福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

国家危機を救う仏教原理「成就衆生浄佛国土」その12

2019-10-27 | 護国仏教
さらにまた「仏は慈悲に住し衆生をみること一子のごとくなるべきに、何故に国王のみを守護し、その国民としての一切衆生を守護せざるや」と問ひ、次の如くに答えている。「佛の平等一子の愛の故に国王を守護するのである。・・・もし国王を守護すれば即ちこれ国王の太子を守護す、もし、太子を守護すれば即ち大臣を守護す、若し大臣を守護すれば即ち百姓を守護す、もし百姓を守護すれば即ち庫蔵を守護す、若し庫蔵を守護すれば即ち四兵を守護す、もし四兵を守護すれば即ち隣国を守護す、もしよくこの如くせば一切皆安し、善男子よ、この故に国王は・・・諸の衆生のためには日たり、月たり・・乃至もろもろの国王にして、この陀羅尼を受持すればよく無量無数の衆生をして現在安楽にして長へに尊貴を守り、身壊し、命終すれば善道に生することを得しむ。」等といふのである。

もし諸の王にして この陀羅尼を通じて密教精神を体得し、これによりて国家を統治し国民を愛撫することになれば其の国は常に平安にして四海く、泰く万民和楽することができ、それが自然にその国家を鎮護し、守護することになるのである。この密教精神によりて統治せらるる国家をばこの「守護経」には金剛城曼荼羅といひ、・・・

「もし諸の国王(いまでは国民)この一字(「唵om」)を観ずること一刹那なればすなはち五種の三昧現前することを得・・・」等ととかれている。・・・弘仁十四年嵯峨天皇の勅により東寺を大師に下賜せらるるや大師は報国の立場から、天長二年その東寺における毎年の安居会に「守護経」を講讃せんことを奏上し、

「東寺は遷都の始、國家をしずめんがために柏原の千朝の建立し給へるところなり、乞ふこの状を察し、僧徒等を率ゐて真教を讃揚し、禍を転じて福を修め、國を鎮め家を護らんといへり、いまこの守護國界主陀羅尼経一部十巻、文は顕密を呑む転禍為福の方、降雨止風の法、具にこの経を説けり、付して望むらくは毎年夏中、永くこの経を講じて國家を擁護せんことを」とせられておる。

実にこの『守護経」は仁王経、孔雀経、請雨経とともに真言密教における四箇の法要として重視せられ、大師が「国家のおんために修法せんことを請ふ表文」のなかにも

「その請来するところの経法の中に、仁王経、守護國界主経、佛母明王経等の念誦の法門あり、佛、国王のために特にこの経をときたまふ。七難を摧滅し四時を調和し、國を護り家を護り、己を安んじ他を安んず、この道の秘妙の典なり、空海師授を得たりと雖も、未だ練行すること能はず、付して望むらくは國家のおん為に諸の弟子等を率ゐて、高尾の山門に於て、来月一日より起首して、法力の成就にいたるまで、且つは教え且つは修せん」

といわれ、その修法を以って國に報ぜんとする根拠は内外一体、物心一如を立場とする密教精神にもとずくので、このことは大師を著とされる」とあり、「守護経釈巻上」において「若し國王ありてこの広大甚深の大日一字の真言(om)を誦持せば則ち能く心王の國土を守護し、心数の眷属を安楽にし、四魔の災難を除き、四徳の常樂を得ん。若し内心の國界安楽なることを得れば則ち外器の城郭悉く皆安泰なり、故に守護國界主陀羅尼経といふ」とあることによりても想察することができるのである。
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