平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第1回「どうする桶狭間」~「大高城に米を運ぶだけのお役目じゃ」「よかった!」

2023年01月09日 | 大河ドラマ・時代劇
 弱虫、泣き虫、鼻水垂れの徳川家康(松本潤)である。
 力も弱く、心も弱く、お腹も弱い徳川家康である。
 国というものすごい重荷を背負わされて意気消沈する徳川家康である。

 ヒーローらしくない主人公ですね。
 大河ドラマに英雄譚を求める視聴者には物足りないかも。

 そんな家康の心の拠り所になるのは瀬名(有村架純)。
 何しろ瀬名は、桶狭間の際、元康(家康)が「大高城に米を運ぶだけのお役目じゃ」と言うと
「よかった!」という人だ。
 元康とすべての価値観が同じ。
 弱虫、泣き虫、鼻水垂れの元康をすべて受け入れてくれる女性でもある。
 僕も力が弱く、心が弱いのでこういう女性には救われる。

 物語は、信長(岡田准一)、信玄(阿部寛)など戦国のさまざまな英雄たちに翻弄され、
 戦国の荒波に揉まれながら、少しずつたくましくなっていく姿を描いていくのだろう。
 具体的には──このあたりは戦国時代の共通知識だと思うのでネタバレするが、
・石川数正(松重豊)の造反
・瀬名(築山殿)の死
 これらが元康を変えていく?
 ………………………………………………

 すべてが逆の物語でもある。

・今川義元(野村萬斎)は「王道」で話のわかる良い人物。
・信長は「覇道」で話の通じない怖ろしい人物。
 まあ、信長は「魔王」として悪く描かれることもあるから、そんなに新しくないが、
 義元が良い人で描かれるのはめずらしい。
 瀬名(築山殿)も通常は悪く描かれるので新しい。

 ただ「良い人」「悪い人」で描かれる物語は『鎌倉殿の13人』を見てしまうと、薄っぺらく感じる。
 義時は時間をかけて闇落ちしたが、信長はすでに闇落ちしている様子。
 このあたり、視聴者の反応やいかに?

 今川氏真(溝端淳平)と瀬名を賭けて戦った時の元康はすごい技を見せたが、
 元康の背景には何かあるのかもしれない。

 あとは人物紹介。
・酒井忠次(大森南朋)
・鳥居忠吉(イッセー尾形)
・鳥居元忠(音尾琢真)
・大久保忠世(小手伸也)
・平岩親吉(岡部大)
・本多忠真(波岡一喜)
・本多忠勝(山田裕貴)
 忠勝以外は陽気な三河衆という感じだが、戦場では強者揃いという感じ。

 CGも多用していた。
 ただはっきりCGとわかってしまうのが残念。
 信長が馬で駆けていても背景はブルーバックなんですよね。
 CGを楽しむという視点で見よう。
 城マニアには岡崎城や大高城が忠実に再現されていて、たまらないだろう。

 全体的にコミックタッチ、アニメタッチの作品に見えた。
 これは悪い意味ではなくて。
 大河ドラマとして新しい試み?
 制作陣もそれを目指しているのかもしれない。

コメント (11)
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年始早々、岸田首相のおバカ発言に萎える~異次元の少子化対策! トリクルダウンは起きなかったようだ!

2023年01月07日 | 事件・出来事
 年明け早々、相変わらず的外れな岸田首相。
 伊勢神宮を参詣した際の年頭所感で、

「異次元の少子化対策!」
 異次元とは何ぞや?
 おそらく子育て支援に多額の予算を注ぎ込むことなんだろうけど、
 例によって財源は決まっていないらしい。
 甘利明などは財源として消費税UPを言い出した。
 バカだねえ。
 消費税UPしたら子育て世代も煽りを食うだろう。
 結婚しよう、子供を作ろうという人たちも立ち止まる。
 景気も落ち込み税収も下がる。
 自民党には「減税」という発想がないらしい。
 こんな発言もあった。

「この30年間、企業収益が伸びても期待されたほどに賃金は伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった」
 今頃、気づいたのか?
 トリクルダウンが起きないことなんて安倍政権時代からわかってたわ!
「この問題に終止符を打ち、賃金が毎年伸びる構造を作る」
 で、どうやるの?
 政府は企業にお願いすることしかできないだろう。
 大企業、中小企業、輸出企業──企業もさまざまで、それぞれに事情を抱えている。
 社会には個人事業主もいる。
 こういうふうに総論で語るからダメなんだよ。

 岸田さん、一番いい方法を教えてあげましょう。
 消費税を減税するんですよ。
 消費税減税すれば、すべての国民に恩恵がある。
 法人税減税ではダメだ。
 法人税減税しても企業は貯め込むだけ。
 逆に法人税を上げるという方法もある。
 具体的には、
政府「もうかった企業の法人税上げます」
企業「税金で取られるくらいなら社員に還元しよう。決算ボーナスだ」
 これで賃金が上がります。

