還暦求聞持成満の記 その8６

９月９日
８日の夜生家の寺で工事をしている夢を見る。ここにきて生家の寺の夢を見るのは初めてでした。あまり意味のあるものとは思えない夢でした。
３時半ごろ明星が拝めました。しかしすぐに雲間に消えてしまいました。余り熱心におがむので少しだけ出てきてやったぞという風情でした。何かありがたくてお願いしたことは何でも叶えられると思いました。お月様は１９．７夜でした。旧暦の８月１５日が中秋の名月ですがそれは行の最終日１０月４日の朝にあたります。
今日は９月９日重陽の日です。しかもこの日は丁度行の中日です。不思議でありがたいことです。「菊の香や奈良には古き仏たち」という芭蕉の句を思い出します。こちらは「香煙に菊の香ほのか太龍寺」というところでしょうか。

５０座はなぜか緊迫感がでました。「年間３万人も自殺者がいます。苦悩の衆生を今すぐ救ってください」とお願いしたからでしょうか。観想も何度も修しました。自分の境界が溶け出してしまう感覚が身についた感があります。本堂からお遍路さんの般若心経の声が聞こえてきますがいかにもお蔭を頂いている感じのお経でした。岡目八目といいますかこういうときは唱えている本人より、はなれたところで聞いている第３者のほうがよく分かる気がしました。
５１座は昼からはいりました。
軽い妄想が後半でてきてそれほどいい座とはなりませんでした。
しかしよく本で書かれているような魑魅魍魎には１００座中１度も会うことはありませんでした。大日経疏で妄想に捕らわれたときは心を一境に付けよとありますがまさにこういうときこそ「衆生無辺誓願度」を強く思わなければなりません。
大法輪に加藤精一博士の虚空蔵菩薩についての一文がありました。「虚空蔵菩薩経には虚空蔵菩薩が頭上に如意宝珠をもっておられ、これを衆生に分け与えるというところがあるがここが虚空蔵菩薩が一切の衆生を済度できる根拠である」というものでした。業の深い我らにも宝珠をくださり残らず救ってくださるというのです。