安倍首相の施政方針演説を考えてみた～要するに＜富国強兵＞をやりたいんだよね？

　２月12日におこなわれた安倍首相の施政方針演説について考えてみた。

★「日本を取り戻す」そのためには、「この道しかない」
　こう訴え続け、私たちは、2年間、全力で走り続けてまいりました。
　先般の総選挙の結果、衆参両院の指名を得て、引き続き、内閣総理大臣の重責を担うこととなりました。
「安定した政治の下で、この道を、さらに力強く、前進せよ」
　これが総選挙で示された国民の意思であります。

　いやいや、安倍自民党を支持したのは、全国民の25％くらいですから。
　国民の半分は、年末の忙しい時期におこなった、税金の無駄遣いの選挙にシラけて棄権。

　それにもし、安倍さんが＜総選挙で示された国民の意思＞で自分の正当性を主張するなら、＜総選挙で示された沖縄の意思＞も尊重して下さいよ。
　翁長沖縄県知事には面会せず、辺野古基地建設は強行。
　自分はOKで、沖縄はダメでは筋が通らない。

　あとは「日本を取り戻す」って言葉。
　安倍首相には＜国民＞ではなく、まず＜国＞って発想がある。
　どんな日本を取り戻そうとしているかも具体的に説明してほしいものだ。

★明治国家の礎を築いた岩倉具視は、近代化が進んだ欧米列強の姿を目の当たりにした後、このように述べています。
「日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心を一つにして、国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になることも決して困難ではない」
　明治の日本人にできて、今の日本人に出来ない訳はありません。今こそ、国民と共に、この道を、前に向かって、再び歩み出す時です。皆さん、「戦後以来の大改革」に、力強く踏み出そうではありませんか。

　＜国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になる＞
　またまた出ました「国」って言葉。
　岩倉具視の言葉を引用してくるあたり、やっぱり安倍さんがやろうとしている政策は明治の＜富国強兵＞。
　第一次世界大戦に日本が参戦したように、平成の今の時代でも軍事面で世界で活躍したいというのが安倍さんの本音か？
　戦前の日本は国際連盟の常任理事国でもあったしね。
　安倍さんが取り戻したいのは、戦前の日本なのだろう。

　昨日、報ステで古賀茂明さんが言っていたけど、僕も国のモデルを挙げるなら、敗戦後、見事な復興を遂げた戦後の日本を挙げるけどな。

★この国会に求められていることは、単なる批判の応酬ではありません。「行動」です。「改革の断行」であります。日本の将来を見据えながら、大胆な改革を、皆さん、実行しようではありませんか。

　安倍さんは＜自己愛人間＞だから批判が嫌いなんですよね。
　この言葉がそのことを見事に表している。
　批判がなければ、権力は暴走する。やりたい放題になる。
「待てよ、もしかしたら、この道は間違っているかもしれないな」と立ちどまって考えることがなくなる。
　でも、安倍さんは『この道しかない』って人だから、批判を嫌い、排除して、ただひたすら自分の道を突き進む。
　問題解決には、さまざまな方法があるはずなんだけどね。
　もし、安倍さんが行こうとしている道の先に崖があったらどうするつもりなのだろう？

★本年こそ「積極的平和主義」の旗を一層高く掲げ、日本が世界から信頼される国となる。戦後70年にふさわしい1年としていきたい。そう考えております。

　だから、その「積極的平和主義」って何なのかを説明して下さい！
　それがもたらすマイナスも。
　現にそのせいで後藤さん、湯川さんが殺害され、海外の日本人がテロの標的になることになったんだから。
　この首相はまったく本当のことを語らないな。
　「積極的平和主義」って聞こえはいいけど、海外でアメリカといっしょに戦争するってことでしょう？

★日本の未来を切り開く。そのために、「戦後以来の大改革」を、この国会で必ずや成し遂げようではありませんか。
　今や、日本は、私たちの努力で、再び成長することができる。世界の真ん中で輝くことができる。
　その「自信」を取り戻しつつあります。
　さあ皆さん、今ここから、新たなスタートを切って、芽生えた「自信」を「確信」へと変えていこうではありませんか。

　出ましたよ、またしても＜日本＞。
　おまけに＜世界の真ん中で輝く＞って言葉付き。

　安倍首相の頭の中にあるのは完全に＜富国強兵＞。
　経済的にも軍事的にも国際政治的にも＜世界に誇れる国家＞。
　自己愛の延長としての国家。
　それが今回の施政方針演説で明らかになった。

　ささやかでも国民全体が幸せに暮らしていける国。
　格差のない平和な国。
　こんな地に足のついた国の形を語る政治家はいないのだろうか？