福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

守護國界主陀羅尼經卷第十阿闍世王受記品の訳・・その7

2011-06-07 | 護国仏教


「大王よ當に知るべし。若し復た人有りて、命終時に臨んで十種の相有らば定んで生天することを得るなり。

云何が十となすや。一には憐愍心を起こす。二なは善心を發起す。三には歡喜心を起こす。四には正念現前す。五には諸の臭穢無し。六には鼻の欹側(いそく)すること無し。七には心に恚怒無し。八には家財寶妻子眷屬に心が愛戀すること無し。九には眼色清淨。十には仰面して笑を含み天宮當に來りて我を迎うと想念す。

若し臨命終に此十相を具せば決定して生天せん。大王よ是のごとく臨終善惡之相を汝は應當に知るべし。」

時に阿闍世王は佛の説けるを聞き已って、竊に自ら思念すらく。
「如來の此説は是實事とやせん。是れ虚邪とやせん。世尊は辯才を具足して權に此理を説きたまへり。」
爾時如來阿闍世王心之所念を知り、即ち神力を以って阿闍世をして其惡相を見せしむるに、忽ち地獄あり。苦器は充滿し、諸の獄卒あり。苦具を執持し、無量の衆生が地獄に顛墜すること駛雨(しう・・にわか雨)の點ずるが如し。爾時獄卒瞋目して威を振い、阿闍世を指して是の言をなす。
「此は是れ惡逆殺父之人。速に擒え來って阿鼻大地獄中に付し、之を苦治すべし。」

時に阿闍世聞は是語を聞き已って、極めて大惶怖し、身毛皆竪遍體汗流し、遽(にわかに)座より起ちて走り逃竄せんと欲し、悶絶擗地(へきち・・地上にへたりこむ)し、都て覺知せず。譬えば猛風が無根の樹を伐つに久しくして蘇らざるが如し。。乃ち以種種方宜をもって之を救い、漸く蘇息することを得たり。連聲唱言していわく、

「世尊世尊、願は壽命を賜はらんことを。願はくは壽命を賜らんことを。願はくは壽命を賜らんことを。我が今日のごときは無依無怙なり。今よりは決定して佛法僧に歸すべし。ここにおいて如来は神力を還攝して諸相を現ぜず。阿闍世に問て言く。

「大王よ、向に入地獄者の諸の苦事を見る耶。」

時に阿闍世は悲を含んで答えて言く。

「我今已に見たり。世尊の所説は其少分を擧ぐるのみ。我向に所見の苦事は甚多し。如來世尊は是れ眞語者なり。是れ實語者なり。世尊よ我は此身において諸の惡業を造れり。今世尊よ諸の大菩薩衆僧の大會に対して發露懺悔す。諸惡を止息し、相續心を斷ぜん。我れ今日より乃し菩提にいたるまで、誓って五戒を持ち、優婆塞と爲り、佛所説の一字陀羅尼の一切の功能のごとく、菩提心をもって先導となし、今よりさき一日三時に精勤修習して、此善根をもって悉く皆一切衆生に迴向せん」。
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