福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

弘仁五年七月八日は大師が嵯峨天皇に梵字悉曇字母幷釈義一巻、古今文字讃三巻等を献じた日です。

2024-07-08 | お大師様のお言葉
 
・弘仁五年七月八日は大師が嵯峨天皇に梵字悉曇字母幷釈義一巻、古今文字讃三巻等を献じた日です。
「梵字幷に雑文を献ずる表
沙門空海言す。空海聞く、帝道、天に感ずるときは則ち秘録必ず顕はれ、皇風、地 を動かすときは則ち霊文聿めて興る。故に能く龍卦亀文は黄犠を待つて以て用を標は し、鳳書・虎字は白姫を候つて以て体を呈はす。於焉縄を結ぶこと廃れて三墳燦爛た り。木を刻むこと寝んで五典鬱りに興る。明皇之に因つて風を弘め化を揚げ、蒼生之 を仰ぎて往を知り来を察す。戸庭を出でずして万里目に対ひ、聖智に因らずして三才 数を窮む。古を稽へ故きを温ね、我より範を垂るること書に非ずして何ぞや。 況んや復悉曇の妙章、梵書の字母、体、先仏より凝り、理、種智を含めり。字は生 の終を絡ひ、用、群迷を断ず。所以に三世の覚満尊んで師とし、十万の薩埵重ずるこ と身命に逾えたり。満界の宝は半偈にも報い難く、大いなる哉、遠い哉。
伏して惟んみれば皇帝陛下、貫三に号を表し、減五に首を称す(天地人の大道に通じ、五帝の徳もかなわず)。道規矩に過ぎ、明烏兔に斉し(道徳は常を過ぎ、美徳は日月と等しい)。露文下に沈んで(文章の道が下々にまでゆきわたり)、風琴上に動いて(徳風がゆきわたり)、一人垂拱す(天子は手を拱いていても治まる)。玉燭調和し(徳により気候調和し)、金鏡照輝す(徳が金鏡のように照っている)。いわゆる輪瑞の運いまに満つ(転輪聖王にあうという幸運)。
空海、人はこれ瓦礫にしてつねに金仙(仏陀)の風を仰ぐ。器は巣許を謝して(器は巣文や許由のような潔癖なものに及ばぬ)。久しく堯帝の雲に臥せり(嵯峨帝の下で安楽にさせていただいている)。窟観(禅観)の余暇に時々印度の文を学び、茶湯坐しきたってたちまちに震旦の書を閲る。蒼史が古篆、右軍が今隷、務光が韭葉(務光仙人が作った「きょうよう」韮の葉を見て作った書体)、杜氏が草勢(後漢の杜氏が書いた草書体)を見るごとに、未だ嘗て野心憂を忘れ、山情笑を含まずんばあらず。諺にいわく「奴の口に甘きは郎の舌にも甜し」(下僕の口に甘いものは主人の口にも甘い)。と。敢えてこの義によって献ぜんと欲すること久し。しかれどもなお狼藉汚穢にして還って恐らくは聖眼を解塵さんことを。微誠潜かに達して先ず天に聞こゆ。伏して布勢海が口勅を奉って欣踊して古今文字の讃、右軍が蘭亭の碑、および梵字悉曇の書、すべて一十巻を繕装して敢えてもって奉進す。伏して乞ふ。天慈涓滴を嫌わず(天皇は一滴ほどのものも嫌わず)、飛塵を一覧したまへ。
伏して願わくは陛下一度梵字を開かば、梵天の護り森羅たらん。再び神書を閲ば、神人の衛り逼側せん(さきほどの書の達人たちの守りがある)。達水の遥浦(インド文化)忽ちに壃鳳(ほうきょう、国内)に入り、嵩山のけい岫(高い峰)来たって正朔を受けん(天皇の命令に従う)。常住の字(梵字は常住不変)、不壊の体を加持し、遂古の民(往古の人民)、今辰に撃耕せん。龍瑞の紀官永く姑射(天皇の住居)に豫うし、鳳祥の名職、金閣に放曠せん(天皇の徳が宮中にいきわたる)。軽々しく旒扆を黷す(天子の衣を汚す)、伏して深く戦越す。沙門空海,誠惶謹恐謹言。
王友軍が蘭亭の碑一巻、曇律師の碑銘一巻草書、古今篆隷の文体一巻、梁の武帝の草書の評一巻。
弘仁五年閏七月八日 沙門空海進つる。」
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