宇喜之民生（小日向文世）
　　宇迦之御魂神（ウカノミタマノカミ）～稲荷の神・五穀豊穣の神。
・芹田正彦（迫田孝也）
　　猿田毘古神（サルタビコノカミ）～道案内の能力を持つ。
・豊玉妃花（福本莉子）
　　豊玉毘売命（トヨタマビメノミコト）～海神の娘・水を自在に操る能力を持つ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　など。
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　いいですね、こういう壮大な物語！
　僕はちょうど日本神話に興味を持っていたので見事にハマりました。

　今までのミステリードラマでは、オカルトや超常現象が起きても科学的・現実的に解釈されて終わりだったが、今作ではそれだけでは解釈できないはみだしたものに焦点を当てている。
　蛭児現象で不安になったり熱狂したりする大衆心理・ネット世界にも着目している。
　蛭児現象を目の当たりにして大衆は「蛭児という神」を信じ始めている。
　この作品は、
・現代における神とは何なのか？
・神はいかにして作り出されるか？
　を、サブテーマにしているように思える。

　さて、蛭児とは何なのか？
　現代の神とは何なのか？

　ちなみに僕はＡＩだと考えている。
　ビッグデータをつかさどるＡＩが神々を屠り、人間を操り、人間社会を支配しようとしている。

　脚本の黒岩勉さんがどのような答えを提示してくれるか、楽しみだ。