福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

今日は大江匡衡が熱田神社に大般若經六百巻を奉納した日

2022-10-14 | 法話

「尾張國熱田神社に大般若經を供養する願文(大江匡衡)」(大江匡衡は平安時代中期の貴族・歌人・儒者。地方官としても善政の誉れ高く、尾張国の国司としての在任中は学校院を設立し、地域の教育の向上に努めた。

「國宰正四位下行式部權大輔兼東宮學士大介大江朝臣匡衡,稽首禮足。佛法僧に白して言さく「當國代代守る鎮主熱田宮のおん為に,大般若經一部六百卷を書し奉る,巳に恒例之事と為す。其中,若し神明享けざるの吏あらば,此經供養する能はず,亦た秩を任ずること遂ぐる能はず。」當國之事,莫先於大般若會。匡衡幸出顏巷之雪窓,謬りて尾州之風俗に蒞(のぞ)む。若不奉侍讀於我后,何必質朴之愚者,得為州刺史。若し此地に善根を殖へざらば,何ぞ必ずしも閑素之儒者,大般若を書くことをえんや。今年洪水に遭ひ,大旱に遭ふ。國衰へたりと雖も,治術少なく,貪欲少なし。身貧なりと雖も,事不獲已。率て舊儀に由り,熱田之靈社を莊嚴し,般若之教文を流布す。僧六十口を請し,伎樂兩三聲、財幣玉帛,戔戔羅列,法器道具,各各弁張す。苟しくも潔信あらば,潢污(こうお・よどみ)之水穢れず。茍しくも香緣あらば,智惠之花自ら開く。初謂く善を盡し美を盡くす,具足以快薰修。豈圖隨有隨無,低頭し纔を以て供給す。傳へ聞く,大般若は,釋迦如來,成道二十年之後,鷲峰等四處十六會中においての所說,憂苦を除く為なり。譬之天上,莫耆之藥。求願を満ぜんがため,之を喻ふれば海中如意之珠なり。三世如來,以って慈母と為す。十方菩薩,以って尊師と為す。昔玄奘三藏,大唐顯慶五年660正月より龍朔三年663十月に至るまで,首尾四年之を譯す。今白衣の弟子,從日本長保三年1001八月,至寬弘元年1004十月,首尾四年之を書す。所生の功德,以莊嚴三寶大海三所權扉,以迴向天衆地祇三界四恩。忝捧惠業,奉祈金輪聖主。增長福壽,圓滿御願。澄清天下,興隆佛法。復た誓って左府(左大臣)殿下を護り,息災延命,千秋萬歲。仰ぎ願くは諸佛,知見證明。嗟呼,丹心を碎きて佛事を營む,還りて常啼菩薩之售身(常啼菩薩が身を差し出して法を求めたこと)に類し,薄俸を割りて神威を餝り、只だ熱田權現之垂跡を恃む。我願已に滿たば,任限も亦た滿ち、故鄉之期に帰らんと欲する今不幾ぞ。神明願くは靈貺を賜へ。匡衡敬白。

寬弘元年 十月十四日」

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