「希望の党」小池代表は衆院選を「政権選択選挙」と位置づけたまま、首相候補を掲げずに選挙戦に臨むようです。分かりずらい、獲得議席によって自民党内の反安倍陣営と連携する腹積もりのようですが、石橋氏や野田氏はここまで、名指しされると選挙後、裏切り分子として党内での立場が弱くなりそうです。公約として掲げたものは安倍首相の消費税の使い道を逆手にとり「まず、消費税の増税を凍結する」しかし、代替財源についての主張には不透明感も漂う。希望は公約で、大企業の内部留保への課税検討を盛り込んだが、自民党を除名された中山成彬元文部科学相が発案したと自ら名乗り出た、二重課税の疑いが濃厚で急ごしらえの感、実現性に疑問符がつく。小池代表は思い付きで、色々な人の意見に飛びつくが、失敗してもリセットすれば元に戻せると考えているのなら大間違い。自民党としては、攻めには強いが、守りに疑問符が付く小池代表に対しては政策論争や内部から切り崩すのが得策でしょう。いずれにしても、自民党は消費増税を掲げ、対する野党は消費税凍結を掲げているので単純に考え大勝は出来ないと思います。
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大多数の国民が「何が何だかまったく分からない」といぶかる10.22衆院選だが、すでに10日の公示を前に全国各小選挙区で立候補予定者たちが鉢巻・たすき掛け姿で有権者に支持を訴えている。
「図りに図って」解散を仕掛けたはずの安倍晋三首相が「想定外」とつぶやく"大乱戦"に持ち込んだのは、小池百合子東京都知事と前原誠司民進党代表の意表を突いた選挙戦略だ。野党第1党の民進党を飲み込んだ小池氏を代表とする希望の党は、「安倍1強打倒」を旗印に衆院過半数(233)の公認候補を擁立して「政権交代」のアピールを狙う構えだ。
しかし、希望系と民進系の雑居状態となった公認候補の顔ぶれをみると、多くは「ずぶの素人」か「議席が欲しいだけの風見鶏」とされ、確たる政治理念や政策は浮かんでこない。しかも自公政権と対峙するはずなのに、公明党公認候補や自民党内の「小池氏の友人」が出馬する各小選挙区への対立候補擁立を避けているため、「選挙後の自民との大連立への布石」との噂も広がる。自らの出馬を「100%ない」と言い続けることも含めて、まさに「疑心暗鬼で敵も味方もかく乱する小池流」(自民長老)だ。
ただ、"身売り"決断で批判にさらされる前原氏と小池氏の「蜜月」は変わらず、枝野幸男元官房長官を代表とする民進リベラル系の立憲民主党結党も含めた野党再編劇も、前原氏は「すべて想定内」と語った。5日昼の小池・前原会談では、安倍1強打倒のため公認候補のさらなる積み上げを確認する一方、小池氏は自らの出馬を改めて否定。その上で、選挙後の特別国会での首相指名候補については「希望の党の結成メンバーと協議する」と結論を先送りした。
ツーショット会見で「都知事続投」示唆するスカーフ
最終日の都議会審議の直前に都庁近くのホテルで行われた会談のあと、小池、前原両氏はツーショットで記者団の質問に応じた。小池氏は「25年ぶりに二人でこうやって話す機会を得た」と切り出したが、焦点の出馬問題については「(前原氏から)熱烈なラブコールがあったが、初めから出ないと申し上げている」とにこやかに否定してみせた。
この日の小池氏のいで立ちはお得意の"百合子グリーン"ではなく、グレーのスーツにスカーフ代わりの白と濃紺の市松模様の風呂敷。東京五輪の公式オリジナルグッズの「東京染小紋風呂敷クロス」と呼ばれるもので、暗に「私は五輪を主催する都知事よ」と言っているようにも見えた。
両氏が思い描くのは自公過半数割れや自民過半数割れによる首相退陣だが「新人候補は聞いたこともない人ばかり」(自民選対)の陣容では、自民の牙城を崩すのは至難の業だ。まして小池氏不出馬となれば選挙戦での"小池フィーバー"にも水を差す。
それでも安倍1強打倒に結び付く議席を獲得するというのは、まさに「とらぬ狸の皮算用」だ。だからこそ、いくら否定しても永田町には「公示日の10日に突然出馬表明するのでは」(自民幹部)との疑念が残り、民放テレビの情報番組でも出演者が出馬のありやなしやばかりをはやし立てるが、そのこと自体も「小池氏の術中にはまっている」(同)とも見える。
こうした「渦巻く期待と批判で風を起こす」(自民選対)ような小池流の"空中戦"に有権者が反応することを警戒する首相は、街頭演説などで「新しいブームからは何も生まれない。政策こそが未来を切り開く。愚直に政策を訴える」と繰り返している。「北朝鮮危機の中での政局混乱が国民の安心や安全を脅かす」(政府筋)とのアピール戦術だ。
