福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

今日弘仁6年10月15日は大師が「式部笠丞がための願文」を作られた日です

2024-10-15 | お大師様のお言葉

・今日弘仁6年10月15日は大師が「式部笠丞がための願文」を作られた日です。
「式部笠丞がための願文
恭しんで聞く、我性の自覚は空に満ち(自性理法身を体得した自受用智法身は法界に満ちている)、海渧の化身は世を救う(自受用智法身の加持力により化現した無数の仏身は一切衆生を救う)。遍界塵墨(遍法界の無数の仏身)は離も盲いてんや(目のよかった離朱も見ることが出来ない)。隷 も瞽めしいてんや(計算巧みな隷首も数えられぬ)。乗牛に狂するを道と名け(老子が虚無に執着してこれを道と名け)、駕驎に泣くを易と称す(孔子が易を根本と思っていて真理に到達できてない)。近くして覩難く、高くして感じ易し。澄鏡なる時は天の祐け、響のごとくに応ず。濁染なるときは鬼殺雪の如くに滅ゆ。その源は大日に名を得たり。大悲は観音に号を立つ。いわゆる阿哩野翳迦者眼佉(ありやえいきゃしゃぼくきゃ、十一面観世音)なり。翻じて大聖十一面という。これ蓮華部の利他の一門なり。宝瓶をささげ財法を施すこと無尽なり。十利(十一面観世音の十利、1、離諸疾病2一切如來攝受3任運獲得金銀財寶諸穀麥等4一切怨敵不能沮壞5 國王王子在於王宮先言慰問6不被毒藥蠱毒。7 一切刀杖所不能害8水不能溺9火不能燒10不非命中夭)を称名に懐き、万劫を誦言に
超ゆ。大士の神力(観音大士の威神力)、だれかよく名けんや。昔我先考(亡父)、禾くわを千里に失い、帷を一州にかかぐ(大録をいただき一州を治めた)。遊覧のついでに忽ちに一塊の桃林を覩る。これを問うに土人答えていわく「人あって十一面観音の像を造らんと擬してこの木を伐りて採りて未だ功業を就さず。不幸にして殞したり」。先考彼の逝者を愍んでこの像を造り奉る。不日にして巧なりぬ。弟子仲守、続いでこの境を拝したちまちに先人の遺跡を覩る。物能く人を感ぜしむ。誰か哽泣に耐ん。
謹んで弘仁六年十月十五日を以て墾田一町永く燈分料に奉る。慧燈星の如くに懸けて疑、暗雲の如くに巻かん。智光月を朗らかにして覚威日を爀かがやかさん。伏して乞ふ、この善業によりて四恩をたすけ奉り、覚菀(かくおん、さとりの苑)を優遊して禅林に放昿せん。毛鱗角冠、蹄履尾裾、有情非情、動物植物、同じく平等の仏性を鑑みて忽ちに不二の大衍(不二摩訶衍)を証せん。」

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