出身大学による生涯年収は歴然です。以下の記事を読めば、サラリーマンになるのであれば中高一貫から慶応義塾大学が理想です。逆に言えば創業者、スポーツ選手、職人希望であれば行くべきではない。ただ、今後は学歴よりも他の追随を許さない積み重ねの経験が重要視されるでしょう。人より優れたければ、お金と継続する努力が必要なのです。
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受験のシーズンたけなわだ。東京都でいうと、2月1日に多くの私立の中高一貫校が入試を始め、23日は都立高校の入試日で、現在は国立大学の入試日程だ。
近年、勤労者の実質所得が伸び悩む一方、教育費は着々と高騰している。地域によって教育事情は異なるが、教育費の負担が重いと感じている親が少なくない。
東京地区で、私立の中高一貫校、さらに大学(最近は私大と国立大の費用が大きくは違わない)の学費を考えると、小学5年生くらいからの塾代も含めて子供1人当たり大まかに1500万円くらいかかる。
親にとって大きな負担であり、子供が2人いる家庭では、教育費をおおらかに払うと、親の老後資金が足りなくなることが多い。投資として考えて教育費はペイするのかが気になるところだ。
日本経済新聞社の「NIKKEI STYLE」というサイトの記事を見ると、2013年の調査で高卒と大卒の生涯年収を比較すると大卒が4600万円多い。大卒平均の生涯年収は約2億8700万円だ。ちなみに、記事の推定による生涯年収は、早稲田大学卒で3億8800万円、慶応義塾大学卒で4億4000万円、東京大学卒では4億6100万円とのことだ。もちろん、子供自身の適性によるところが大きいのだが、有名大学に入りやすい中高一貫校を目指す教育費の投資には「平均値として」十分な期待収益がありそうだ。
世間的に高い学歴を目指し、それに適合するように教育費をかけて、生涯年収の増加でそれを回収するという「投資」は、まあまあ勉強はできるけれども、それ以外に突出した才能がない「普通の秀才」にはペイする投資だと言っていいだろう。
問題は、教育費の主な負担者は親であり、教育を受けることの主な受益者は子供である、という負担と受益のずれだが、親が満足して教育費を支出するならそれで結構だ。また、前週の当コラムで書いたように、低金利の現在、奨学金で大学の費用を賄うのは「計算の立つ、許容できる借金」だ。親子で返済の方法と条件を話し合うといい。
一般に、教育への投資はより早くに行うことが有効だ。端的に言って、若い頃の方が吸収力があるし、スキルをより長く有効に使うには、より早くこれを身に付けたい。
オリンピックや将棋などで活躍している若者のトレーニング過程を見ても、早期の投資の効果は明らかだ。学業以外の分野に投資するのも早い方がいい。近年、「人生100年時代」が流行言葉で、高齢期に働けるキャリア・プランに注目が集まっているが、長い人生をより有効に使う上でも早期の教育投資は有効だ。それにしても、わが国は子供の教育にもっと公的費用を掛けるべきだ。教育費は十分ペイする投資なのだから。(経済評論家・山崎元)