ただ、小池氏の主戦場ともなる東京の選挙区では「下手をすると都議選の再現で自民候補がバタバタ落ちる」(自民都連)との危機感も強く、首相の応援に尻込みする候補も出始めているという。7月の都議選最終日に首相が口にした「こんな人達に負けるわけにはいかない」というセリフへの有権者の反発はまだ消えておらず、「安倍か反安倍か」の選挙戦なれば逆風が吹くとの肌感覚からとみられる。
一方の小池氏もここに来て、言動の粗っぽさが目立つ。希望の党の公認を申請した民進党内定候補者に関して「全員を受け入れる考えはさらさらない」「(理念や政策が違えば)排除する」という強い言葉は小池氏のいう「寛容な保守」とは相いれず、都議選の安倍発言にも重なり合う。
自民党の選挙応援のスーパースターとされる小泉進次郎筆頭副幹事長による「小池さん出てください」という挑発に「小泉進次郎さんがキャンキャン言っているが、お父様(純一郎元首相)は都知事を続けろといった」などと言い返したあたりも、当意即妙で機知に富むいつもの「小池語」とは違って極めてストレートだ。「出る、出ない」騒ぎやこうした一連の言動がここにきて「小池氏への逆風」の要因ともなりつつある。
都民ファースト2都議が小池氏に離縁状
そんな中、5日午後の都議会閉幕後、小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」の主要メンバーだった音喜多駿、上田令子両都議が同党への離党届を提出した。両氏は離党の理由を「情報公開の不徹底」「東京大改革の変質」などと説明したが、「都政のブラックボックスを壊す」と叫んで都知事に就任した小池氏の党運営の手法が「独裁的でブラックボックスそのもの」(音喜多氏)との反発からで、文字通り小池氏への離縁状だ。小池氏側近とみられてきた2都議の離党による小池氏のダメージは少なくない。離党した両氏は「希望の党への違和感」も訴えており、東京各選挙区に出馬する希望の党公認候補への都民ファーストの会の支援態勢にもひびが入ることは間違いない。
こうした公示直前まで続きそうな目まぐるしい情勢変化の中で、一部週刊誌の「早出し選挙予測」では「自民単独過半数割れ」などの見出しが躍る。「外からの安倍追い落とし」(田中秀征元経企庁長官)ともみえる小池戦略にメデイアが連動する構図だ。もちろん、現時点での個別の小選挙区での優劣を積み上げれば「自公過半数割れはもとより、自民単独過半数割れの可能性も少ない」(選挙アナリスト)のが実態とされるが、投票率も含め「ちょっとしたことで情勢が激変する選挙戦」であることも間違いない。
ただ、希望の党の公認候補選びの経過や選考結果を分析すると、政治理念や政策を脇に置いて「小池氏の好き嫌い」や「選挙後の合従連衡への布石」を優先したともとれる候補者配置が浮き彫りとなる。前原氏と同様に民進党に籍を残したまま無所属で出馬する野田佳彦元首相や岡田克也元代表の選挙区には対立候補を立てないのに、立憲民主党から出馬する枝野幸男元官房長官ら民進リベラルグループには「刺客」を送り込むという手法も「与野党1対1の構図にして政権交代を狙う」という当初の方針とは矛盾する。公認選びで「憲法改正」や「安保法賛成」などの踏み絵を踏ませたことも考え合わせると、「真の狙いはリベラル勢力つぶし」(共産党幹部)とみられても仕方がない。
とくに希望の党公認候補の主力部隊ともなる民進系前議員達の多くは2年前の「安保国会」で国会を取り巻くデモ隊とともに「安保法制絶対反対」を叫んでいた政治家だ。まさに「議席目当ての豹変で、政治家としての資質も問われる」(自民幹部)ような顔ぶれでもある。直近の各世論調査で希望の支持が大きく伸びず、立憲民主党の支持が急騰しているのも、「議席欲しさで節操がない民進系候補」(同)への批判が背景にあるとみられている。
記者クラブ党首討論会で「安倍vs.小池」初舞台
公示に先立ち、8日の日曜日午後には恒例の日本記者クラブ主催の党首討論会が予定されている。所属する前議員の数から党首が横一列で並ぶ討論会の中央で隣り合うのが首相と小池氏だ。全国で生中継されるこの討論会が「安倍vs小池」の最初の表舞台となるが、理詰めで攻めるとみられる首相に対し、いつもの当意即妙な「小池節」でどこまで対抗できるのか。その虚々実々のやり取りが有権者の心をどうとらえるかなどは「やってみなければ分からない」(自民選対)というぶっつけ本番の論争だ。
日本を取り巻く内外の情勢の厳しさを考えれば今回の衆院選はまさに「国の未来を決める」という重大な意義があるはずだ。にもかかわらず政治理念や政策そっちのけの「劇場型選挙戦」ともなれば、「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」(芭蕉)という結末になりかねない。政界良識派の間では「鵜匠の小池氏に手繰られる希望の党公認の200人を超える鵜たちの運命やいかに…、というだけではあまりに救いがない」(自民長老)との声が広がる。