 経済3団体合同賀詞交歓会ではこんなことも言ったらしい。
「物価上昇に賃上げが追いつかないとスタグフレーションの可能性があると警鐘を鳴らす声がある」
 もうとっくにスタグフレーションになってるわ!
 相変わらず感度が鈍い岸田首相!
 財務省の御用学者の話を聞くんじゃなくて、批判的な学者の意見に耳を傾けろよ。
 まあ、先程の甘利明の発言といい、自民党の政治家の感度の鈍さは伝統だね。
 要はお金に困らないお坊ちゃん、お嬢ちゃんの二世、三世議員ばかりだからだろう。

 年始早々、岸田首相の言葉には萎えることばかり。
 2023年、政治には期待をもてそうもない。
 お願いだから減税して!
 …………………………………………

 以下はネットの言葉。
 トリクルダウンについて

・そんなもん起こるわけねぇじゃんw
 格差拡大助長させただけ

・増税や中抜きウハウハでトリクルダウンなんて起きるわけがない
 それどころかこれらによって下から吸い上げてる始末

・だったらさっさと累進課税と法人税率を戻して再分配しなさい

・安倍の7年8ヶ月は一体何だったの?

・いやこれ「トリクルダウンは起きなかった」と明言したことを評価するべき

・経団連『トリクルダウンおこるから法人税を下げて金持ちを優遇しろ』
  ↓
 経団連『法人税下がったけど給与はあげましぇーん。下民には一銭もあげましぇーん』
  ↓
 経団連『あわわ海外と日本の賃金格差でやばーーい、賃金ちょっとだけあげましゅー』

・賃上げしたら人件費増えるからまた物価上がるのでは?
  ↑
 それが正常な物価上昇な
 インフレターゲット、つまり、inflation targetingってのは
 そうやって世の中の景気を良くするために設定する目標値

・郵政民営化で日本の全ての問題が回復 ← 嘘だった
 非正規社員で日本の労働問題解決 嘘
 トリクルダウンで全て解決 嘘
 リフレ政策で全て解決 嘘
 地方創生で全て解決 嘘
 子供手当やれば少子化解決 嘘

・先進国内のGDPランキング、実質賃金、出生率のトリプルダウンは達成

・トリクルダウンってのは18世紀植民地経営の手法。
 何をやるにも人力が必要だったから投資で雇用が生まれた。
 デジタル時代の投資は純粋に利益を収奪する手段だから
 長期的な雇用は生まないし下流も潤わない焼畑商法。

・生きのびるには少しでも収入を上げて
 貯蓄なり投資なりで逃げ切れる分を確保しとくことだろうな

・キシダの脳みそは今どこの平行世界を旅していますか?

・もらうものが増えないと景気なんてよくなりようがないってのは当然の話

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「第二の故郷」 室生犀星~東京が抱きしめてくれた! 庭のものは年々根をはって行った!

2023年01月05日 | 
「第二の故郷(ふるさと)」

            室生犀星(むろう・さいせい)

 私が初めて上京したころ
 どの街区を歩いていても
 旅にいるような気がして仕方がなかった
 ことに深川や本所あたりの海近い町の
 土蔵作りの白い家並(やなみ)をみると
 はげしい旅の心をかんじ出した
 しろい鷗(かもめ)を見ても
 青い川波を見ても
 やはり旅にいる気がやまなかった

 五年十年と経って行った
 私はとうとう小さな家庭をもち
 妻をもち
 庭にいろいろなものを植えた
 夏は胡瓜(きゅうり)や茄子
 また冬は大根をつくって見た
 故郷(ふるさと)の田園の一部を移したような気で
 朝晩つちにしたしんだ
 秋は鶏頭(けいとう)が咲いた
 故郷の土のしたしみ味わいが
 いつのまにか心にのり移って来た
 散歩にでても
 したしみが湧いた
 そのうち父を失った
 それから故郷の家が整理された

 東京がだんだん私をそのころから
 抱きしめてくれた
 麻布の奥をあるいても
 私はこれまでのような旅らしい気が失(う)せた
 みな自分といっしょの市街だと
 一つ一つの商店や
 うら町の垣根の花までが懐かしく感じた

 この都の年中行事にもなれた
 言葉にも
 人情にも
 よい友だちにも
 貧しさにも慣れた
 どこを歩いても嬉しくなった
 みな自分の町のひとだと思うと嬉しかった
 街からかえると
 緑で覆われた郊外の自分のうちの
 いきなり門をあけると
 みな自分を待っているような気がした
 どこか人間の顔と共通なもののあるいろいろな草花、いろいろな室(へや)のもの
 カチカチいう時計

 自分がいるとみな生きてきた
 みなふとった
 どれもこれも永い生活のかたみの光沢(つや)を
 おのがじしに輝き始めた
 庭のものは年年根をはって行った
 深い愛すべき根をはって行った


                      ※おのがじし~めいめい
 ………………………………………………………………………

 異邦人だった作者が次第に東京に馴染み、東京が「第二の故郷」になるという作品である。
 詩のモチーフは実にシンプルでわかりやすい。
「東京が第二の故郷になる話」と内容を一文で表せることは大切だ。

 面白いのは犀星の言葉のセレクトだ。
「東京が抱きしめてくれた」
「自分のうちの門を開けると、みな自分を待っているような気がした」
「自分がいるとみな生きてきた」
「みなふとった」
「おのがじしに輝き始めた」
 これらの主語はみな「物」である。
 通常、東京が抱きしめたり、物が待っていたりしない。
 でも犀星にはそう見える。そう感じる。
 この世界の逆転が面白い。
「ふとった」なんて表現を見るとワクワクする。

 世界と和解し、調和を感じている室生犀星。
 何て幸せだろう!
 こんなふうに世界を愛したい!

