平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「虎に翼」~今、僕たちが享受している権利は、過去のさまざまな人の思いの果てに生まれたものなのだ

2024年06月05日 | その他ドラマ
 憲法について考えさせられるドラマだ。
 戦前の「大日本帝国憲法」下、女性の権利は少なかった。
 女性は男性に従うものだった。
 男性だって無理をしていた。
 男は家の大黒柱にならなくてはならない。
 弟・直明(三山凌輝)はこのことに囚われていた。
 家の大黒柱の男たちは「国家」という家も支えなければならず、赤紙で戦争に行かされた。

 そんな世が終わり発布された「日本国憲法」。
 寅子(伊藤沙莉)は新憲法を読んで心をふるわせる。
 第十四条
『すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
 政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない』

 まだまだ不十分だが、現在僕たちが当たり前のように享受している権利は、
 戦前、戦中の人たちのさまざまな思いの果てに生まれたものなのだ。
 よねさん(土居志央梨)、涼子(桜井ユキ)、梅子(平岩紙)、崔香淑(ハ・ヨンス)──
 彼女たちは自らの権利を求めて闘い、学び、最後には挫折した。
 彼女たちのことを思うと、今享受している権利がかけがえのないものだと実感する。

 だから僕たち大人はこれを守って、後の世代に残さなければならない、と思う。
 ………………………………………………………

 さて寅子。
 現在は「民法」作成のために動いている。
 かつての「はて?」は影を潜め、「すん」状態だが、いずれ自分を取り戻すだろう。

 課題は、ラディカル(終審的)な改革なのか? ゆっくりとした(保守的な)改革なのか?
 アメリカは戦前の家族制度をラディカルに壊そうとしている。
 寅子の考えもそれに近いようだ。
 だが、それに不安を覚えている花江(森田望智)のような存在もいる。
 ここで立ち止まって花江に目を向けられるようになった寅子は少し大人になった?
 上手い作劇だと思う。
 果たして寅子はどのような結論を出すのか?

『夫婦別姓』『LGBTの婚姻』『共同親権』など、民法的なテーマは現在の重要な問題である。
 そこに横たわる、リベラルと保守の対立。
 確かに急激な改革は社会に混乱をもたらす。
 だが、一方でこの制約で苦しんでいる人もいる。
 『虎に翼』はこのテーマをどのように扱うのか?

 いずれにしても
 現在の「民法」が、寅子たちのような人々の熟考と葛藤の末につくられたことがわかる。
 僕たちの現在がこうした先人たちの知恵と努力の結果、うまれたものだとわかる。


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