瞑想段階論の比較
㈠ ヨガに八支則というのがあります(「ヨーガ・スートラ」)
1、ヤーマ(禁戒)2、ニヤーマ(観戒)3、アーサナ(座法)4、プラーナヤーマ(調気)5、プラテャハーラ(制感)6、ダーラナ(凝念、仏教でいいう「総持))7、デイヤーナ(静慮、禅那のこと)8、サマディー(三昧、自己と対象の区別をなくす)です。
このうち6から8までが瞑想の段階と言えましょう。6、ダーラナ(凝念、心を言一点に集中する段階、7、デイヤーナ(静慮、禅那のこと、努力しないでも心が定まっていく状態)8、サマディー(三昧、自己と対象の区別がなくなる状態)とすすむと言っているのです。
🉂仏教では「九次第定」(大般若波羅蜜多經等)といわれます。
まず色界の4次第があります:1、初禅(離生喜樂・・欲界の悪を離れて心に喜受、身に楽受を感ずる)、2、第二禅(定生喜樂・・この定によりてすぐれたる喜楽を生ずる)、3、第三禅(離喜妙楽・・「喜」を離れて「妙楽」を受ける)、4、第四禅(捨念清浄・・身心の楽を離脱し不苦不樂に住して極善清浄)
つぎに無色界の4次第、5、空無辺処定(「空は無辺である」とする三昧の境地)、6、識無辺処定(「識は無辺である」とする三昧の境地。三世(過去・現在・未来)の識が悉く、定中に現じて清浄寂静なる果報をいう)、7、無所有処定(いかなるものもそこに存在しないという三昧の境地)、8、非想非非想処定(意識しようとするこころ「想」さえ起こさせない三昧の境地)
最後に、滅尽定(心のあらゆる動きが止滅している三昧の境地。 悟った人は最長七日間、滅尽定のままで居られるともいわれる)となります。
🉁これらに対して密教では
守護國界主陀羅尼經等に月輪観の五種三昧ということが出てきます。
一、 刹那三昧。暫時の三昧であって時に随って心月輪の想念に住するものをいう。
二、 微塵三昧。少分の相応を得る三昧。
三、 白縷三昧。生死無明の真っ暗な夜中において白浄の三昧を得る。
四、 起伏三昧。観心成熟とまでには至らずして或は成り、或は成らないこともある、いわく起伏あるをいう。
五、 安住三昧。前の四定(刹那・微塵・白縷・起伏・安住三昧)を修して心安定を得、能く守護して更に諸塵染汚に染まらざるに至るをいう。(大山光淳、密教観法の研究)