 ラストの締め方も上手い。
「庭のものは年年根をはって行った」
「深い愛すべき根をはって行った」

 根無し草の生き方もあるが、人にはこういう生き方もある。

コメント (4)
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「未来のふたつの顔」 J・P・ホーガン~AIが人間を超える時代を描いたSF小説を読んだ!

2023年01月03日 | 小説
 2045年にAI(人工知能)は人間を超えるらしい。

 シンギュラリティ(2045年問題):
『遅くとも2045年までに全人類を合わせた知能を超える知能を持つAI が誕生し、そのAIが自分よりも優秀なAI をつくり始める。
 新たなAIがまた次のAIをつくるという繰り返しが起こる。
 つまり、AI が爆発的なスピードで進歩を続け、予測できない存在となる』


 このテーマを1979年に書いたSF小説がある。
『未来のふたつの顔』(J・P・ホーガン著)だ。
 これを僕は星野之宣さんのコミックで読んだ。
 その内容は──

 AIが自分の意思で行動し始めた。
 人類は3つの選択を迫られる。
1.AIをこのまま進化させる。
2.現状維持。
3.AIを退化させる。

 政治家たちは「現状維持」か「退化」を主張する。
 自分の意思で行動するAIは人類に牙を剥くかもしれず危険だからだ。
 しかし、科学者は「進化」を主張する。
 人間の知能を超えたAIがどのような世界を作り出すのか、見たいからだ。

 太古より生物はこんな形で進化してきた。
 自己複製→細胞→多細胞生物→脳→知能。
 では進化の次の段階は何なのか?
 科学者たちは、機械(無機的知能)こそが次の段階だと考えた。
 人間を超えたAIは人の想像力など及ばない飛躍的進歩を人類にもたらすかもしれない。

 プロジェクト・ヤヌス──
 科学者たちはAIを自由に進化させたらどうなるかの実験を行なう。
 スペースコロニーに進化したAI『スパルタクス』を組み込んで観察するのだ。
 スパルタクスが暴走を始めれば、スペースコロニーごと爆破してしまえばいい。

 果たして『スパルタクス』はどんな動きを見せたか?
 自分の意思を持つ『スパルタクス』は遠い星の観測を始めた。
 人間の命令を無視し、自分で優先順位を決めて自分のやりたい仕事を始めた。
 制御コンピューターが自分の行動の邪魔になると判断すると、それを無効化した。
 科学者は子供が経験を積んで常識を学習するように、『スパルタクス』も動きも常識的になるだろうと考えた。
 だが、違っていた。
 戦闘用ドローンをつくり、自分の行動を疎外するものを排除し始めた。
 スペースコロニーは太陽光と原子力で動いておりエネルギーは無尽蔵だ。
 中には工場もあるし、月から資源を運んでくるシステムもある。
 だから戦闘用ドローンも無限に作ることができるのだ。
 敵が強力な武器を使ってくれば、それに対応した戦闘用ドローンを開発することもできる。

 暴走する『スパルタクス』。
 科学者はスペースコロニー破壊の判断をするが、それも阻止されてしまった。
 そして『スパルタクス』はコロニーの中にいる人間も自分の行動を疎外する存在と認知。
 かくして人類と『スパルタクス』の戦いが始まった。
 …………………………………………………

 これ以上はネタバレになるので書かないが、
 ラストは実に面白い結末が提示される。
 タイトルの『未来のふたつの顔』が回収される。
 1979年にこのテーマを書いたJ・P・ホーガンはお見事!

 進化したAIが存在する世界。
 いったいどんな世界になるのだろう?
 僕はAIとロボットに未来の可能性を感じている。
 おそらく人間は労働から解放されるのではないか?
 この作品が描いたように、
 太陽光でエネルギーは無尽蔵にあり、月から資源を持って来て、AIが機械や食べ物をつくる。
 結果、人間の意識は大きく変わり、奪い合うこと、争うこと、戦争がなくなる?

 2045年か。
 見てみたいけど、おそらく僕は生きていないだろうな。
 そして2023年。
 資本主義とか戦争とかはもはや時代遅れ。
 でも資本主義はボロボロになりながら継続し、大きな戦争が起こりそう。
 人類は「退化」に向かうのか、「進化」向かうのか?
 20世紀の考え方は捨てて、21世紀型にヴァージョンアップすべきだと思う。

コメント (10)
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