今日は大師が「真言付法伝」を撰述された日です。「真言付法伝」では、大日如来、金剛薩埵、龍猛菩薩、龍智菩薩、金剛智三蔵、不空和尚、恵果和尚、善無畏三蔵、一行禅師について述べられています。そして最後の行で「弘仁十二年九月六日書す」と書かれています。
このうち、 大日如来 、 金剛薩埵 、 龍猛菩薩 龍智菩薩 金剛智三蔵 不空三蔵 恵果和尚 弘法大師を付法の八祖といい、密教の灌頂受法の相承を示します。
また龍猛菩薩、龍智菩薩、金剛智三蔵、不空三蔵、 善無畏三蔵 一行阿闍梨 恵果和尚、弘法大師を伝持の八祖といい密教を伝えた祖師とされます。
なお第二十九 問答決着章(「真言宗義章」真言宗各派聯合法務所編纂局 1916)では以下のように説いています。
(善無畏三蔵、一行禅師の両祖を付法の相承の正嫡に加えていないのは弟子がなかったり,師が違ったりしているからで、両祖をくわえて「住持の八祖」を守覚法親王が大師の略付法伝の意を汲んでつくられている)
問。何故に善無畏三蔵、一行禅師の両祖を付法の相承の正嫡に加えざるや?
答。古来二種の八祖を立つ。いはく付法の八祖、伝持の八祖、これなり。付法の八祖とは両部の大法を師資嫡嫡相承して其の血脈断ゆざる義辺に約して立つる所にして其の次第は付法相承章に示すが如し。是は高祖大師の広付法伝(秘密曼荼羅経付法伝)及び十住心論等の意に依るなり。住持の八祖とは又は伝持の八祖とも名つ゛け、強ちに血脈次第を論ぜず、ただ真言密教を護持して閻浮提に弘通し給える辺を本旨として彼の大日、金剛薩埵の二聖は法界宮の主伴にして正く閻浮出現の祖師には非ざる故、しばらく之を除き奉りて其の余の六祖の他に善無畏、一行の両祖を加えて八祖とす。六祖に至りては共に付法、住持の二辺を兼ね給えるゆえ付法、住持いずれの建立にも之を列ね奉るなり。抑々善無畏三蔵は両部の大法を竜樹阿闍梨より相承し給い、一行禅師は金剛界を金剛智三蔵より受け、胎蔵を善無畏三蔵より授かり給ひし故、両祖共に両部をご相承ありしことは言を俟たざれども、善無畏三蔵には胎蔵付法の資のみありて金剛界付法の資なく、一行禅師は両部を各々別の師よりご相承あるのみならず両部共に付法の嫡弟子なし。是れ付法の八祖の中には列ねざる所以なり。この住持の八祖は先徳守覚親王、高祖大師の略付法伝の意によりて建立し給へり。常に自宗の道場に安置し奉る所の龍猛・龍智・金剛智・不空・善無畏・一行・恵果・弘法の次第即ちこれなり。
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