フォンテーヌの家  わたしのつぶやき

横浜市南区で趣味の会[フォンテーヌの家」 

江國香織著「がらくた」を読んで。

2012-09-19 18:10:15 | 読書会
9月19日 水曜日 雨のち晴れ

朝から強い雨が降って居ました。今日は10時から読書会です。
電車とバスを乗り継いで来られる方も居られますが、中止にするわけにも出来ず困って居ましたら、
当人から「遅れても行きます」と電話がありました。ほっとしました。

今日の読書会は江國香織著「がらくた」を読みました。
メンバーの方々全員、違和感を感じたとか、読むのも嫌だったとか、さんざんでした。
平均年齢70歳くらいの読書会メンバーには、登場人物、書かれている内容等、理解し難いようです。

正直、わたしも違和感を感じ、著者は何を言いたいのかを探しながら読み続けました。
「がらくた」という題名と表紙の絵を、読む度に眺めて居ました。

一般的な人と比べますと、経済的に恵まれ教養もあり感性豊かな人たちを描いています。
その人たちの生活、心の動き、夫婦愛、親子関係など、すべてに違和感を感じました。
何度も何を言いたくてこの本を書いているのかしら、と反芻していました。

小説の結末にも、メンバーたちもわたしも納得出来ず気持ち的に落ち着きませんでした。
読み終えて10日ほど過ぎて、ふと気がついたのです。
もしかして、この小説に登場してくる人達全員を、著者は「がらくた」と言っているのでは?と。

小説も表紙絵も「実」では無く「虚」を描いているのでは?
そのような見方をしますと、寒色で描かれた表紙の絵も納得出来ます。
メンバーもそのように感じたようです。

メンバーそれぞれが、お互い違和感を持って読んだ本を、改めて振り返り感想を言い合い、
それ自体がとても良い時間になりました。
普通は、読んだ結果の話で終わるのですが、著者の意図を此処まで深く考えたことは珍しいです。

結果的にとても良い本に巡り会えていたのです。
有意義な会になりました。
散会する頃にはすっかり雨も上がり、薄日が差し始めていました。
コメント
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