今日はお彼岸の最後の日です。ご先祖の霊魂は子孫の所に来られています。ご先祖を喜ばせてまた霊界へ送り返さなければなりません。先祖供養の必要な所以です。われわれは、先祖供養の行法の最後に「・・今日ここに供養する所の(先祖の戒名)の霊位、三業の罪過を消滅して諸仏の御前に生じ見佛聞法し、無生忍を証し普く無尽無余の一切有情界において共に普賢の行願を満足せんことを・・・」と先祖の霊に語りかけます。つまり「この修法により悟りを開き、仏様の前に生じて、普賢菩薩様の行つまり利他行を共に現世の我らと努めましょう・・。」というものです。あの世の先祖もただお経を聞いて満足するのでなく、それをエネルギーにして利他行に励むことによって救われるという構図になっているのです。しかもその利他行は残されている現世の親族があの世の先祖と一緒に行いますと約束しているのです。
お大師様も性霊集に多くの先祖供養の達嚫を残されています。「故藤中納言の為に十七尊の像を造り奉る願文」には「この良縁(善行)によって尊霊をたすけたてまつらむ」とあり、「笠大夫、先妣の奉為に大曼荼羅を造り奉る願文」には「この妙業(曼荼羅造営供養)によって先慈(亡母)をたすけ奉らむ」とあります。いずれも先祖のための各種善行があの世での先祖の霊魂を助けることになるという趣旨のお言葉です。
中阿含経にも「諸天を祠祀し、先祖を祭餟し及び沙門梵志に布施すれば、爲後に天に生まれ長壽を得、樂果報を得る」とあります。
また法苑珠林には「亡後作福。死者七分獲一。餘者屬現造者」とあります。亡者のために追福供養すれば7分の1は先祖に、7分の6は自分に返ってくるというのです。
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